入力フォームの最初の項目を入力しやすくするだけでユーザーの直帰は減らせる/15か条の1
入力フォームに来てくれたユーザーを直帰させたくないですよね? ユーザーが直帰せず、スムーズに入力を開始してもらうためのポイント「1つ目の入力項目を何にするかがいかに大事か」について解説します。ポイントを押さえて、ユーザーがどんどん入力してくれるエントリーフォームにして、入力完了率を上げましょう。
この記事では、入力フォームを改善して入力完了率を上げる! エントリーフォーム最適化15カ条の【第1条】「1つ目の入力項目は、入力しやすい項目にすべし」をご紹介します。リンクをクリックすると第1条のまとめに飛びます。
ユーザーの気持ちになってエントリーフォームを見てみよう!
まず、こちらのエントリーフォームを実際に入力するユーザーの気持ちになってご覧ください。この入力欄を見て何を入力するかが、すぐに浮かんでくるでしょうか? 何を入力すべきか、一瞬迷った人が多いのではないでしょうか?
エントリーフォームの1つ目の項目を、誰でも迷わず入力できる項目にすることで、入力への抵抗を減らし、エントリーフォームの入力をスムーズに進めることができます。これは直帰を減らすための有効な策の1つです。
今回は、このエントリーフォームを例に、頼まれてもいないのに、勝手に入力完了率アップのための見習うべき良いポイント、惜しい……改善すべきポイントを勝手に紹介して、改善案を解説します。
【第1条】1つ目の入力項目は、入力しやすい項目にすべし
第1回の「惜しい!」エントリーフォームとして紹介するのは、セイコーエプソン株式会社様によるWebサイト「エプソン」の「MyEpson新規会員登録フォーム」です。
このエントリーフォームは、会員登録をすることで、製品サポートを受けられたり、ECサイトの利用が便利になったりなどのエプソンが提供するさまざまなサービスを受けることができる、というもの。改善ポイントを挙げる前に、見習うべき2つの良いポイントを挙げておきましょう。
良いポイント1
入力完了までの道のりが見える、自分が今どこにいるかがわかる
フォーム上部(赤枠で囲まれた部分)を見てみましょう。青とグレーの右向きの台形が横一列に並んでいます。いわゆる「ステップ」表示です(「フロー」と呼んだりもします)。
ステップ表示には、2つの役割があります。
- フォームの開始ページから完了ページまで全体の流れを示す
- ユーザーが今どの段階にいるかを示す
ステップ表示があるのとないのとでは、ユーザーのモチベーションは全く違ってきます。入力完了はエントリーフォームにおけるゴールですが、どこまで行ったらゴールなのかがわからない状態では、誰しもスタートしようという気にならないです。また、道のりの途中で、自分がどこにいるか、わからなくなってしまうようでは、先に進む気持ちが萎えてしまいます。
このステップ表示があることで、6ステップあるうちの、2ステップまで入力が完了したということが一目でわかります。特に今回のフォームは、入力から完了まで6ステップあるので、スタートからゴールまでは長い道のりです。ステップ表示を入れる効果は十分にあります。
良いポイント2
フォームと関係ないリンクが外されていること
エプソンのトップページには、グローバルナビゲーションやその他のリンク要素が当然ですが入っています。
では、エントリーフォームを見てください。エプソンのトップページにあるグローバルナビゲーションやその他のリンク要素が、エントリーフォームには一切入っておらず、極めてシンプルなレイアウトになっています(さすがにサイトロゴは入ってますが)。
サイト制作の基本として、ユーザーがサイト内で迷わないようにするために、グローバルナビゲーションを置くことは鉄則です。
ですが、エントリーフォームについてはこのルールは当てはまりません。
入力完了率アップのためには、離脱をいかに防ぐかが大事と冒頭で述べました。サイト外のリンクを入れないことはもちろんですが、グローバルナビゲーションなどのサイト内リンクも、エントリーフォームにとっては離脱の要因です。離脱要因は極力なくしていくことが肝心ですから、思い切って外すべきです。
改善ポイント1
入力項目の順番、特に1つ目を何にするかに気を付けよう
以上2点、良いところを挙げました。一方で、惜しい……とても惜しい点があるのです。それは「1番目の入力項目を何にするか」なのです。
ユーザーの一瞬の迷いが命取り! 最初の項目を何にするかが大事
フォーム上部、1つ目の入力項目を見てみましょう。必須入力の「希望ID」です。なぜこれが「惜しい」のか。冒頭でも述べましたが、ユーザーの気持ちになってみましょう。この入力欄を見て何を入力するか、すぐに浮かんでくるでしょうか? 何を入力すべきか、一瞬迷った人が多いのではないでしょうか?
はっきりいいます。こうした入力の自由度、および入力の難易度が高い入力項目を最初に置いてはいけません。最初の項目には、ユーザー自身にとって最も自明であり、ためらいなく入力できる情報を置くべきなのです。
さらにいえば「希望ID1」「希望ID2」「希望ID3」と3つの入力欄が並んでいます。実は必須なのは第1希望だけなのですが、3つとも入力しなければいけない印象を受けます。また、よく見ると使える文字に制限があるようです。使えない文字については、別ウィンドウで確認できるようになっていますが、なんだか面倒くさそうです。
入力作業が進めば進むほど、ユーザーはそれまで自分が投資した入力作業や時間をもったいないと思うようになります。そうなればしめたもの。ユーザーのほうから進んで入力完了に向かってくれるはずです。
エントリーフォームを開いた直後に離脱するのを「直帰」といいますが、入力完了率向上の敵である直帰を減らす鉄則は、いかに入力し始めをスムーズにできるか、つまり、滑り出しが肝心なのです。
改善案
エントリーフォームは滑り出しが肝心
では、改善案をご紹介しましょう。
今回は項目順を変更するだけです。氏名を1つ目の入力項目に持ってきました。ぱっと見たときの印象の違いは、どうでしょうか? 入力しやすいと感じませんか?
改善前(Before)と改善後(After)を並べてご覧いただきましょう。いかがですか? 改善前より改善後の方がずっと入力を開始しやすいはずです。
【第1条】1つ目の入力項目は、入力しやすい項目にすべし
フォームに訪問した直後が、ユーザーの心理的には、最も離脱しやすい。1つも入力していなければ、失うものは何もないからだ。これがいわゆる直帰である。
一方、入力が進めば進むほど、ユーザーの心理には、離脱へのブレーキがかかるようになる。せっかく入力してきた作業が離脱によってムダになるのは嫌だからだ。
つまり、1つ目の入力項目を迷いなく開始してもらうことは後々「ここで離脱してはもったいない」と思ってもらうための、大事な一歩なのだ。
入力をスムーズに開始するかどうかを決める要素はいくつかあるが、そのうちの1つが「1つ目の入力項目を何にするか」だ。
1つ目の入力項目は、どのユーザーにとっても入力しやすいものにすべきだ。
- ユーザーにとって入力内容の自由度が高いもの
- 使えない文字があるなど、入力にあたって注意が必要なもの
- エラーが出やすいもの
これらをフォームの最初の項目にすべきではない。
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