実践編

実際に訪れている訪問者とのギャップを見つけ出す

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実際に訪れている訪問者とのギャップを見つけ出す

来てほしい顧客を思い出すことができれば、ブルー・オーシャンはすぐ近くにある。そのリストのなかに、商品提案方法が書かれているのだから、そこからキーワードを拾えばよいのである。

では、次のステップに移ろう。アクセス解析結果から、キーワードのリストをプリントアウトして、各事業部担当者に配布しよう。キーワードは1つのWebには数百から数万ものバリエーションがあるのが普通だが、まずは上位300ぐらいのリストをプリントアウトしよう。この「現在実際にサイトを訪れているキーワード」のリストを、先につくった「来てほしい顧客」のリストを付き合わせて各担当者に見てもらおう。

このキーワードのリストを見て、それぞれの担当商品を選んでくれそうな人が検索していると思えるキーワードを選んでください。

と頼むのだ。

キーワードが見つかれば、「来てほしい顧客」のリストに書き添えていってもらおう。

先のソフトウェアの例で言えば、「経費節減」というキーワードは総務部の社員が使っているのかもしれない。見つけたらリストの「総務部の社員」というそばに抜き書きする。

  • 総務部の社員
    「経費節減」(25回)
    「省力化」 (12回)

といったリストが完成するはずだ。右端の数字は、現在のサイトに訪れている回数である。

サイトを訪れているキーワードを多い順番に並べて、その回数を折れ線グラフにすると、図3のようになる。つまりロングテールの曲線である。

画像:図3
図3 検索訪問者が描く「ロングテール曲線」

訪問回数が一番多いキーワードを100とすれば、100番目のキーワードが1になる。トップのキーワードが会社名で10,000回訪れているとすれば、100番目のキーワードは100回程度訪れているはずだ。折れ線グラフの左側の急角度に回数が下がっていく部分は、おおむね10個ぐらいのキーワードとなっているはずだ。大半のWebサイトでこのようになっている。

上位300位ぐらいのリストを見れば、かなり少ない訪問回数のキーワードが見つかるはずだ。また、実際の作業時間としても、300ぐらいのキーワードリストであれば、集中して見れば、10分ほどで読み終えることができるだろう。この「来てほしい顧客」と「今訪れているキーワードと回数」を付き合わせるという作業を行えば、「いかに今のサイトに、来てほしい顧客が訪れていないか」を身にしみて感じることができるだろう。

アクセス解析からサイト改善に結び付けるには、サイトを訪れている人のことばかり考えていてはいけない。前出の図2で見たように、来てほしいのに来ていない人を見つけ出すことが重要なのだ。このステップで進めていけば、各商品の特徴に合致するニーズを持った訪問者を集めるには、

  • どんなキーワードを増やさなければならないか?
  • そのためにはどんなコンテンツが必要か?

ということが自然に見えてくるだろう。これこそがロングテール型SEOで成果を出すための、対策対象キーワードなのだ。ここまでのプロセスは、できるだけそれぞれの商品にフィットするように、ということで、全部の事業部を巻き込んで行うように書いてきた。が、会社によっては各事業部の商品担当を全部集めて作業を行うのが難しい場合もあるだろう。その場合にはWeb担当者がやることになる。1人で全商品分の作業をするのはあまりにも大変だから、順番に各事業部にヒアリングするなどして、助けてもらうようにしよう。

リストができたら調査でライバル比較

キーワードリストができたら、対策の優先順位を決めるステップに移る。全事業部のキーワードを考えると、非常にたくさんのキーワードが候補になるので、どれから対策を行えば効率的か、考えるのは大変である。まずは順番にサーチエンジンで検索することだ。「検索オプション」を使えば、ヤフーでもグーグルでも一度に100位まで表示できる。1〜100位までの検索結果をコピーして、エクセルに貼り付けていこう。

ライバルサイトと自社がそれぞれ何位になっているか、どんなページが紹介されているかを見ていけば、次のようなキーワードの状態が見えてくる。

  1. ライバルが強くて自社が弱い
  2. 自社が強くてライバルが弱い
  3. ライバルも自社も強い
  4. ライバルも自社も弱い

(2)の状態が多ければ非常に良い状態といえる。多くの場合、(1)ライバルが強いものを急いで順位を上げたい、ということになる。ただ、これはレッド・オーシャン的で、コストや時間がかかりやすい。(4)の「ライバルも自社も弱い」というキーワードで順位を上げるのは比較的簡単で、効果を独占できるチャンスがある。こうした検討を行えば、キーワードの優先順位を決めやすいだろう。

また、グーグルやオーバーチュアが提供している「キーワードツール」などを使えば、検索回数が多いかどうか、ある程度目星が付けられる。ロングテールワードはもともとあまり検索回数は多くないが、そのなかでも検索回数が比較的多いところから対策を行っていけば、コンバージョン率が高くなりやすいことから、期待値は高い。

アクセス解析が詳細に行える環境があれば、資料請求や問い合わせなどのゴールページに到達した人がどんなキーワードを使っていたかを調べよう。半分ぐらいが会社名で検索して訪れているということが多いが、問題は残りの半分だ。さまざまなキーワードのなかに、「地名が多い」などの傾向を見つけていこう。できあがったキーワードリストにそうした傾向の言葉が含まれていれば、SEO対策の優先順位が高いキーワードと言えるだろう。

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