認定資格「LINE Green Badge」とは?取得メリットは? 難易度は? 受験者に本音を聞いてみた
2020年4月から開始したLINEの法人向けサービスに関する公式認定資格「LINE Green Badge(ライン・グリーン・バッジ)」は、LINE公式アカウントおよびLINE広告に関する知識や運用スキルが問われる認定試験に合格することで、LINEから知識レベルの証明を受けられる資格制度だ。
学習コンテンツの受講から受験まで、すべて無料かつオンラインで行えることもあり、LINEを活用したビジネスを行っている代理店やコンサルタント、個人などの取得者が増加している。
そこで「取得のメリット」「試験の難易度」「効果的な勉強法」など、気になる疑問と本音を「LINE Green Badge」取得者に聞いた。
今回お話を聞いた「LINE Green Badge」取得者のお2人
(※)肩書・役職・役割はいずれも2021年3月時点
LINEの魅力、強みとは
――お2人のお仕事と、LINEの法人向けサービスとの関連性について教えてください。
橋本 彩加氏(以下、橋本) ADKはマスメディアからデジタルまでの各種メディア、クリエイティブやプロモーション、データ戦略まで、コミュニケーションを中心としたマーケティングソリューションを幅広くご提供している総合広告会社です。私は新卒から営業を担当していましたが、クライアントと接する中でデジタル領域への興味が強くなり、2年前にプラットフォーマー、及び周辺ソリューションベンダーとのパートナービジネスを推進するアドテク本部に異動しました。
その中で、LINE公式アカウントやMessaging API、LINE広告をクライアントに提案する機会が増えました。現在は部門を横断してLINE活用の戦略提案推進を図るプロジェクトチームを立ち上げ、そのリーダーを務めています。
Messaging APIとは:LINE公式アカウントを通じたユーザーとの双方向コミュニケーションを実現する、LINE株式会社が提供するAPI(Application Programming Interface)。
坂本 真由子氏(以下、坂本) ソウルドアウトは、中小・ベンチャー企業のデジタルマーケティングの支援を行っている会社です。入社して以来、クリエイティブによる成果改善を担当する部署に所属していましたが、2年前にLINE事業本部が立ち上がると同時に異動しました。今はクリエイティブ、営業、運用を一貫して担当し、チームリーダーを務めています。
――企業から見たLINEの魅力、強みなどをどう捉えていますか?
橋本 やはり、月間利用者数8,800万人(2021年3月末時点)というユーザー数を基盤に、老若男女に幅広くリーチできることでしょうか。特にLINE公式アカウントは、ユーザーが「友だち」として自らの意思で企業のアカウントをフォローしてくれるので、親和性の高い見込み客として囲い込むことができます。また、アンケートやチャットなど継続してコミュニケーションをとれるのも魅力ですね。スマートフォンが手放せなくなった現在、企業がユーザーと常に寄り添える数少ないメディアだと思っています。
昨今はコロナ禍もあってリアルな場でユーザーに接することが難しくなっていますが、LINEでオンラインのコミュニケーション機会を増やすことができれば、購買のハードルを下げることもできます。コロナ後もさらに活用が広がるのではないでしょうか。
坂本 当社の顧客企業はニッチな業態・業種も多いので、LINE広告は「幅広いリーチの中から必ずターゲットを抽出できる」というのがすごくありがたいですね。
たとえば、ある人材系の企業事例ですが、全国から広くユーザーを獲得したくても、他のメディアではエリアに偏りが生じてしまうという課題がありました。ですが、LINEは都心部だけでなく地方にもユーザーが存在します。全国からまんべんなく獲得できるため、出稿企業も驚くと同時に、すごく喜ばれていました。
もし、LINE広告で取りこぼしたユーザーがいても、LINE公式アカウントでは異なるアプローチが可能ですし、LINE広告でLINE公式アカウントの「友だち」を増やす広告を配信することもできます。リーチから関係構築、コンバージョンまで一貫してできる、すごいメディアだと思います。
学習から受験まで、すべてが無料でオンライン完結の「LINE Green Badge」
――「LINE Green Badge」の概要を教えていただけますか。
清水 花織氏(以下、清水) 「LINE Green Badge」は2020年4月27日にスタートした、LINEの法人向けサービスに関する認定資格制度です。現在、取得可能な資格は「LINE公式アカウント」と「LINE広告」の2種類があり、それぞれ難易度によって「Basic」と「Advanced」に分かれています。
- Basic: 初期設定から操作方法に加え、基本的な運用知識があると認められた受講者に付与される資格
- Advanced: 基本的な仕様を理解した上で、最適な運用・改善提案の知識があることを認められた受講者に付与される資格
サービスを活用するための知識や運用スキルをオンラインプログラムで学習し、認定試験に合格すると「LINE Green Badge」が発行されます。学習も認定試験も無料で、一度落ちてしまうと再試験には1週間程度の間隔が必要ですが、所定の上限受験回数に達するまで、複数回受験が可能です。
ちなみに、私はLINEのパートナーマーケティングチームでアシスタントマネージャーを務めています。チームのミッションは「パートナーさんと共にLINEの活用を広げ、より高い価値を得ていただくこと」で、パートナー関連の施策を担当しています。
「LINE Green Badge」が目指すものと取得メリット
――LINEが認証資格をはじめた背景には、どんな目的がありますか?
清水 LINEの法人向けサービスの利用企業が増加していく中で、各サービスの基本知識はもちろん、最新の情報や活用法などに簡単にアクセスできるプラットフォームが求められていました。そこで、e-ラーニングによる資格制度を通じて情報を提供するという方法を考え、「LINE Green Badge」が誕生しました。
開始当初の試験内容は、LINE側がパートナーさんに知ってほしいことを中心に組み立てていましたが、1年が経過した今は受講者からのフィードバックを参考に、より実務的、実践的な内容になりつつあります。パートナーさんから見てリアルな“使える”資格としてさらにブラッシュアップしていきたいと考えています。
――ちなみに橋本さんと坂本さんは、「LINE Green Badge」は4種類すべて取得されているんですか?
坂本 はい、4種類すべて取得しています。何しろ、所属する事業部名が「LINE」でしたから、もうこれは取得しないわけにはいかないと……。実際に取得したのは2020年12月くらいですね。
橋本 私も2020年秋から年末にかけて4種類すべてを取得しました。いまや社内に取得を推奨し、圧をかける……いえ、鼓舞する側です(笑)。
清水 ありがとうございます! おそらくお二人のようにLINEの活用の最前線にいらっしゃる方には、すぐに取得のメリットを感じていただけるのではないかと思います。LINEとしては取得メリットを大きく3つで考えています。
- メリット①:個人単位でのスキル証明ができる
- メリット②:新しい情報にスムーズにアクセス・アップデートできる
- メリット③:より積極的に深い情報を得たり、疑問を解消したりする“場”が用意される
1つ目のメリットは、「個人単位でのスキル証明ができること」です。これまでパートナープログラムの表彰制度はありましたが、これは代理店単位の表彰であって、個人単位のスキルを証明するものではありません。一方、「LINE Green Badge」はLINEが公式に個人単位で知識・スキルレベルを認定するため、顧客にも社内的にも安心感や訴求力を高めることができます。
2つ目は、「LINE公式アカウントやLINE広告の新しい情報にスムーズにアクセスでき、アップデートできること」です。単に更新情報だけでなく、成功したクリエイティブの事例やコツ、サービス事例、新機能の活用法などを提供しており、資格を継続的に更新していくことで自動的にそれに触れられるという形式にしています。
そして3つ目、2021年から特に強化しているのが、より積極的に深い情報を得たり、疑問を解消したりする「場づくり」です。
まだ始めたばかりの取り組みですが、先日、資格を取得された方向けに「LINE Sharing Meeting」を開催しました。サービス関連の更新情報とデジタルマーケティングのトレンド紹介、そして最新事例についてLINEの担当営業が提案内容を説明しました。これが大変好評で、アンケートの満足度は5段階中平均で4.0という評価をいただきました。今後は毎月、継続的に開催できればと考えています。
Advancedの合格率は20~30%が“ちょうど良い”
――現時点でのLINE Green Badgeの取得人数はどれくらいですか? どんな方が取得されているのでしょうか?
清水 資格の取得数はのべ4000件、人数で言えば1800人(どちらも2021年3月時点)です。代理店の方が58%と多いですが、今年に入ってからは地方のコンサル会社、大手企業のマーケティング担当の方なども増えていますね。また、中小企業はもちろん店舗、小規模事業者の方にもどんどんご利用いただきたいです。
――気になる合格率はどのくらい?
清水 2021年3月時点、LINE広告のBasicが約55%、Advancedが30%、LINE公式アカウントのBasicが約60%、Advancedが20%です。
――おお、けっこう厳しめというか、特にAdvancedはかなり難しそうですね。そうなると、エキスパートとしての知識や実践力が必要になりそうです。橋本さん、坂本さんは受験してみていかがでしたか。
橋本 実はLINE広告のAdvancedは、1回では合格できなかったんです。ちなみに、社内のほとんどの人がそうでした。ただ、日頃業務としても深く触れているLINE公式アカウントのAdvancedに関しては1回で合格することができました。
坂本 私もちょっとした表現部分などの引っ掛けに迷ったりして……でも、次に受けたときは問題文が修正されていましたね(笑)。
清水 そうなんです、ご指摘の通り、以前は文章表現のまぎらわしさがあったので、そこは修正させていただき、より実践的な内容にしました。
――Advancedの合格率30%や20%というのは、ハードルが高い印象です。これは適切な難易度なのでしょうか?
清水 現時点での合格率がちょうどいいと思っています。「LINE Green Badge」は、誰でも取れる資格ではなく、「持っている人はすごいんだよ」「LINE広告やLINE公式アカウントについての実践的な知識を持っているんだよ」ということが証明できるものにしたいんです。
また、資格継続には1年に1回受験する必要があるので、常に新しい知識を持っていることも証明できます。まもなくサイトをリニューアルするのですが、その際にそれぞれの資格が証明するレベルや内容について明記する予定です。
受験することによって知識を網羅的に把握できた
――証明する内容が明確になっていれば、受験する方々の目安にもなりますね。坂本さんと橋本さんも知識レベルの証明を目的に受験されたんですか?
坂本 そうですね。LINEとの関連性が強い業務内容のため、自分自身の知識の確認と、顧客や社内に対するスキル証明のために受験しました。自分がこれまでやってきたことに確信が持てたと同時に、盲点というか、知らなかった部分も明らかになり、知識を網羅的に把握できたのがとても良かったです。
たとえば、これまでメイン業務として接する機会が少なかったアプリインストールを訴求するような広告配信、クロスターゲティングの手法などを知ることができたため、自分の領域の目的や効果を再認識できました。
社内でも同様で、「個人の強みが明確になったこと」と「全員が資格を取得して共通認識を持った上で話ができるようになったこと」は、大きなメリットでした。
橋本 私が受験した2020年秋頃、実は多くのクライアントから「LINEを使った企画を提案してほしい」との要望が増え、社員の知識レベル向上に資格試験が役立つのではないかと思い、自ら経営陣に「資格取得の推進」を打診しました。経営陣のなかには率先して取得してくれた人もいて、「自分も取るから、みんなも取ろう!」と鼓舞してくれました。
私個人としては苦手意識のあるLINE広告のBasicから受け、その後、LINE公式アカウントのBasic、LINE広告のAdvanced、LINE公式アカウントのAdvancedという順番で受験していきました。両方の資格を取得したからこそ、LINE広告だけでなくLINE公式アカウントやクロスターゲティングなど連携型の提案に自信が持てるようになりました。
特に実践ベースだと、組織や役割分担が細分化するほど、知識の偏りが生じやすくなりますが、資格試験を通じて網羅的な知識を得られたのは大きいです。
効果的な勉強法は“チームでの知識共有”
――「LINE Green Badge」受験に当たって勉強はどう進めましたか? コツを教えて下さい。
坂本 まずはざっとオンラインプログラムに目を通してから試験を受け、試験内容を把握した上でもう一度、資料に目を通すというBasicな方法で挑みました。資料はかなりボリュームがあるので、要点をつかんで効率よく勉強して資格試験に臨むことがポイントでしょうか。
橋本 私も同じです。オンラインプログラムは動画ではなくPDF資料なので、自分のペースで進められるのがよかったですね。不明点や詳細についてはLINEの法人向けサービスのポータルサイト「LINE for Business」の中にあるマニュアルなどを辞書的に使って調べていきました。あと、無料でLINE公式アカウントを開設して、実際に触ってみるなど実践的な勉強も行いました。
――チームメンバーとの連携は?
坂本 各自が自習して好きに受けるという形では難しいと感じ、チーム全員で「この日に受けるぞ!」と毎週決めて受験しました。受験後は全員でオンラインミーティングをしながら、難しかったところ、わからなかったところなどを共有し、答え合わせをしながら議論する機会を持ちました。それが、すごく勉強になりましたね。
本当はみんなで一発合格を目指していたのですが、社内でそういう議論の機会を持てたので、結果的に一度は落ちてよかったなと(笑)。
橋本 私たちも、社内のコミュニケーションツール上に状況や疑問を共有できる場を作って、チームで取得を推進していきました。試験の中で難しいポイントを、社内の専門家、たとえば元SEで技術に詳しい人に確認したり、日常業務の範囲でも得手不得手をお互いに補完しあったり、情報をシェアしながら勉強していきました。同時に社内で集中講義も行い、まるで全社が受験シーズンのようでした(笑)。
実際の業務においてもメリットはある?
――資格試験を通じて、チームでナレッジ共有ができた点を評価しているお二人ですが、対外的な仕事ではどんなメリットがありましたか?
橋本 断然、提案の幅が広がりました。クライアントさんから、「LINEでできることを整理して説明してほしい」と言われ、得た知識をすぐに活かすことができました。
たとえば、「データの取り扱いに関する細かなこと」や「どのようなアカウントならばクロスターゲティングが可能になるのか」など、かなり詳細な質問にも答えられるようになりました。
坂本 提案力が高まったのは間違いないと思います。
資格試験には、「コストパフォーマンスを抑制しつつ認知拡大のコンバージョンを得るには?」「ターゲットの切り方はデモグラと類似でどちらがいいか?」など、深い運用知識が求められる設問があります。そうした設問を通じ、チーム内でもディープな議論を重ねることで提案力の幅が広がりました。
企画・運用だけでなく、営業職にもオススメ
――「LINE Green Badge」の取得は、どのような人にオススメできますか?
坂本 代理店に限って言えば、全員にそれぞれメリットがあると思いますね。Basicはともかく、Advancedはかなり難しいので気軽にはおすすめできないのですが(笑)。なかでも特におすすめだと思うのは、若手の営業担当者でしょうか。リリースして1年とまだまだ新しい資格のため、取得者が多いわけではありません。そのなかで「私はLINEに詳しいです」と言えるようになれば、自分のブランディングにもなると思います。
橋本 当社もこれまではデジタル広告とコミュニケーションプランナー、データ戦略周りの担当を中心に取得していますが、私個人としては是非とも営業担当者に取得してもらいたいです。クライアントと直接コミュニケーションをとる人が、何か相談された時にすかさず「それってLINEで解決できますよ」と提案できるようになるのは大きいと思います。
その意味で、Basicの前に「LINEで何ができるのか」を学べるエントリーラインのようなものがあれば嬉しいですね。
清水 エントリーライン、検討します!
いずれは必ず履歴書に書かれるTOEICのような資格に!
――ありがとうございました。「LINE Green Badge」の概要からメリットまでよくわかりました。今後について、「LINE Green Badge」に要望などありますか?
橋本 なかなか難しいことではあると思うのですが、資格の認知度アップですね。特にAdvancedについては、その難易度も含めて当社としても訴求していきたいので、ぜひお願いしたいです。
坂本 同じく認知度ですね。実際に受けて難しいということがわかっているからこそ、一回で合格したメンバーは社内で一目置かれるようになりました。この難易度だからこそ、認知度が上がると嬉しいですね。
あとは、実践に役立つ資格を取得していることを強みとしていきたいので、問題にはこれからも良い実践例を盛り込んでもらえればと思います。
清水 ありがとうございます! 貴重なご意見として検討させていただきます。何より認知度ですね。ゆくゆくは「LINE Green Badge」をTOEICや先行するGoogleなど他プラットフォームの資格と同様に、デジタルマーケティングに関する履歴書には必ず書かれるくらいに育てていきたいです。今日は本当にありがとうございました。
――ありがとうございました!
企業マーケティングにおけるLINEの存在感が増すとともに、広告運用や営業担当者が、LINE公式アカウントやLINE広告についての知識や運用スキルを問われる機会も増えてくる。
「LINE Green Badge」は、知識やスキルを公式に証明してくれるだけでなく、取得の過程において実践的な幅広い知識を得ることができ、取得後も継続的に最新情報や活用法を学び続けることができる。代理店や企業マーケ担当者にとって一石三鳥のありがたい資格だと言えるだろう。すべてオンラインで行えて、無料なのも嬉しいところだ。
まずは気軽にオンラインプログラムに目を通して、自分の知識を計ってみてはいかがだろうか?
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