ビジネス社会で働いていれば、プレゼンの機会があり、そしてそこに挫折はつきもの。このコーナーでは『読むだけでプレゼンがうまくなる本』から抜粋した、“失敗しがちだったプレゼンにちょっとしたことで強くなれるヒント”を紹介していく。
アイコンタクトで印象づける
パート1でも述べたように、クライアントは「一緒に仕事をしたい相手」としてのあなたを評価したかったのに、「企画書を棒読みする人」という印象しか残らなかったのです。
まずは、プレゼンを始める前、始めてからも時々、プレゼン会場にいる相手とアイコンタクトするべきです。なぜならば、人間は本能的に「眼の動きや眼の回りの表情」で、その人が信用できるかどうか判断しているからです。したがって、口だけ笑っていて眼が陰険な相手に対しては、信用できないという判断が本能的になされます。そう言われても、相手の目をじっと見るのは苦手だという人も多いでしょう。そんなときは「相手の口元」を見るようにしてください。目線も下がってちょうどいい感じになり、相手には十分「信用のサイン」が送れます。プレゼンの前などには、とくに「微笑んだ目」をして相手の口元を見ましょう。視線も、その場にいる人全員に均等に届くようにしたいものです。右利きの人は「左を意識して見る」ようにすると、視線が均等に行き渡りますので試してみてください。
話の内容以外のコミュニケーション
さらに大事なのは、「ノンバーバル・コミュニケーション」です。言葉で伝える「バーバル・コミュニケーション」に対し、「ノンバーバル・コミュニケーション」とは、「話の内容」ではなく「話し方(声の深さや響き、抑揚、話のスピード)」「身振り手振り(ボディランゲージ)」などのコミュニケーションを指します。「見かけ」もこれに入ります。
(注)「メラビアンの法則」については諸説あり、よく引き合いに出されている「話の内容は7%しか伝わっていない」という解釈は違うという説もあります。しかし著者は、プレゼンの場では「ノンバーバル・コミュニケーション」の効果が高いということを経験上感じていますので、よく引用される事例をそのまま使用します。
これに関連するおもしろい説に「メラビアンの法則」(注)というものがあります。アメリカの心理学者メラビアンが行った実験で、人から人へのコミュニケーションにおいて、メッセージを受け取る際に何を重視するか調べたものです(図2-2-1)。
企画書をただ読んだとしても、その内容は図2-2-1のとおり7%しか相手に届いていないということになります。そこで、プレゼンテーターとなったら、企画書を棒読みするのではなく、会場の参加者の顔を見て、声をしっかり出して、抑揚をつけて、できれば身振り手振りも十分に交えて話しましょう。多少言い間違えてもいいのです。相手の顔を見て、しっかりと抑揚、身振り手振りをつけたほうが、相手に伝わるのです。
ここで大切なのは「声」です。「腹式呼吸」で声を出す訓練をすれば深みが増します。息を吐くとき横隔膜をぐっとすぼめて、息を吐きながらお腹から声を出しましょう。それだけで格段に違います。また、プレゼンでは上がって早口になりがちです。練習の際にはICレコーダーなどで録音し、「しみいるように話す」練習をするといいでしょう。
つっかえてもいいから、身ぶり手ぶりも交えながら、相手を見て、深い声で「しみいるように」話しましょう。
この記事は、書籍『読むだけでプレゼンがうまくなる本』の内容を、Web担向けに特別にオンラインで公開しているものです。
プレゼンにおいて大事なこと、それは相手をいかにつかむか。本書はマンガを織り交ぜながら、相手の心をわしづかみにする方法を学べるプレゼン本です。筆者が経験した失敗談から、プレゼンにおける「つかみ方」を徹底レクチャー。さらに、相手のタイプに合わせた実践的な攻略法や、企画書などプレゼンツールの使いこなし術を指南。最後にプレゼンをきれいに締めくくり、相手にYesと言わせるクロージング術を紹介する。なぜか、プレゼンに負ける人、必読の一冊。
- 『読むだけでプレゼンがうまくなる本』
- ISBN: 978-4844326038
- 1,449円(税込)
- 藤木俊明・今津美樹(著)
- 株式会社インプレス
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