基調講演「オンライン広告産業の現状」
基調講演「オンライン広告産業の現状」
グループMワールドワイド・インターアクション CEOのロブ・ノーマン氏は、基調講演において、「広告出稿全体を100とすると、現状ではネット広告が10、ビデオ広告が1だ。オンライン広告投資は広告費の15%~20%は費やすべき
」といった予算配分の話題をはじめ、オンライン広告業界のトピックやトレンドに触れた。
ノーマン氏はまた、最後の1クリックの効果を測定してこだわることの危険性について触れた。消費者の購買行動は、放送、ネット、友人関係などさまざまなものの影響を受けているものであり、それらのコンタクトポイントを活性化するためのコミュニケーションプランニングは、最後の1クリックと同じくらい、またはそれ以上に重要なのだという。たとえばユニリーバはdoveに関してYouTubeで「Dove Evolution」という大ヒットを出した。しかし、その背景には、さまざまなチャンネルでコミュニケーションを試し、継続してきたという流れがある。他の多くの成功事例も、単にソーシャルメディアで一発当てることを狙ったものではないのだ。
またノーマン氏は、ネット広告はオンラインで閉じることなくオフラインにも影響を及ぼすような形になっていくべきだとし、「オンラインでは消費者が先に進んでいる、我々も消費者に追いつかなければいけない
」と語った。
広告がコンテンツやユーティリティやメディアのなかにとけ込んでいく
株式会社電通 コミュニケーション・デザイン・センターの細金 正隆氏は、「日本のオンライン広告市場における新しいアイディア」として、いくつかの事例を示した。
プレイステーションのゲーム「The Last Guy(ラストガイ)」のプロモーションでは、Google mapのような衛星写真の町中で人を助けながら安全地帯へ逃げていくゲーム内容をベースに作ったキャンペーン「どこでもラストガイ」が紹介された。どんなWebサイトでも、URLを入力するだけでそのサイトがラストガイの舞台になるWebアプリケーションだ。URLを入力すると、Yahoo!でもグーグルでもWeb担でも、そのサイトがゲームセンターになる仕掛け。「あらゆるサイトをラストガイの場外ステージに」としてプロモーションしたところ、サイト開設1週間で世界146か国からアクセスがあり、660万回ゲーム実行され、結果としてプレイステーションのオンライン販売ゲームで1位になり、パッケージ版も発売になったという。
また、他の事例として、ソニーのブルーレイレコーダの特徴である「キーワードを登録しておくと、自動的に関連番組を録画してくれる」点を訴求することを目的とした、キーワードを登録しておくと関連情報をウェブ検索で引っ張ってきて綺麗な動画にまとめて表示するスクリーンセーバーによるプロモーションや、iPhoneを使ってクーポンとなる「バーチャルな蝶」をつかまえる仕組みのAR(拡張現実)によるプロモーションのパイロット版などが披露した。
細金氏は、今後「広告がコンテンツやユーティリティやメディアのなかにとけ込んでいく」として、クリエイティブの立ち位置からの視点として、今後はさらにクリエイティブが対象とする領域が拡がり、メディアそのもののフレームをクリエイトしていくことになるのではないかと述べた。
リッチ広告のクリック率はバナーの7.3倍
マイクロソフト株式会社の原 邦雄氏は、広告主の課題は「費用対効果」と「ブランディング」だが、その2つはある意味で相反するものであり、ROIを高めたうえで、バラマキ型ではない効果的なブランディングをするために、ターゲットユーザーへの効果的なリーチが求められていると語った。
そのうえで、マイクロソフト アドバタイジングでの事例として、属性に応じて配信先を変えたターゲティング広告において、マウスオーバーで拡大するバナーを使って効果的にリードを惹き付けた事例などを紹介した。原氏によると、リッチ広告のCTRは通常の画像バナーに比べると7.3倍あり、認知・好感度・興味といった面での調査でも、リッチ広告は良い成果を出しているとのこと。
- IAA(国際広告協会)
http://www.iaaglobal.org/
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