消費者はデジタルにシフトしているのに企業は対応できていない[基調講演]/ad:tech tokyo 2009

フォレスター・リサーチのジョシュ・バーノフ氏がデジタルマーケティング戦略について講演
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ad:tech Tokyo 2009

マーケティングの未来像 デジタルによる広告の転換期

ジョシュ・バーノフ氏/米フォレスター・リサーチ アイデア・デベロップメント担当 シニア・バイスプレジデント

9月2日から9月3日にかけて、マーケティングとITテクノロジーに特化した世界最大級のカンファレンス、「ad:tech tokyo」が東京で開催された。

ad:techは、10年以上の歴史をもつ世界的カンファレンス。日本開催は今回のad:tech tokyoが初めて。ad:tech tokyoでは、国内外からインタラクティブ/デジタルマーケティングのスペシャリストやマーケットリーダーをスピーカーに招き、世界のマーケティング事例や最新の技術・サービスなど、グローバルな視点での講演がスタートした。

力を増すデジタルメディア。ツールではなく消費者の理解が必須

米フォレスター・リサーチ
アイデア・デベロップメント担当 シニア・バイスプレジデント
ジョシュ・バーノフ氏

ad:tech最初の基調講演は、ベストセラー『グランズウェル』の著書である、米フォレスター・リサーチ、シニア・バイスプレジデントのジョシュ・バーノフ氏。「マーケティングの未来像 デジタルによる広告の転換期」と題した講演で、ジョシュ氏は従来のマーケティング手法が効果を失っているなかで、消費者の行動変化とともに、デジタルマーケティングへの取り組みが必要であると、いくつかの調査データとあわせて解説。

その一方で、「テクノロジーではなく、個人・消費者を理解すること。消費者を理解すればどのようなツールが有効かがわかる」と、デバイスやテクノロジー先行でマーケティング戦略を考えることは危険であることを指摘。ジョシュ氏自身も、マーケターとして家族を調査したときのエピソードを交えながら、まずは消費者を理解することが重要であることを語った。

なぜデジタルマーケティングが重要なのか。それは、消費者がテクノロジーを利用しているからに他ならず、そのためにも消費者がどのようなツールをどのように利用しているかを知ることが必要だ。人が集まる場所に広告投資するのは必然であり、ジョシュ氏は、むこう1年で4マス媒体など既存の投資が減少し、よりデジタルテクノロジーへの投資が進む傾向にあり、モバイルなど実験的な広告費も増えてくるだろうとした。

消費者がデジタルマーケティングにシフトするのにあわせてマーケティングが対応しているとは限らない。テレビへの投資は47%なのに対して、消費者の滞在時間は31.5%。一方で、ネットは滞在時間45%に対して、投資は17%と半分にも満たない。

ソーシャルメディアの成功にはリスクの選択も必要

講演では、企業がソーシャルメディアをどのように活用すればいいのか、いくつかの事例も話された。米国の大手家電ECサイトのベストバイでは、商品情報をAPIで消費者に開放し、それによってさらに利益を伸ばしたという。「ベストバイのウェブは何千もの商品を扱っています。製品には仕様や価格情報がある。コンテンツを開放するリスクはあるが、さらに利益がでると思い、それを優先してAPIを公開した」と、語った。結果として、価格比較サイトのcamelbuyが公開され、ベストバイは大きく利益を伸ばしたという。このように、成長するためには意味のあるリスクを取ることも必要であると説いた。

また、Twitterを使った成功例としてアパレルと靴のECであるZappos.comを紹介。Zappos.comでは、Twitterの公式アカウントを開設して消費者のコメントを共有している。また、全社員にアカウントの取得を促しており、会社について消費者とコミュニケーションを日常的に行っているという。

この他にも、アディダスのMySpaceでの成功や、スターバックスのFacebookで成功なども語られたが、「消費者がお互い、そして友人を信頼している。だから、この友人の声を利用しない手はない」と、ソーシャルメディアの情報を参考にする割合が、テレビなど伝統的なメディアよりも高くなっていること、デジタル化が進んでいることを語った。

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