LINE ビジネスコネクト活用の基本: 費用構造や開発環境を理解しよう
この記事は、書籍『いちばんやさしいLINE ビジネスコネクトの教本』の一部をWeb担向けに特別に公開しているものです。
この記事では、書籍の第2章「LINE ビジネスコネクトの基礎知識」レッスン5「LINE ビジネスコネクトの開発環境を理解しよう」の内容をお届けします。
LINE ビジネスコネクトでOne to Oneコミュニケーションを行うために、検討段階で把握しておくべきことを見ていきましょう。システム環境や開発の必要性、運用にあたっての費用構造など、事前に把握しておくべきポイントがいくつかあります。
企業アカウントの3つのタイプ
LINEの企業アカウントには、現在3つのアカウントタイプがあります。従来の①公式アカウントに加え、ビジネスコネクトのサービス開始に伴い、②API型公式アカウントと③ビジネスコネクトアカウントが用意されました。ビジネスコネクトを活用する企業は、②か③での運用になります。
「API型公式アカウント」は従来の公式アカウント(①)とビジネスコネクトの両方の特徴を備えたタイプです。すでに公式アカウントを持っている企業がビジネスコネクトを開始する場合は、このアカウントタイプでの運用になります。一方で「ビジネスコネクトアカウント」は、ビジネスコネクトの機能に特化したアカウントタイプで、公式アカウントを持たない企業が新たにビジネスコネクトを実施する場合に限り選択可能です。一斉配信やLINE内のスタンプショップ経由での友だち獲得などの機能はないため、ユーザー規模を拡大しづらく、活用シーンは限定的でしょう。特に記載がない場合、本書では②の「API型公式アカウント」の選択を想定しています。
「API 型公式アカウント」は、公式アカウントとLINE ビジネスコネクトの機能が活用できる、オールマイティなアカウントタイプです。
必要なシステム環境の整理
LINE ビジネスコネクトは、LINEが提供するAPIを通してLINEと導入企業のシステムを連携する仕組みになっており(レッスン02)、LINE ビジネスコネクトを開始するためには、システムの開発または改修が必須です。例えば、LINE ビジネスコネクトと自社のCRMシステムを連携させる場合、APIを通じて取得されるLINEのユーザー識別子を自社会員IDと紐付けることによって、自社商品の購買情報に基づくメッセージ配信などが可能になります。導入企業には、ユーザー識別子とそれに紐付く情報の安全な保管に加え、友だちにブロックされた際のユーザー識別子情報消去などの対応も必要になります。
ワンポイントリンクの配信はアクセス集中に注意
ビジネスコネクトに限った話ではありませんが、LINEでは数十万、数百万人の友だちにメッセージをプッシュ配信することができます。非常に多くのユーザーが(スマートフォンへのプッシュ配信のため)リアルタイムで同時にメッセージを確認し、その結果、リンク先のWebサイトには大量のアクセス集中が発生する可能性が高いといえます。LINE上でリンクを展開する際には、ほかのメディア媒体よりも激しい大量アクセスを想定し、それに耐えうるシステム構成にしておきましょう。
LINE ビジネスコネクトの開発パートナー
システム構築を自社で行うことも可能ではありますが、多くの企業においてはLINEが認定する開発パートナーに依頼するほうがいいでしょう。LINE ビジネスコネクト開発パートナーとは、利用企業がゼロからシステム構築する手間を省略するために、LINE ビジネスコネクトに対応したパッケージなどを開発している企業のことです。2016年8月現在で12社が開発パートナーとして認定され、企業のLINE ビジネスコネクト導入を支援しています。システムを構築し、その後も安定的な運用を行うためには、LINEの仕様について常に最新の情報を得て対応していくことが重要です。その意味でもすべてを自社で対応せずに開発パートナーに依頼することをおすすめします。もちろん企業ごとの事情で外部パートナーの活用が難しい場合や、自社でシステム構築と維持を行える体力のある企業においてはその限りではありません。各開発パートナーが支援できる得意領域は少しずつ異なりますので、目的に応じてパートナーを選定しましょう。
LINE ビジネスコネクトの利用計画を立てるときは、システム開発や改修の期間もしっかりと押さえておきましょう。
LINE ビジネスコネクト運用の費用構造
費用構造も把握しておきましょう。LINE ビジネスコネクトを活用する場合、費用は大きく固定費と変動費に分けて考えることができます。なおシステム開発費は初期費用であり、この中には含んでいません。大半の企業が採用しているAPI型公式アカウントで運用する場合で見ると、固定費としてはアカウント費と友だち獲得スタンプ費の2つが大きく、一方でOne to Oneのメッセージ配信費が変動費に該当します。
このように見ると、すでにLINE公式アカウントの運用を行っている企業にとっては、固定費はさほど変わらず、ビジネスコネクト開始に伴う費用増はメッセージ配信に応じた変動費の増加分であることがわかります。「LINE公式アカウントの運用開始時のハードルは高かったが、ビジネスコネクトを開始するときはさほどでもなかった」という企業が多いのはこのような費用構造も影響しているでしょう。
One to One メッセージは「配信数に応じた変動費」だということを踏まえたコミュニケーション設計が必要ですね。
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