アフィリエイトの「レビュー」サイトによる商標権の侵害で、DSWがZapposを提訴(前編)
願わくは、この投稿がSEOmoz読者各位の御意にかないますように。
靴の大手小売店DSWは5月、Zappos.comとCommission Junctionを商標権侵害で連邦地方裁判所に提訴したの。この件の背景について簡単に説明しておくわね。
- DSWは2000年頃からDSWshoes.comを運営している。このサイトには、同社の従来型店舗200店以上の情報が掲載されているけれど、オンラインで靴の販売はしていない。
- Zapposは靴をオンラインで販売しており、昨年の販売数は8億4000万足を上回った。同社はCommission Junctionの支援を受けながら、効果的なアフィリエイトマーケティングキャンペーンを展開している。アフィリエイトパートナーが作成していたいくつかの「レビュー」サイトでは、DSWについて好意的な説明文を数多く掲載していたが、その際、同社の写真を使用していたという。これらのレビューサイトには、Zappos.comへのアフィリエイトリンクも含まれていた。
- DSWは2008年4月、オンラインストアDSW.comを開設した。
- DSWは同サイトを開設して数週間の内に、ZapposのアフィリエイトパートナーがDSWの商標を使用しているとして、商標権侵害でZapposを提訴した。
- Techdirtによると、DSWはZapposに電話やメールで連絡をとったり、商標使用の停止を求める書面を送付したりはしなかったという。そういうことはせず、単に提訴し、自社の知的財産を「断固として保護」することを知らせるプレスリリースを発表しただけだった。
- ZapposのCEOであるトニー・シェー氏は、Twitterにフォロワーが多くいることを利用して、DSWのプレスリリースに即座に「
おかしなやり方だ。DSWがZapposを提訴したことをプレスリリースで知ったんだ。電話や、手紙や、メールを送るほうが生産的なはずなんだが
」と反応し、フォロワーの支持を集めた。
この訴訟は単なる売名行為?
DSWがZapposとの問題を訴訟以外の方法で解決しようとしなかったことと、DSWがオンラインストアを開設したのが最近だということから、この訴訟は新しいサイトに人々を引き付けようとする売名行為の一環にすぎないんじゃないかとの見方が出てきた。
訴訟はとても費用と時間がかかるものだから、これがリンクを獲得するための計略に過ぎないなんて私には信じられないわ。それだったら、商標使用の停止を求めた書面がたまたま表に出るという形をとったとしても、同じような効果が得られたんじゃないかしら。DSWがこの厄介で費用のかかる司法手続きに着手したのはリンクベイトキャンペーンのため? 疑わしいわね。でも、もっと奇妙な点があるの。
なぜDSWはZapposでなくアフィリエイトパートナーを提訴しないのか?
不正行為が行われているという主張はすべて、少数のアフィリエイトページに関わるものだというのに、個々のアフィリエイトパートナーは誰も提訴されていないし、言及すらされてないのよ。DSWはその代わりに、潤沢な資金を持っているZapposとCommission Junctionを標的にしているというわけ。
Commission Junctionに対する訴訟はどうなっている?
DSWの訴状は、Commission Junctionをアフィリエイトマーケターと見なしている点でも、不正確なのよね。
情報と信念に基づくところ、Commission Junctionは、同社がアフィリエイトマーケティングと呼ぶものを利用したオンライン広告の提供企業である。Commission Junctionが同社の顧客向けに採用している「アフィリエイトマーケティング」手法の中には、定評のある小売業者と類似、あるいは同一の名称を使用しているウェブサイトからのアフィリエイトリンクをこれらの顧客に提供することが含まれており、その目的は、定評のある小売業者、またはそうした小売業者に関する情報を求めてインターネットを検索する潜在顧客を引き付け、Commission Junctionの顧客のウェブサイトに送り込むことである。
情報と信念に基づくところ、Commission JunctionはDSWの許可を受けることなく、Zapposの利益のために、「www.dswreview.com」「www.dsw-shoes.net」「www.dswshoesreview.com」というドメイン名のウェブサイトにつながるアフィリエイトリンクを提供している。
Commission Junctionのサービスに関する記述は誤解に基づいているし、なんだか歯切れがよくないわ。Commission Junctionはオンライン広告そのものを提供していないのよ。同社の事業はどちらかというと出会い系サービスみたいなもの。Commission Junctionは広告主とパブリッシャのマッチングを行い、両者の関係における評価指標を記録する。訴状の記述は不当にも、Commission Junctionがウェブサイトとそのコンテンツ、リンクを作成したと示唆しているわ。DSW側の弁護士がCommission Junctionの事業内容を明確に把握すれば、Commission Junctionに対する訴訟はたぶん解決するでしょうね。
Zapposに対する訴訟はどうなっている?
Zapposに対する訴訟の場合、問題のウェブサイトを作成したアフィリエイト広告主がZapposの代理業者として行動していることから、もう少しきわどいところがあるわね。マーチャントはときとして、アフィリエイトパートナーがとった行動の責任を問われる可能性があるからよ。
アフィリエイトパートナーによる他社の商標権の侵害を禁じるポリシーを持っていることや、アフィリエイトパートナーたちをしっかりと監視し、規定に従わなかったパートナーとの提携を打ち切っていることを示すことができれば、Zapposがこんな訴訟に勝てる見込みは大きくなるわ。
反対に、アフィリエイトマーケティングを行うマーチャントとして、アフィリエイトパートナーを監視もせず、商標権や著作権の侵害行為が横行する環境を作り出しているとしたら、Zapposにとって不利な状況になるでしょうね。私はZapposに対して、非常に経験豊富で組織化された企業だという印象を持っているの。もしアフィリエイトパートナーを監視していなかったとしたら、ほんとに驚きだわ。
この記事は前後編の2回に分けてお届けする。前編となる今回は、訴訟の背景と内容についてお伝えした。後編では、この訴訟に関するサラの解釈をお伝えする。→後編を読む
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