#07 ダイレクトメールは今も有効なメッセージ伝達手法 ~新規顧客をみつけるための10の方法
[特集]新規顧客をみつけるための10の方法 リードジェネレーション入門
ネットもネット以外も全部まとめてプランしよう
取材・文:編集部
協力:富田 直人(株式会社イノベーション 代表取締役)
1987年大学卒業後、株式会社リクルート入社。コンピュータビル、大型汎用機の時間貸し事業の営業(RCS事業)。FAXマーケティング事業の企画営業、マーケティング、マネジメント(現ネクスウェイ)。「キーマンズネット」の立ち上げ、営業・マーケティングを担当。2000年末リクルート退社後にイノベーションを設立。著書に『売れる営業は満足より感動』
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ダイレクトメール(DM)とは、葉書や封筒などの郵便により特定の個人に対して直接メッセージを伝える、ダイレクトマーケティングの手法の1つだ。
広くはFAXや電子メールなども含まれ、その形態はさまざまあるが、ここでは葉書や封筒など紙のダイレクトメールによるリードジェネレーションに注目する。インターネットの普及で影に隠れがちだが、紙だからこその利点は多いのだ。
見込み客からメディア会員まで、さまざまな手段でアプローチ
一口にダイレクトメール(DM)といっても、その形態はさまざまだ。郵便なのかそれともメール便や宅急便なのかといった配達の手段による分類もあれば、手紙、葉書、カタログ、チラシ、小冊子などコンテンツによって分類することもできる。
どの手段でも課題になるのが、送付先となる顧客情報をどうするか、リストをどうするかだ。
利用できる送付先リストとしては、帝国データバンクや東京商工リサーチ、ダイヤモンド社などのデータベース会社のリスト、ネットから集めた広告掲載や団体の会員リスト、または社内のハウスリストなどが挙げられる。
また、媒体(メディア)社などの同梱サービスを利用することもできる。これは、出版社やカード会社などが、定期購読物や会員への会報、請求書などを送る際に、そこにカタログやチラシを同梱するサービスだ。形や分量は限られるが、媒体ごとの絞り込まれたリード獲得が期待できるのが利点だ。コストも一件あたり数十円からと安価だ。
次にDMの発送だ。外注先を使う場合は大きく次の3つにわけられる。
- 発送代行会社
- DMの企画制作会社
- マーケティング会社
1は発送のみ、2はコンテンツ制作のみの委託となる。3のマーケティング会社にはリード獲得の企画からコンテンツの制作送付先リストの提案まで、さらにはその後のフォローや効果検証までを一括して依頼できる。
まったく新規のリード獲得となると、DMの送付先から探さなくてはならない。たとえば「○○業界向けの製品を開発したので効果的な営業先を見つけたい」といった場合に、製品・サービスを理解して、適切な営業先を提案し、パートナーとして動いてくれる存在は心強い。また、イノベーションではDMを利用するときに、テレマーケティングを組み合わせて実施する案件が多いのだが、こうした複合的な提案ができるのもマーケティング会社の強みだ。
DMで受付を突破せよ――開封させるクリエイティブ
DMならではの利点に“直接手元に届く”ということが挙げられる。たとえば企業の役員にコンタクトするとしよう。直接電話をした場合、代表電話の入り口でブロックされることが簡単に想像できるはずだ。しかし、DMなら直接手元に届けることができる。そして、DMが届いたタイミングで「先日お送りした○○は見ていただけたでしょうか」と電話でコンタクトするのだ。
だがDMも開封されなければ意味がない。開封率を上げる基本としては、
- キャッチで興味を引く
- 定形外や厚みをつけた郵便で目立たせる
などの工夫が必要である。
さらに、結婚式の案内などでよく使われる、「大礼紙」と呼ばれる上質の紙+毛筆書体で送るのも有効だ。こうした手紙は重要なご案内が多く、秘書の選別をもくぐり抜けられる。会社設立や上場の案内、役員交代の案内などで見かけたことはないだろうか。この場合、多忙でもすぐに確認しないわけにはいかないので開封率は非常に高い。
仮説と検証がなければ意味がない
成否はPDCAサイクルで測る
どのリード獲得手法にもいえることだが、仮説を立てて効果検証することが必要だ。たとえば、5000件のDMで1通あたり200円のコスト(制作費、送料、発送代行手数料)なら100万円かかる。そのDM発送から100件の返信があれば、1リードあたりの獲得コスト(CPA:Cost per Acquisition)は1万円となる。その獲得コストが投資対効果に見合わなければ継続させるのは難しい。
DMを5000件発送
↓1通あたり200円のコスト
合計コストは100万円
↓コンバージョン(返信)率2%
100件のリードを獲得
↓100万円÷100件
1件あたりの獲得コストは1万円
DMは1件ごとに郵送費や印刷代がかかるため、ネットの検索連動型広告やメール広告などに比べると高コストになりがちだ。そのため、リストやクリエイティブについて綿密なプランと検証をし、改善を繰り返すべきである。
DMのキャッチの大きさや位置、文言はどれが適切なのかなど、継続して検証すべき点は多い。リードジェネレーション手法とうまく組み合わせたうえで、仮説検証を立ててPDCAサイクルを回すのが、DMによる見込み客の獲得を成功させるポイントだといえるだろう。
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