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コンテンツのパーソナライズでたった2年で売上120億突破。アスクル LOHACOのデータ活用とは?

アスクル株式会社 LOHACO事業 EC店舗運営&ビッグデータ 統括部長 成松 岳志 氏

この記事は、姉妹サイトネットショップ担当者フォーラムで公開された記事をWeb担当者Forumに転載したものです。

オフィス用品の通販で知られるアスクルが、2012年にヤフーと共同でスタートしたのが「LOHACO」(ロハコ)。アスクルが法人向けなのに対し、LOHACOは個人向けの日用品ECサイトだ。開始当初こそ苦戦したが、さまざまなマーケティング施策を行って2年。売上で121億、利用者の累計はこの12月に150万人を突破した。多角的にデータを活用したパーソナライズの取り組みを、EC店舗運営&ビッグデータ統括部長の成松岳志氏が紹介した。 写真◎Lab

B2Bで培った物流の強さがLOHACOの基本

「明日来る」からアスクルという社名から分かるとおり、アスクルは時間に対するコミットメントが強い。LOHACOは日用品にフォーカスした個人向けECサイトだが、午前10時までに注文すればその日のうちに受け取ることも可能だ。最初にスマートフォン向けサイト、次にPC向けサイトとアプリを立ち上げ、3つのチャネルで展開している。モールビジネスではなく自前で在庫を抱え、配送まで行うのが特長だ。差別化ポイントは3つある。

①サービス(物流)

B2Bで培ってきた物流がアスクルの強みであり、お客様の手元に届くまでがサービス。いかに早く届けられるか、時間を守れるかを軸に考えている。物流センターの機械化・自動化により、「出勤時にスマホで注文し、帰宅後に受け取る」といったスピード配送を実現するとともに、多様な商品を1つの箱に詰める「1オーダー1ボックス」など、消費者の利便性にも工夫をしている

②サイト

取り扱い商品が日用品を中心に約18万点もあり、ただ並べても買い物しづらいため、徹底したパーソナライズを行っている。クリックを繰り返して探し回らなくても目当てのものがすぐに見つかるよう、お客様が探している商品を「当てにいく」ことを意識したサイト作りをしている。

③商品

どこでも買える日用品をあえてLOHACOで買ってもらうため、メーカーと協力してWebでのマーケティングを行う。プラットフォームとしてお客様の声をメーカーに届け、その声を元にしてどのような商品がどのようなお客様に好まれるのかを、メーカーと一緒に考えている。

アスクル株式会社 LOHACO事業 EC店舗運営&ビッグデータ 統括部長 成松 岳志 氏
アスクル株式会社 LOHACO事業
EC店舗運営&ビッグデータ
統括部長
成松 岳志 氏

パーソナライズのためのペルソナを設定

サイト上のコンテンツをパーソナライズすることで売上げを増やすには、LOHACOのユーザーがどのような人々かを知る必要がある。特長は以下の通りだ。

  • 離島を除く日本全国をカバーしているが、圧倒的に都市部で受け入れられている
  • 特に人口密集エリアに居住し、車を所有していない
  • 6対4で女性が多く、30代〜40代が中心

また、仕事に就いているか、子どもがいるかといったアンケートを行い、「働くママ」が多いといったことが分かっている。働きながら子育てしている女性の悩みは自分の時間が少ないことなので、LOHACOで買い物することで時間短縮できるなら利用してもらえると考えている。

LOHACOの特徴として、一度使うとリピーターになる傾向が強いというデータがある。リピーターとして購入経験が増えれば増えるほど、複数のカテゴリーの商品を購入するようになり、購買頻度の高いお客様(ロイヤルカスタマー)は、ある購入経験レベルを超えると購買カテゴリーがいっきに増え、エンゲージメントが高くなることも分かった。

LOHACO顧客の購入経験と購買カテゴリーの関係

ターゲティングの定義は細かく設定したくなるが、サイトに反映させるのが大変になり過ぎると意味がない。そこでLOHACOでは、「男性か女性か」、「子どもがいるかいないか」の2軸から4つに分類している。これを元に分析すると、

  • 甘いものを買う率が高いのは女性だが、子どもに買う場合があるので、男性も子どもがいる方の比率は少し高い
  • クリスマスなどのイベントに反応するのは断然子どものいる女性

といったことが見えてくる。さらに外部データを使って結合するとペルソナ(裏付けとなるデータを元に作成した詳細なお客様像)が完成する。これらのユーザーはそれぞれ違う物を求めてサイトに来ていると考えて、コンテンツのパーソナライズを行う。

さまざまなデータを活用したコンテンツのパーソナライズ

パーソナライズの基本は「お客様一人一人に最適なコンテンツ、インセンティブを最適なタイミングで提供する」ということだ。

よく売れているものだからトップページに掲載しようと単純に考えていると、女性なら見たいけれど男性は見ても意味がないということが起こる。デモグラデータを元に、男女で異なるコンテンツを見せる

LOHACO顧客のデモグラデータの活用

そのほか、天候データ、購買予測にもとづくクーポンのオファーや併売商品からのライフスタイル解析など、LOHACOにはデータ活用によるパーソナライズの施策が縦横無尽に走っている。

メーカーとともにマーケティング戦略を考える

B2Bのアスクルはメーカーと直接取引しているために、アスクルのデザインによるプライベートブランド商品がたくさんある。例えばトイレの消臭剤では、店舗販売のためには目立つ派手なパッケージになっている。しかし使うシーンを考えれば、むしろシンプルでおしゃれなデザインの方がいい。ECで売るなら店頭で目立つことを考える必要はないので、インテリアを意識したオリジナルデザインの商品として扱っている。こうした商品はLOHACOでも販売しており、人気となっている。

またLOHACOは、メーカーとともにサンプリングや口コミなど、小さなコミュニケーションを基点に、改善のサイクルを高速で回しながら着実にファン層を拡大し、やがては本格的流通につなげるという、新たなECマーケティングに取り組んでいる。これらECマーケティングを通じて得られた知見は、取引先メーカーが参加する「Webマーケティングコンソーシアム」で共有している。

お客様には時短のサービスで豊かなライフスタイルをサポートし、メーカーとは究極のマーケティングプラットフォームの活用により、価値ある商品・サービスの消費者への提供を目指し、PDCAを回しながらWin-Win-Winで成長していきたいと考えている。

関連リンク:

オリジナル記事はこちら:開始から2年で売上120億円を突破。アスクル LOHACOの徹底したデータ活用(2014/12/22)

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