Schema.org――SEOに役立つ構造化データの本流が決まったようだ
この記事の内容はすべて筆者自身の見解であり(ありそうもないことだが、筆者が催眠状態にある場合を除く)、SEOmozの見解を反映しているとは限らない。
検索エンジンは時折、SEO業界にきまぐれな変化球を投げつけ、新しい小道具やアップデートで僕らをわくわくさせてくれる。ウェブページデザインにおける構造化データという分野にとって、6月2日もそういう日だった。
構造化データとは
この2年間引きこもり生活を送っていたのでもなければ、あちこちでリッチスニペットを目にしているはずだ。
検索結果に有用な情報が少しだけ加わることで、多くのサイトが並ぶオーガニック検索結果の中で自分のサイトの訴求力を高めてくれる。ウェブページに「構造化データ」を付加すれば、検索エンジンはそのデータを分析して、レシピ検索など多様な検索結果で利用する。
「構造化データ」というと難しそうだが、ここでいう構造化データをわかりやすく説明すると、ブログ記事のような自由な文章にHTMLタグを付けたものではなく、「どんなデータを」「どんなタグを付けて」記述するか定められているものだと思えばいい。構造化データはHTMLページに埋め込む(または既存のHTMLコンテンツにタグを追加する)もので、ルールに則って情報を記述してあれば、検索エンジンがその情報を特別な形で(リッチスニペットのように)扱ってくれるというものだ。
「ホワイトリスト」入りした一部のサイトでは、レビューの評価、イベント、レシピ、会社名、連絡先情報、肩書き、そしてFacebook上の交友関係までも、いつの間にか検索結果に表示されるようになっている。
マークアップ方式の正しい選択
グーグルの言葉を借りれば、「検索エンジンごとに異なる形式のデータが求められるのなら、マークアップを付加することははるかに困難な作業になる
」とのことだが、まったくその通りだ。
ウェブマスターにとって、構造化データをページに埋め込むのにどのマークアップ方式を選ぶかという難しい判断を下すことは、かなりの重荷だった。簡潔なMicroformats(マイクロフォーマット)か、奥深さと創造性を備えたRDFaか、あるいは、HTML5ワーキンググループが認めたMicrodataか? Eコマース向けとされるRDF/XMLベースのGoodrelationsはどうだろう?
どうやら検索エンジン各社は、協力してschema.orgという新たな標準化の取り組みを開始することにより、僕らに代わってその選択をしてくれたようだ。
- 参考記事:検索3社が協力してセマンティックウェブを促進、schema.orgイニシアティブを発表(SEM R)
数多くのエンティティで選択肢が増える
schema.orgでは、ウェブマスターが自分のウェブページに記述できる新しいエンティティを数多く公開するという作業に取り組んでおり、構造化データのマークアップとしてどの方式を採用するかが検索エンジン間で統一されていないという問題を解決しようとしている。
schema.orgのボキャブラリーには、たとえば、次のようなものがある。
さらには価格情報のような「無形のもの」まで、あらゆるスキーマが含まれている。このようなスキーマで記述できるデータが記載されたウェブサイトを運営している人なら、テンションが上がるはずだ。リストの一覧は、びっくりするほど広範囲に渡っているので、ぜひチェックしてほしい。
schema.orgの仕組み
schema.orgは、Microdataをベースにしている。簡単に言うと、各データの型、つまりエンティティは、ボキャブラリーによって説明される。あるエンティティに対応するボキャブラリーはschema.orgの該当ページに記載されているので、たとえば、運営するウェブページに音楽のリストがあるなら、schema.orgにあるMusic Recordingというページのボキャブラリーを参照すればいい。
schema.orgのボキャブラリーを使用するには、itemscope、itemtype、itempropといった属性を理解するだけでいい。それから、使用するボキャブラリーのページを示すURLも必要になる。
基本的な使い方は、schema.orgの「Getting started with schema.org」というページに書かれている。では、基本的な要素を見ていこう。
これをブラウザで表示させると次のようになる。
CEO
SEOgadget.co.uk
非常に単純な例だが、この中では、後に続くHTMLが「あるもの」に関するデータを含んでいると宣言するために「itemscope」属性を記述している。そして、続いて「itemtype」属性によって、その「あるもの」とは人物(つまり僕!)だということが分かる。名前、写真、肩書きといった各プロパティは、schema.orgのボキャブラリーに記載されている。適切なスキーマを宣言すれば、検索エンジンがデータを解析してリッチスニペットに利用できるだろうし、もしかしたら人物検索エンジンでも同じことが可能になるかも?
でももうMicroformats(あるいはRDFa)を使っている――さてどうしよう?
君だけじゃない、みんな同じだ。単純な答えはこうだ。
検索エンジン各社は、自分たちの作った標準を僕らに受け入れさせることが得意だ。そのうち僕らはみんな、schema.orgを使って自分のデータを構成するようになることだろう。
グーグルの検索結果で自分のウェブサイトにリッチスニペットがもう表示されていても、何も慌てる必要はない。グーグルは既存の(microdata以外の)構造化データ形式を、当分の間はサポートしてくれる。開発リソースがあるのなら、あるいは、サイトデザインの変更作業を進めている最中なら、適切なschema.orgのボキャブラリーに乗り換えることは、有能なウェブ開発者にとってさほど難しくないはずだ。
選択肢の増加と検索の多様化
僕にとって、これは検索エンジンとの楽しいゲームだ。検索エンジンは、ウェブマスターがどのマークアップ方式を選ぶべきかを判断できるように問題の単純化に努めていると同時に、構造化できるデータの型を増やしている。
僕にとっての一大事は、リッチスニペット分野にBingが参入したことだ。今のところBingによるリッチスニペットのサポートは、控え目に言ってもパッとしない。標準化の取り組みを通じて、3つの検索エンジンのどれでも同じリッチスニペットが表示されるようになってもらいたいものだ。
グーグルのレシピ検索は、「主流」となった初めての構造化データ検索エンジンだった。構造化データに対する標準的なアプローチがますます普及すれば、レシピ検索のようなサービスがさらに検索エンジン各社から提供されるんじゃないかと思わずにはいられない。
筆者のrichardbaxterseoについて ―― Richard Baxterは、ロンドンにあるSEOエージェンシーSEOgadget.co.ukの創立者。同社は、大規模サイト構造、キーワード調査、テクニカルSEO、ソーシャルメディア技術コンサルティング、および競争の激しい業界におけるリンクビルディング業務を専門にしている。
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