SEO業界の10年を振り返る(前編) - 検索エンジン,メタ検索エンジン
2009年4月20日(月曜)は、僕が検索業界に入って丸10年の記念日だった。
僕はこの日を、半年ほど前からある種の不安を覚えながら待っていた。10年という節目にあたるこの日が、なぜ重要なのか、あるいはどんな意味を持つのかさえ、実際のところ僕にはわからない。これで僕はエキスパートの仲間入りしたことになるのかな? まあ、どんな解釈だってできるよね。あるいは、僕はこの10年、友人や家族が理解することさえほとんどできないような業界で、大して披露するものもなく時間を無駄に費やしてきたことになるのかな? うーん、そうでないことを祈りたい。
何にせよ、紛れもない真実は、僕は単に好きな仕事をしているというだけでなく、自分のキャリアを愛しているということなんだ。
世のSEO専門家のうち、ひたすら仕事をこなすことに時間を費やし、仕事の内容をブログに書く時間がないという人は、100人か、もしからしたら1000人ほどにもなるかもしれないけど、僕はそうした仲間の代わりに書いているつもりだ。僕らに対する悪評はごく限られていて、それらはたいてい、僕らの仕事に満足している顧客から口コミで伝わってくる。僕らSEO専門家の中には、顧客と友人のような関係になる人がいて、そうした友人のおかげで僕らの仕事がはるかにやりがいのあるものになる。
ほかの仕事をしている自分なんて想像できないし、何年か前に僕は、自分はこの先もずっとウェブ関係の仕事をして一生を終えるだろうな、と悟った。1999年のあの火曜日の朝から、実はどのようなことが始まったのか、時間が経てば僕にもわかると思う。
歴史と変化
僕が7年生のときに出会ったすばらしい歴史の先生はいつもこう言っていた。
将来に同じ過ちを繰り返さないよう、私たちは過去から学ばなければならない。
そんなことを言うのはその先生が最初じゃなかったし、最後でもなかった。でも、その言葉を聞いて、いつか公立学校で、欧州のルネサンスや産業革命だけでなく、インターネットの歴史を教えるようになるんだろうか、と思ったのを覚えている。今は、ラスムッセン大学やフルセイル大学など、一部のれっきとした大学やカレッジでインターネットマーケティングの単位が取れるんだから、ランドやダニーのような人がワシントン大学でSEOの歴史を教えるようになるのも、時間の問題かもしれない。
僕はこの数か月、自分がSEOを始めてからウェブに起こった変化についていろいろ考え、そのうちのいくつかをリストに書き出してみた。それを何度も見ているうちに、たぶん昔の高校時代のアルバムを開いてみるとか、しばらく会っていなかった昔からの親友を訪ねてみるとか、そういうことと同じだと思うんだけど、たくさんのことが僕の心に蘇ってきた。きっと、これで昔の記憶がいくつか蘇ってきたりするだろうし、みんなも思い出すことがあると思う。
検索エンジン
その昔、今のグーグルと同じような地位を占めていたのはAltaVistaだった。ほかにも、LycosとかHotBot、DirectHitやNorthern Light、Exciteなど、ある程度人気を博した検索ポータルがあったし、もちろんヤフーやAOL、MSNも忠実なファンを獲得していた。でも、AltaVistaはその人気の高さゆえに、その後オーバーチュア/ヤフーによって買収されることになったんだろう。ヤフーがどうしてAltaVistaをダメにしてしまったのかは、僕にはからない。
そういえば当時は、MSNの登録ページに入力したデータがInktomiに送られていた(InktomiはMSN、ヤフー、HotBot、Lycosなどの検索ポータルに検索結果を提供していた)ので、顧客のページを毎月MSNに登録し直していたことや、「新しいページ」があると検索順位が一気に上がったことまで覚えているよ。しばらくの間、Inktomiは僕らにとって偉大な存在だった。
やがて、料金を支払えば各ページを1年間インデックス化してくれるペイドインクルージョン(有料登録)をInktomiが採用したので、もう毎月再登録する必要はなくなった(やったね!)。順位とトラフィックが大きく跳ね上がるので、僕らはすべての顧客について有料登録するようになった。それも追加費用なしでね。だって、そうすればすごく良い結果が得られて、自分たちを偉大に見せられるし、顧客も喜んでくれたからね。
あのプログラムは効果が絶大だったけど、その後ヤフーがInktomiを買収して、ペイドインクルージョンを年間契約料モデルから「Search Submit」と呼ばれる現在の年間契約料+クリック課金型のモデルへと変更してしまった。結果として僕らは、すべての顧客について、このプログラムから手を引かざるを得なくなった。おかげで、有料登録していたページはすべてヤフーのインデックスから姿を消した(それとともにトラフィック、順位、売り上げも落ち込んだ)。
当時、検索エンジン各社は検索シェアを拡大しようと、巨費を投じてテレビコマーシャルを流していた。ライコス犬のCM、パメラ・アンダーソンを使ったAltaVistaのCMなどがあったし、ExciteのCMは何だかトンガっていた。ヤフーは、バーコードヘアの男性や土の下から生き返ってくる犬が登場するユニークなCMを流していた。しかし、今まででいちばん気に入っていたのは、僕が「Old Link」シリーズと呼んでいるHotBotの投資情報のCMと政治スキャンダルのCMだ。このシリーズが特におもしろかったと思えるのは、僕がSEO業者であり、検索をすると結果の最初の3ページの中には404エラーページに飛んでしまうリンクが1つか2つはあったことを覚えているからだと思う。それに、このシリーズに出演している強烈なインパクトの老紳士たちがイカしてるじゃないか! Search Engine Landも検索エンジンのCMを集めたオムニバスビデオを作っているので、ぜひ見てほしい。
結局、初期の検索エンジンは、その多くが利益の確保に失敗して、検索市場シェアの小ささのせいで徐々に買収されていった。買収したのは主に、ヤフー、CMGI、IAC/InterActiveCorpだ。The Searching Graveyardもまた、MagellanやDeja、Open Textといった今は亡き検索エンジンについて、興味深い情報をいくつか掲載している。
メタ検索エンジン
Dogpile、MetaCrawler、WebCrawlerは、僕が最初に知った3つのメタ検索エンジンで、実際今でもこの3つはオンラインで生き残っている。
僕がメタ検索エンジンに魅力を感じたのは、多くの異なる検索エンジンから一度に検索結果を引っ張ってこれるからではなく、「個々の検索エンジンの結果はいかに信頼できないか」ということが前提になっていたからなんだ。よく検索されるキーワードであっても、その検索結果はいい加減なものだったし、関連性のある情報を見つけ出すには、検索エンジンから検索エンジンへと切り替えながら検索しなければならないことも頻繁にあった。これは主に、当時のアルゴリズムが、キーワード密度などのページ上の要素を重視していて、一般的な検索エンジンのほとんどでリンクが主要な順位決定要素になっていなかったからだと思う。
この記事は3回に分けてお届けする。次回は、ウェブディレクトリとペイパークリック広告について、この10年間を振り返ってみよう。→中編を読む
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