初代編集長ブログ―安田英久

Alexaが意外と競合分析に使えるようになっている

Alexa(アレクサ)というサービスをご存じでしょうか。
Web担のなかの人

今日は、競合調査などに使える(場合もある)ツールの紹介を。ただし、使い方を間違えるとダメダメな結論に至ってしまう場合があるのでご注意を。

Alexa(アレクサ)というサービスをご存じでしょうか。米Amazonの子会社が運営しているサービスで、さまざまなWebサイトのアクセス数ランキングなどを見られるサイトです。

・Alexa the Web Information Company
http://www.alexa.com/

ただし、そのデータ収集の仕組みと状況から、長らく「Alexaは参考にしてはいけない情報」であるとされており、今でもその原則は大きく変わっていません。

というのも、Alexaのデータ源は、同社の提供する「Alexaツールバー」がインストールされているブラウザのアクセス状況が中心。そして、世の中で(特に日本で)Alexaツールバーをインストールしている人の数は非常に少なく、さらに偏りがあります。

つまり、偏った少数のデータを元に「このサイトはアクセス数が多い(少ない)」を論じても何の意味もないため、「Alexaのデータを参考にするのは意味がない」と言われてきたのです。

特に、Alexaで決してやってはいけないのは、ユーザーセグメントが異なるサイトを比べるといった使い方。たとえば、B2Bの情報サイトと、学生向けのゲームサイトでは、ユーザー層はまったく異なります。ということは、ユーザーのなかでAlexaツールバーをインストールしている人の比率も異なるため、データを比べても意味がないのです。

ところが、今年に入ってAlexaはトラフィックランク以外のさまざまなデータを表示するようになっています。そういったデータが、競合と自社の比較に意外と悪くない“場合もある”ようなので、ご紹介しておきましょう。

Alexaでサイト(ドメイン名)を調べる

Alexaでサイト情報を見るには、Alexaのページにアクセスして、調べたいサイトのドメイン名をテキストボックスに入力して「Search」ボタンをクリックします。

すると、そのドメイン名に該当するサイトがリストアップされます。

ただし、Alexaのデータはペイレベルドメイン名で統一されています。つまり、「www.impressrd.jp」も「web-tan.forum.impressrd.jp」も「rs.impressrd.jp」も、すべて「impressrd.jp」にまとめられています。

調べたいドメイン名の「Get Details」ボタンをクリックすると、そのドメイン名のAlexaトラフィック情報が表示されます。

[Traffic Stats]タブ ―― トラフィック統計

このページで見る価値があるのは、「Traffic Stats」タブの中にグラフとして表示できる「Pageviews/User」、「Bounce %」「Time on Site」ぐらいでしょう。

「Pageviews/User」は、ユーザーあたりの1日あたりのPV数。訪問あたりのPV数ではないことに注意。
「Bounce %」は、直帰率
「Time on Site」は、ユーザーごとのサイト滞在時間(1日あたり、分)

競合のこうしたデータは、なかなか手に入らないので、参考になるのならば見ておきたいところですね。まず自社のサイトに関してこうしたデータを確認し、Google Analyticsのデータと大きく変わらないようならば、競合サイトのデータを確認してみるといいでしょう(グラフ下のドロップダウンリストで対象期間を変えられます)。

こうしたデータは、トラフィックランクとは異なり、多少の偏りがあっても、「信頼できない」まではいかず、「参考にする」程度にはできることが多いでしょう。

このページには、ほかにも日本でのアクセスランキングをユーザー数とPV数から算出した「Traffic Rank in JP」や、リンク元サイト数を示す「Sites Linking In」、グラフで表示できる「Traffic Rank」「Reach」「Pageviews」などありますが、前述のように参考にするべきデータではありません。

ちなみに、グラフの下のテキストボックスに競合のドメイン名を入れて「Compare」ボタンをクリックすると、グラフに重ねて表示できるので便利です。

[Search Analytics]タブ ―― 検索トラフィック分析

[Search Analytics]タブをクリックすると、そのドメイン名に対する、検索トラフィックの情報が表示されます。

検索トラフィック率も各キーワードの比率も、数値としての信頼性はかなり低い。
  • Search Traffic ―― サイト訪問のなかの検索エンジン経由の比率
  • Top Queries from Search Traffic ―― 上位の検索キーワード
  • Search Traffic on the Rise and Decline ―― 検索キーワードのうち、そのサイトで前月よりも増えているもの(Increase)と減っているもの(Decline)
  • High Impact Search Queries ―― サイトに対する誘導の多い検索キーワードで、競合の広告出稿があるもの

このページで見る価値のあるのは、各キーワード。といっても、数字は無視して、キーワードだけを見ます。

競合サイトが獲得しているキーワードで、自社が意識していなかったものがないか確認するのに使うのです。自社が見逃していたキーワードを調べるといった目的ならば、データの偏りは気にせずに使えますからね。

実際のところ、自社のページで数値を見てみたら、その数値がいかに当てにならないかわかるでしょう。

その他の情報と注意点

これ以外にも、ユーザー層分析([Audience]タブ)や、流入元と流入先分析([Clickstream]タブ)といった情報もありますが、多くの場合、気にするべきではありません。

訪問者属性のデータ。赤色が全体平均よりも少ない部分、緑色が全体平均よりも多い部分。Web担の場合、年齢層や職場からのアクセス比率などは納得いくが、ほかの部分のデータが信頼できるかというと……。

また、各所にAlexaツールバーをインストールしていなければ見られない情報などもありますが、個人的には、そのためにAlexaツールバーをインストールする価値はないと判断して放置しています。

Alexa利用の注意点は、データがかなり偏った形で収集されていることを忘れないことです。特に、全世界を対象としたAlexa Traffic Rankで10万位以内に入っていない中小規模のサイトでは、データの信頼性が大きく落ちてしまいます。

また、間違ってもAlexaランクを向上させようとして、自社サイトの訪問者に「Alexaツールバーをインストールしましょう」などと呼びかけるような本末転倒をしないようにしましょうね。Alexaの順位が上がったからといってサイトへのアクセスが増えるわけではないですからね。

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