Step 2-11 UXに基づくシナリオ例②BtoBサイト
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クイズ
- BtoBサイトのユーザーシナリオは、BtoCと同じように作れるでしょうか?
- BtoBサイトならではの事情、ニーズを考慮して、シナリオを作る
BtoBとなると相手が企業になりますから、ニーズが異なってきます。しかしご安心ください。ターゲットユーザーを明確にし、本質的なニーズを掘り下げれば、シナリオは作成できます。たとえば、会社の商品を新規導入を任された担当者と、その商品のメンテナンスをする担当者ではニーズが異なります。そうしたニーズごとにシナリオを作れば良いわけです。
ただし、BtoBでは会社の事情が入ってきますし、導入に大きく影響を及ぼす人は多くなります。競合との厳しい比較もあるでしょうし、決定までに時間がかかりそうです。そうした事情を考慮したユーザーシナリオにしていきましょう。
Step 2-10ではBtoCサイトの例を取り上げましたが、Step 2-11ではBtoBサイトのシナリオ作成ポイントと簡易的なシナリオ例を取り上げます。シナリオ作りには熟練技が必要ですから、すぐにシナリオ作りができるようになるわけではありません。あくまで、BtoBのシナリオってこういうものなんだな、ということを知っておいてもらえればと思います。
Step 2-10は、Webサイト構築・運用のためのワークフロー中、設計フェーズの「サイト設計」に関わる内容です。
戦略策定フェーズ | 1. プロジェクトの発足 |
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2. プロジェクトの方向性の決定 | |
3. Web戦略の策定 | |
設計フェーズ | 4. サイト設計 |
開発フェーズ | 5. サイト制作・開発 |
6. 運用準備・運用開始 | |
運用フェーズ | 7. 運用・効果測定・改善 |
BtoBサイトのユーザーシナリオ作成ポイント
ターゲットユーザーの会社の中での役割に着目
BtoBサイトのユーザーシナリオを作成する際には、ターゲットユーザーが会社のなかでどういう役割を担っているのか、何をすることで組織から褒められるのかに踏み込むことが重要ポイントになります。
たとえば、自社にあるWebサーバーのメンテナンスを担当している人のことを考えてみましょう。ハードウェアが劣化する前に買い替えることが役割の1つだとすると、適切な時期に、予算通りにハードウェアを買い替えれば、役割を果たすことができます。さらにコストパフォーマンスがあがっていれば、褒められるでしょう。そこで、前回ハードウェアを納品した会社は、前にハードウェアを購入した時期をみて、買い替え時期にコストを考慮したお知らせをすれば、購入に結び付く可能性が上がります。
シナリオを作成する際に考えるべきなのは、単にWebサイトの中だけでなく、サービス全体まで踏み込んで、ユーザーがもっている役割を考慮し、その人がどうあったら褒められるのかを追求することです。そのためにも、ユーザーのことを調査・分析しておくことが大切です。
- ターゲットユーザーのもっている「会社の中での役割」「どうすれば会社に褒められるか」を考える
複数の役割に対応したシナリオの作成
なお、役割にはいろいろあります。先ほどのWebサーバーのメンテナンス担当者が、新しいWebサーバーの導入を検討する役割ももっているかもしれません。そうした役割に対応するシナリオも必要でしょう。複数の役割にどのように対応するか、そこを定義することが大切になります。
- 複数の役割に対応したシナリオを作成する
では、簡単なシナリオ例を2つあげてみましょう。
総務部(ノートPC 新規購入担当者)向けの例
総務部でノートPCを新規購入する必要ができていた場合のシナリオを考えてみました。リモート環境を整えるため、こうした状況が発生している企業も少なくないでしょう。スペックや価格はあらかじめ決められているとして、BtoB向けのECサイトから購入する例です。
役割:スペックと予算に合ったノートPCを、期日どおりに新規購入する
広告や検索結果からWebサイトに訪れたユーザーがどのようにサイトを体験し、役割を果たすのかを示しています。その際、どのような機能やコンテンツがあると、スムーズにこの流れで進んでもらえるか、図の下にユーザーの感情を書いています。たとえば、このシナリオでいえば、稟議書に必要と思われるスペックや価格、特長、保証期間などを記した資料をダウンロードできるようにすると良いことがわかります。
総務部(ノートPC メンテナンス担当者)向けの例
こちらは、新規購入者と同じ総務部の人が、故障の対応という役割も担っている場合のシナリオ例です。利用者からの「故障かも?」という連絡に対し、いかに迅速に対応できるかが、褒められるポイントです。
役割:ノートPCを使っている社員からの「故障の対応」に迅速に答えられるようにする
ログインするとチャットボットがすぐに状況を聞き、故障かどうかを判断し、故障ならば修理する方法を案内してくれるというシナリオにしています。このシナリオによると、チャットボットはもとより、詳細な修理方法のドキュメント、想定される質問へのFAQをあらかじめ用意しておくことが必要だということがわかります。
Step 2-11でいう「役割」は、「本質的なニーズ」とも置き換えることもできます。こうして、さまざまなニーズに対応したシナリオを用意し、それらを整理して、すべてのニーズに応えられる企業サイトを制作すると良いでしょう。
2-11では、BtoB向けサイトのシナリオ例を紹介しました。Step 2-12からは、制作などを外注するときの注意点などを紹介していきます。
- ポイント
- 2-11「UXに基づくシナリオ事例②BtoBサイト」のポイント
- ターゲットユーザーのもっている「会社の中での役割」「どうすれば会社に褒められるか」を考える
- 複数の役割に対応したシナリオを作成する
- やってみよう
- BtoBサイトのターゲットユーザーの役割を1つ想定し、シナリオを作成してみよう
- もっと学び、成長するために
- Step 2-11で紹介した例をダウンロードできます。
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