新しい働き方を探る

子供が帰ってきたときに「おかえり」と言える、在宅グロースハッカーという働き方/MGHの中原かな子さんに聞いた

子供が帰ってきたときに「おかえり」と言える仕事がしたかった。でもWeb業界未経験でグロースハッカーとして働くのは簡単ではありません。

子供が帰ってきたときに「おかえり」と言える仕事がしたかった。いろいろ仕事を探して行き着いた先が在宅で、グロースハッカーとして働くことでした。でも、Web業界は未経験で、出てくる言葉は意味がわからず呪文のようでした。

そう語るのは、ママグロースハッカーズ(MGH)に所属し、グロースハッカーとして働く中原かな子さん。

在宅で働きたいと思っていたが、Web業界未経験で、グロースハックという言葉も聞いたこともなかったという。ご主人の勧めで、デジタルハリウッドSTUDIO福岡(以下、デジハリ福岡)の「ママ向けWebグロースハッカー養成講座」で学び、5月に卒業しMGHに所属。グロースハッカーとして働き始めたばかりの中原さんに、未経験からプロのグロースハッカーになるまでの道のりや、やりがい、子育てとの両立などの話を聞いた。

福岡に在住、小学生のお子さんを2人育てながらグロースハッカーとして働く中原かな子さん

グロースハックとは、企業や製品、サービスなどの改善施策を短期間で行い、成長を促すこと。

ママグロースハッカーズ(MGH)とは、Web業界未経験のママをグロースハッカーに育てる講座「ママ向けWebグロースハッカー養成講座」を卒業したメンバーを中心に発足したグロースハッカー集団。MGHでは、Kaizen Platformからの企業サイトのデザイン改善案件をはじめ、企業や団体からの依頼によるサイトのデザイン改善を行う。

ママ向けWebグロースハッカー養成講座とは、デジハリ福岡、リクルートジョブズ、Kaizen Platformの3社が福岡市応援のもと行う「Growth Hack for Women プロジェクト」の一環として開講した講座。学習期間は8か月。Web制作全般とグロースハックに必要な知識を学ぶ。

※養成講座やMGHに関しては、MGHプロデューサーでデジハリ福岡の高橋校長のインタビューをご覧ください。

子供が帰ってきたとき「おかえり」と言える仕事がしたかった

――グロースハックという言葉は知っていましたか。

「グロースハック何それ」って感じで全然知りませんでした。もともと、大学卒業後、佐世保の銀行に勤めていましたが、結婚を機に退職して名古屋へ。その後、主人の転勤で佐賀に移り住み、1年半前に福岡に引っ越してきました。

佐賀では、小学校の図書館で司書補をしていました。ExcelとWordはできますが、IT音痴だと思います。

――何をきっかけにママ向けWebグロースハッカー養成講座へ応募したのですか。

主人から勧められたのが、応募自体のきっかけです。

1年半前、福岡に引っ越してきたとき、子供は小学4年生と1年生でした。子供が学校に慣れるか不安だったので、慣れたタイミングで銀行のパートを探そうと思いましたが、将来のことを考えると、長くできるなにかに挑戦した方がいいかなとも思っていました。

――「長くできる何か」に挑戦した方がいいのでは、と思わせた出来事があったのですか。

昨年、自分の体調がすぐれないことが多くて……。主人も同い年なんですが、今まではぼんやりしか考えていなかった「夫婦どちらかに何かあったら」が急に現実味を帯びたんです。もし主人に何かあったときに、今の私じゃ子供を養えない。財力がいる。スキルを身に付けたい。と思ったのがきっかけです。

とはいえ、子供が帰ってきたときに「おかえり」と言いたかったので、正社員ではなく9時~4時のパートの仕事を探していました。

しかし、働きに出てしまうと、夏休みなどの長期休みの時はどうしても子供をカギっ子にしなければならず、なかなか希望にあう仕事が見つかりませんでした。

そんなとき主人から、「未経験のママをグロースハッカーに育てる講座があるみたい。在宅で月30万円も稼げるみたいだから、説明会に行ってみたら」と言われました。「在宅で月30万円も稼げたら、なんて良いんだろう」と思い、説明会に参加し、ママ向けWebグロースハッカー養成講座へ通うことになりました。

中原かな子さん

Web関連の言葉は呪文、学生時代より勉強した

――講座はではどのくらい勉強しましたか。

学生の頃より勉強したと思います。本当に大変でした。

ママ向けWebグロースハッカー養成講座で出てくる言葉がすべて呪文でした。未経験で言葉がそもそもわからないので、教科書を作る勢いで言葉の意味を調べて、書いて、覚えるを繰り返す日々でした。

子供が学校に行っている間は、eラーニングで勉強。土日も1日中パソコンに座って勉強していました。講座の費用を主人に援助してもらったので、主人にせっつかれて、なんとか最後まで頑張れたと思います。

誰もが知っている企業のホームページを改善できることは魅力

――やりがいはありますか。

誰もが知っている会社のホームページを改善して、その会社の売り上げに貢献できることは、やりがいがあります

自分の両親も仕事内容は具体的にわからなくても、企業の売り上げに貢献していることは理解してくれて「すごいなぁ」と応援してくれています。

――収入はどれぐらいですか。

私は講座の2期生で、講座には昨年の9月から通っています。2月からグロースハックの実務学習をしていて、5月に卒業したばかりです。そのため、収入はまださほど得られていませんし、1つの案件に時間がかかるため、時給に換算はできません。

しかし、自分が納得したモノがお金になるのは、やりがいがあります

一方で、ちょっと逃げたくなるときがあるのが課題です。仕事はKaizen Platformさんからの案件をグロースハックするのですが、修正が立て続けにくると、対応にあたふたしてそちらばかり気になってしまい、他のことが上の空……なんてことがよくあります(笑)。

――仕事が難しいと感じることは。

JavaScript、jQueryはやっぱり難しいですね。今までは、サポートしてくれる先生がいたので、わからないことは聞いて解決していました。しかし、卒業してしまったので、問題が発生したときは基本的には自分で調べて解決しています

それでもわからないときは、1期生に質問したり、有料ですがデジハリのコワーキングスペースを利用すれば、先生へ質問できるのでそれを使ったりしています。それ以外にも2期生同士でコミュニティを作って勉強しています。お互いに教えあったり、困ったときに助け合ったり。1期生も含めてですが、高めあえる仲間がいるのはとても心強いです。

仕事をすることで、私への見方が変わった子供たち

――ご主人やお子さんの反応は。

主人が勧めてきたこともあり、理解を示してくれています。主人はPhotoshopとIllustratorが使えるので、上の子も少しIllustratorが使えるんです。ベジェ曲線は、子供のほうがうまいくらいです。だから、上の子は私の仕事に興味深々です。

「ママは掃除とご飯作ってるだけでしょ」という認識から、少し株が上がりました

下の子は、まだ仕事内容までは理解してないのですが、「ママがお金稼いでる、すごい」と応援してくれています。たぶん、刺激になっていると思います。

――家事や育児との両立はうまくいっていますか。

ご飯は、ちゃんと作りたいと思っていますが、家族への負担は増えてしまうかもしれません。仕事が忙しいとき、出来合いのものを子供に出すと、意外と喜ばれるんです。

「やったー、ラーメンだ!」って。

しかも、私が作るご飯よりおいしいと言うときもあるので、悲しくなっちゃいますよね(笑)。

自宅での仕事は、やろうと思えばいつでもできますし、追い詰められないとなかなか進まないということが多々あります。上手な時間の使い方を学ぶ必要があります。

中原かな子

今学ぶタイミングなのか熟考してチャレンジしてほしい

――最後に、ママ向けWebグロースハッカー養成講座を受講したいと考えているママたちへ一言お願いします。

1人でも多くの方に学んでもらいたい気持ちはありますが、今学ぶ必要があるのか、将来的にどうなりたいのか、ということを受講前に一度考えてもらいたいと思います。

私はもともと受け身人間で、講座へ通えばなんでも教えてくれるんだろうと考えていたんです。そう思っていたことがそもそも甘かったのですが……。

わからないことは、もちろん教えてくれますが、そもそも自分で調べなければ身に付きません。2期生には、0~2歳のお子さんを抱えているママが多数参加していましたが、体調を崩す人もいました。本人のやる気だけでは、カバーしきれないこともあります

私のように未経験からでもグロースハックの仕事はでき、家にいながら収入を得られます。ですが、いいことばかりではありません。プロとして仕事をするからには、それなりの覚悟と勉強をしないといけません

自分や家族、子供の健康があって初めて成り立つモノなので、それができる環境なのか、今すべきことかということをよく考えてからチャレンジしてもらいたいと思います。

関連リンク:

この記事が役に立ったらシェア!
メルマガの登録はこちら Web担当者に役立つ情報をサクッとゲット!

人気記事トップ10(過去7日間)

今日の用語

EC
「EC」は、Electronic Commerce(電子商取引)の略。Eコマース ...→用語集へ

インフォメーション

RSSフィード


Web担を応援して支えてくださっている企業さま [各サービス/製品の紹介はこちらから]