メール&アプリ苦境時代の新規会員獲得法「LINEログイン」導入のメリットを探る
Twitter、Facebook、Googleなどの大手SNS・ポータルサイトの会員登録情報を使って、別のサイトやサービスに会員登録できる「ソーシャルログイン」機能が普及して久しい。そして2017年、そのトレンドにも変化の兆しが見られるという。
フィードフォースの岡田氏による講演「LINEログインで実現するOne to Oneメッセージ配信の重要なポイントおよび活用例」が「Web担当者Forum ミーティング2017 秋」が行われたので、その内容をお伝えする。
ソーシャルログインの中でもLINEの存在感が急拡大
岡田氏が所属するフィードフォースは、ソーシャルログイン / ID連携ASPサービス「ソーシャルPLUS」を提供している。
岡田氏によれば、ソーシャルログインのトレンドがここ数年で激変しているという。その理由の大きなものがスマホだ。LINEが2017年7月に発表したレポートによれば、アクティブなネット利用者の実に85%がスマホを利用しており、これはPC利用者の46%を大きく上回る。さらにPCを使わずにスマホのみ利用するユーザーも46%に上るという。
ネットサービスの新規開発にあたって、特に会員獲得や売り上げ拡大を目指す事業者は、もうスマホを無視することなどできない。
スマホの台頭により、ユーザーのネット接触方法も変化した。第一に、PCと比較してユーザーが見る画面が小さくなった。それでいて、PCとスマホをまたいで利用するマルチデバイス環境も一般的になった。
そして何より、メールアドレスを覚えていないユーザー層も一定数いるという。
岡田氏は次のように言う。
30代オーバーであればEメールはなんだかんだで使ってきたわけだが、今の20代前半や10代後半となると、インターネットを使うようになったそのときからメッセージングサービスに触れていて、「メールって何だろう」という状況になっている
ソーシャルログインのメリットは、何よりその手間の少なさ。新規会員登録の際には、各プラットフォームから取得できる名前や住所などの情報を自動的にフォーム入力できるので、必須項目によっては2~3タッチで登録が完了し、再ログインは1タッチで完了する。画面が小さく、文字入力にやや難のあるスマホにはベストマッチのサービスだ。
そして、ソーシャルログインで使われるプロバイダーも変化してきている。フィードフォースの自社調査では、2016年に最も使われていたのはYahoo!で48.6%だった。しかし2017年になるとLINEの存在感が急激に上昇している。
ソーシャルPLUSでLINEログイン実装済みの企業の動向(直近1か月)を調べたところ、LINEログイン利用率は49%であった(同調査でのYahoo!ログイン利用率は21%)。スマホとLINEアプリの普及があいまって、これだけのレベルになっていると考えられる。
ネイティブアプリも苦境……ならば普及しているLINEの有効活用を
スマホの普及が著しい一方で、そのプラットフォーム上で動作するアプリについては厳しい状況が続いている。利用者がアプリをダウンロードする機会がそもそも減り、仮にダウンロードしても使われない傾向が各種調査でも明らかになってきている。また、使われるアプリの多くはメジャーなSNS系のアプリが大半で、ECサイトの独自アプリなどの利用率は相対的に厳しいという。
こういった状況を背景に、岡田氏は次のように断言する。
ユーザーがいつも使っているアプリの中で、ネイティブアプリのような別のサービスを提供できたらみんなハッピーという思想が出てきた。アプリの開発コスト、画面が小さくなってユーザー登録がしにくくなったことによる途中離脱、メール開封率の低減トレンド……こういった状況をすべて解決できるのは現時点でLINEだけ
実際、LINEにはメールマーケティングを代替するようなビジネス系の機能がすでにそろっている。
たとえば有料サービスの「LINEビジネスコネクト」では、保有する会員データベースとLINEアカウントをAPI経由で連携させ、チャットを通じた1to1でのコミュニケーションを実現。メールマガジン配信よりさらに踏み込んだ対応を可能としている。ただし、LINE ビジネスコネクトの契約が必要となり、メッセージは通数課金となっている。
これに対し、岡田氏がオススメとして挙げたのが「API型LINE@」と呼ばれるプランだ。これは一部パートナーのみが販売しているプランで、月額料金は3万円から。友だち登録数に上限はあるが、メッセージ配信ごとの通数課金はなし。それでいて「LINE@プロAPI」よりも全体的に多機能で、LINEアカウントによるソーシャルログインはもちろん、LINEログインと同時に自動で友だち追加ができる自動友だち追加機能が利用可能だ。
岡田氏は次のようにいう。
API型LINE@は、企業はもちろんユーザーにもメリットがある。通常の企業LINEアカウントだと「友だち登録してください」「ID連携してください」という企業側の思惑が働きがちだった。そのインセンティブがクーポンやスタンプなのだが、これだとどうしても一時的(な集客)になってしまう
API型LINE@については、ユーザーから見て「(LINEログインによって)会員登録が簡単になる」という明確なメリットがある。それでいて企業とユーザーが、ふだんから親しんでいるLINE上で簡単に相互コミュニケーションができる。システムを整える必要こそあるものの、ユーザーがメッセージを受信してその画面から直接問い合わせるといったことも可能であり、岡田氏も「企業からの一方通行でない点が重要」と重ねて指摘する。
LINEログインでリアル店舗連携も簡単に
LINEログインの導入によって、大きな成果を得た企業も多い。ある企業は、LINEの友だち登録数の増加ペースが約2倍に伸長つつ、しかしブロック数は現状のまま変化しなかった。
また、ゴルフポータルサイトの「ゴルフダイジェスト・オンライン」は、LINEログインをサイトに実装する一方で、「LINE Ads Platform」を利用してLINEアプリ内に広告を出稿。LINE Ads PlatformとLINEログインによる会員登録の組み合わせは、LINE Ads Platform以外の広告とLINEログイン以外での会員登録の組み合わせと比べると、新規会員獲得CPAが5分の1になったという。
また、リアル店舗で会員カードを発行するというようなシチュエーションも、LINEアプリとLINEログインの併用で代替できる。店頭に表示したQRコードを客のスマホで読み取ってもらい、最初の認証を済ませれば、それだけで登録はほぼ完了。紙の申込書に記入してもらうより手間も少なく、結果として約1か月で1万人のLINE友だちを獲得できた例があるという。企業側もLINEメッセージで顧客にアプローチできるため、ダイレクトメールの郵便代削減につながった。
このほか、LINE上ではチャットボットによるコミュニケーションも比較的簡単に行える。質問への1次対応、マーケティングへの応用など、メールマガジンとは異なるマーケティング手法への広がりも期待できる。
最後に岡田氏は、これまで500社以上の企業とLINE活用の商談をこなしてきた実績、そしてLINE APIの開発技術の高さをアピール。「弊社のソーシャルPLUSでは、API型LINE@をしっかりサポートしていく。LINE側で仕様変更があったとしても、われわれがその都度開発を行うので、お客さま側での対応も不要」「LINEに関することであればどんなことでも気軽に相談ください」と述べ、講演を締めくくった。
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