Step 4-6 ビジネスの成長につなげるネット広告を考える
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クイズ
- 「広告で集客すれば人が集まって、CV(コンバージョン)も増える」。この考えは〇でしょうか?
広告を出しさえすれば成果が出せるというのは、結論からいうと、「〇」とはいえません。確かに、広告の仕組み上、たくさん広告を出せば人を集めることはできます。しかし、せっかく人を集めてもWebサイト側にその準備が整っていなければ、企業が期待しているCVには結び付かないのです。
当たり前のように聞こえるかもしれませんが、これができていない場面に出くわすことがとても多いです。広告から来訪したユーザーが、CVにつながる行動を起こしていただけるよう、Webサイト内で準備を整えておく必要があるのです。
- とにかくお金を使って広告で集客さえすれば、CVが増える
4-6では、ネット広告を活用して、ビジネスの成長につなげる考え方を紹介します。
Webコンテンツの棚卸しをしてから、広告を出そう
広告で集客したWebサイトに目的の情報がなければ、ユーザーはすぐにその場を去ってしまいます。こうした傾向は今に始まったことではありませんが、スマホでのネット利用が増えたこともあり、ますます顕著になっています。そのため、「誰に対して何を提供しているのか」を明確にした上で、しっかりWebサイト内に表現をして、そのコンテンツを使って広告を出す、というやり方をとることが求められます。
たとえばネット広告のなかには、まさにWebサイトのコンテンツを使って広告を出す「動的検索広告(DSA:Dynamic Search Ads)」という手法があります。検索キーワードに関連した広告を表示する「リスティング広告」の手法の1つです。ただ、通常のリスティング広告のように、広告を出したい検索キーワードを指定するのではなく、Webサイトのコンテンツを指定します。すると、このコンテンツと関連性の高い検索行動をするユーザーに広告が表示される仕組みです。Webコンテンツが「誰に、何を」を明確に整えていることが、そのまま成果につながる広告手法といえるでしょう。
Webサイトのリニューアルにおいては、「誰に、何を」を設計に落とし込んで制作していると思いますが、広告でもそれが重要になります。誰のためのどのようなコンテンツがあるのか、Webサイト内のまずは棚卸しをしてみて、それを広告でどのように流通させていくか、ここを考えることが重要です。
大切なのは、アセットを整え、磨き上げること
上記でWebサイトのコンテンツを使った「動的検索広告」の手法を紹介しましたが、日々進化したネット広告では、「Webサイトのコンテンツ」「商品情報データベース」「ユーザーリスト・顧客データ」といった社内にあるデータを使って広告を打つ手法が主流になっています。こうした企業が保持するビジネス上のデータを「アセット」と呼びます。
たとえば、アセットの1つである「商品情報データベース」を利用したものに「ショッピング広告」があります。これは、商品情報データベースのデータからターゲティング(広告を表示したい商品を設定)することで、ユーザーの検索ワードにマッチした商品が表示されるようになる手法です。
また、Webサイトの訪問履歴を利用した「リターゲティング広告」は、Webサイトに訪問したことのあるユーザーに、再度訪問を促すための手法です。一度訪れたことのあるWebサイトの商品が、他のサイトでも広告として表示される経験をされたことがあると思います。ただし、Cookieを利用するこの手法はプライバシーに対する意識の高まりに伴って、徐々に別の手法に置き換わっていくことが想定されています。
いずれにせよネット広告では、企業が保持するビジネス上のデータであるアセットが広告の成果の鍵を握っています。Webサイトのコンテンツはもちろん、商品情報データベースも、広告に活用することを考慮して項目を整理し、磨き上げていくことで本質的なビジネスの成長につながると考えられます。
広告をテストマーケティングとして使ってみよう
実際に広告を出してみると、想定していた「誰」ではなく、想定外のユーザーも来訪していることがあります。その場合、「ターゲットユーザー向けに絞った広告に改善しよう」と思いたくなるかもしれません。しかし、どうかそれだけで終わらせないでください。想像し得なかったユーザーが来てくれたことが、CV増加に結び付いている可能性もありますから、きちんとした分析が必要です。
たとえば、想定していたのはA層のユーザーだけれど、広告を出してみたらB層のユーザーも来訪していることが判明した。そうなったら、B層についてよく考えたり、分析したりしてみましょう。B層もサイト内で期待どおりに行動してくれていることがわかったら、新たにB層に向けた文言を入れるなど、コンテンツの更新を行います。そして、B層ユーザーの課題にも応えられるという広告を出すわけです。
シングル・ループ学習とダブル・ループ学習
このように、広告を出すことで新しい可能性を発見できることがあります。大事なのは、想定外のユーザーがサイトを利用してくれているのは、「想定外のユーザーにコンテンツや商品が評価されている」ということです。広告の効率を上げる改善だけではもったいないです。次図のように、広告の結果から「広告を改善する」ことをシングル・ループ学習とすると、「Webサイトや商品・サービスのアップデートも行う」ことはダブル・ループ学習と位置付けられます。ぜひ、ダブル・ループ学習にまで広げて、広告を活用してください。
まだECサイト内に「大きいサイズ」というカテゴリが存在していなかった頃、「大きいサイズ XX」という検索があることからページを用意。すると大きいサイズのアイテムを求めている多くのユーザーを集客して、売上に結びつけることができた、というエピソードがあります。
これは、新しいユーザー層の発見から品揃えを追加して成功した事例といえます。思わぬ顧客がみつかったときに、サービスそのもの、商品そのものを新たなターゲット向けに作り変えることも検討するとよいでしょう。こんなふうに、広告を新たなユーザー層を見つけるためのテストマーケティングとして活用してみてください。
4-6では、ビジネスを成長させるためのネット広告活用について、考え方のポイントを紹介しました。4-7では、リスティングや画像を使った広告のケーススタディを紹介します。
- ポイント
- 4-6 「コンバージョンUPを狙うネット広告を考える」のポイント
- Webコンテンツの棚卸をしてから、ネット広告を出そう
- アセットを整え、磨き上げることが重要だと知ろう
- 広告をテストマーケティングとしても使おう
- やってみよう
- 自社のネット広告はどのような手法を用いているのか、確認してみよう。
- もっと学び、成長するために
次の記事が参考になります。
- 「SEO×広告のコラボで効果を最大化! 4つの事例から考える、これからの打ち手とは」https://webtan.impress.co.jp/e/2021/10/28/41717
次の本が参考になります。
- 『ネット広告運用“打ち手”大全 成果にこだわるマーケ&販促 最強の戦略102』 寳 洋平他:著 インプレス:刊
- 『いちばんやさしいリスティング広告の教本 人気講師が教える利益を生むネット広告の作り方』 寳 洋平他:著 インプレス:刊
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