【レポート】ソフトバンク・テクノロジー「イービジネスサービスユーザ会2014 ~NEXT×Digital Marketing~」
ソフトバンク・テクノロジー株式会社では、2008年から毎年恒例で、自社のWebマーケティングソリューションのユーザーを対象としたユーザー会を開催してきた。2014年2月28日に六本木アカデミーヒルズで開催された今回は、対象をイービジネスサービス事業部全体のユーザーに広げ、デジタルマーケティングの最新事例を凝縮してユーザーに届ける「イービジネスサービスユーザ会2014 ~NEXT×Digital Marketing~」として開催した。
セッションには、ソフトバンク・テクノロジーやソリューションパートナーだけでなく、実際に同社のサービスを導入、利用しているユーザー企業もゲストとして登壇し、実際の事例や利用シーンについてのセッションを行った。
また、同日ソフトバンク・テクノロジーはグーグルと「Google Cloud Platform Service Partner Program」契約を締結し、企業への導入をサポートすると発表した。
会場にはマーケティング担当者を中心に260人以上のユーザーが参加し、去年の約2倍、過去最高の来場者となった。今後のデジタルマーケティングへの関心の高さを感じる1日となった。
時間 | A会場 | B会場 |
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13:00~13:05 | 開会挨拶 ソフトバンク・テクノロジー株式会社 取締役 Webインテリジェンス本部長 青木克志氏 | 開会挨拶 ソフトバンク・テクノロジー株式会社 取締役 イーコマース本部長 吉田剛氏 |
13:05~13:35 | A-1:~Googleの技術でビジネスに革新を~ Googleにおける大量データ分析基盤とそれを用いた事例について グーグル株式会社 エンタープライズ本部 クラウドプラットフォーム セールススペシャリスト 塩入賢治氏 | B-1:パーソナライゼーションに向けたサイト内のターゲティング設計の重要性とその効果 ソフトバンク・テクノロジー株式会社 Webインテリジェンス本部 データサイエンス部 コンサルティンググループ シニアコンサルタント 橋本翔氏 |
13:45~14:15 | A-2:QlikView 活用事例 データ分析に基づく学生の教育効果の向上策と大学運営の改善 株式会社ビジネス・ブレークスルー 取締役 柴田巌氏 | B-2:流行し始めた日本語Webフォントの現状と未来 ~デザインとアクセシビリティの調和をFONTPLUSが解決する~ バスタイムフィッシュ代表 HTML5-WEST.jp 主宰 村岡正和氏 |
14:25~14:55 | A-3:分析から改善、そして新たな展開を目指して ~Adobe Experience Manager, Adobe Analyticsを使って見えたもの~ ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ株式会社 取締役副社長CFO兼CMO 井上理氏 | B-3:Adobe Analytics、Adobe Target 活用事例 ~分析×施策×DMPの組み合わせから高度なリマーケティング実現を目指す~ 新日本製薬株式会社 ダイレクトマーケティング事業本部 EC戦略課 マネージャー 大木順一氏 |
15:05~15:35 | A-4:デジタル時代、マーケターに求められるもの ~業界リーダーAdobe Marketing Cloudで出来ること~ アドビ システムズ株式会社 デジタルマーケティング プロダクトマネジメント シニアプロダクトマネージャー 上原正太郎氏 | B-4:データサイエンス自動化計画 ソフトバンク・テクノロジー株式会社 Webインテリジェンス本部 データサイエンス部 コンサルティンググループ シニアデータアナリスト 江原圭司氏 |
15:50~16:20 | LINEが変えるマーケティングの未来 LINE株式会社 執行役員 広告事業グループ長 田端信太郎氏 | A会場の映像を放映 |
16:20~16:50 | Facebookの実名制データ活用でビジネス課題を解決 Facebook Japan セールス・ディレクター 香川晴代氏 | A会場の映像を放映 |
16:50~16:55 | 閉会挨拶 ソフトバンク・テクノロジー株式会社 代表取締役CEO 阿多親市氏 | A会場の映像を放映 |
企業のマーケティング活動を幅広く支援
セッションは、A会場とB会場の2会場に別れて行われた。
まずA会場ではソフトバンク・テクノロジー株式会社取締役 Webインテリジェンス本部長の青木克志氏が、またB会場では、同じくソフトバンク・テクノロジー株式会社 取締役 イーコマース本部長を務める吉田剛氏がそれぞれ、イービジネスサービス事業部の事業内容を紹介した。 同社が取り扱っているサービス種類は下記のとおり多岐にわたっており、企業のマーケティング活動を幅広く支援し続けている。
- アクセス解析ソリューション
- ビッグデータ・BI(ビジネスインテリジェンス)
- コンサルティングサービス
- CMS
- ECソリューション
- フォント事業
Googleが生み出したビッグデータ解析ツール「BigQuery」ほか
A会場ではまず、グーグル株式会社エンタープライズ本部クラウドプラットフォームセールススペシャリストの塩入賢治氏が、「~Googleの技術でビジネスに革新を~ Googleにおける大量データ分析基盤とそれを用いた事例について」と題して講演を行った。
講演では、グーグルの考えるビッグデータに必要とされる考え方について解説し、ビッグデータ分析基盤「BigQuery」(ビッグクエリー)について、米国の最新事例を多数紹介した。また、BigQueryの日本企業へのスムーズな提供のために、ソフトバンク・テクノロジーとグーグルは「Google Cloud Platform Service Partner Program」の契約締結を発表している。
次に、株式会社ビジネス・ブレークスルー取締役の柴田巌氏が登壇し、「QlikView活用事例 データ分析に基づく学生の教育効果の向上策と大学運営の改善」として、同社がEラーニングにどのように取り組んでいるかという事例を紹介した。
ビジネス・ブレークスルーは、オンライン大学や個人向けビジネススキル講座、企業研修など、主にEラーニングを中心とした教育プログラムを提供している。同社は、集めた膨大な受講データを処理し、KPI管理によるファクトベースの運営を目指し、ビッグデータ分析ツール「QlikView」を導入した。これにより、データ分析・カリキュラム運営の工数の大幅削減を実現するとともに、生徒に対しても、優秀層の学習パターンの分析によるベンチマーク設定や、要サポート層に対するフォローといった効果的な対策を取ることができるようになった。今後はデータを基にしたカリキュラム開発や企業研修のアセスメント手法提案に応用していく。
ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ株式会社の取締役副社長CFO兼CMOの井上理氏は、「分析から改善、そして新たな展開を目指して~Adobe Experience Manager,Adobe Analyticsを使って見えたもの~」と題して講演を行った。
全国63ホテルの運営と送客業務に携わる同社は、CMSを従来のものから一新し、「Adobe Experience Manager,Adobe Analytics」の導入に至った。CMSの変更にあたっては、サイト運営側のニーズに着目し、実際に操作をするホテル現場の作業軽減およびコスト削減を実現した。また、サイトをメディア化することで顧客の意思決定サイクルに合わせたマーケティングの実現を目指す。
続いて、アドビ システムズ株式会社デジタルマーケティング プロダクトマネジメント シニアプロダクトマネージャーの上原正太郎氏が、「デジタル時代、マーケターに求められるもの~業界リーダーAdobe Marketing Cloudで出来ること~」として講演を行った。
上原氏は、アジア諸国と比較して、日本の事業者はさまざまな種類のシステムを多用しており、いわば“継ぎ接ぎのある環境”を利用しているという問題提起がなされた。また、データ分析、顧客に応じた情報提供、管理とビジネス貢献の可視化、効果予測と最適化、コンテンツ管理、顧客対話の管理の効率化および自動化などをすべて包括的に提供するソリューション「Adobe Marketing Cloud」を紹介した。
産学連携により実現した高度なデータサイエンスほか
B会場では、トップバッターとして、ソフトバンク・テクノロジー Webインテリジェンス本部 データサイエンス部 コンサルティンググループ シニアコンサルタントの橋本翔氏が「パーソナライゼーションに向けたサイト内のターゲティング設計の重要性とその効果」について語った。
パーソナライゼーションとは、ユーザーごとにコンテンツを変える仕組みである。橋本氏はなぜ今それが注目されているのか、その重要性について語るとともに、実現するための設計方法、必要な基盤などについて詳細に解説した。まだ、実際に同社の支援によってパーソナライゼーションを実現させたいくつかの事例を紹介した。
続いて、バスタイムフィッシュ代表 HTML5-WEST.jp主宰の村岡正和氏が、「流行し始めた日本語Webフォントの現状と未来~デザインとアクセシビリティの調和をFONTPLUSが解決する~」として講演した。
村岡氏は、書体(フォント)は「コンテンツの美観」「情報の重みづけ」「情緒表現」といった情報を伝える大事なツールであるとアピールするとともに、これまでWebに利用されていた美しいフォントの多くはフォントではなく画像データであったこと、HTML5やWebフォント(FONTPLUS)の登場によって、多様なフォントが文字データとして利用できるようになることの利点と重要性を語った。
新日本製薬株式会社 ダイレクトマーケティング事業本部EC戦略課 マネージャーの大木順一氏は、「Adobe Analytics、Adobe Target 活用事例~分析×施策×DMPの組み合わせから高度なリマーケティング実現を目指す~」と題して講演を行った。
同社は以前からサイト内分析や広告分析を行っていたが、2013年夏にさらなる取り組みとしてプライベートDMP(Data Management Platform)を導入した。属性や嗜好性といった外部データに、アクセス分析や広告分析、購買データといった自社データを統合してユーザーを可視化することで、「顧客獲得数が多い広告が良い広告とは限らない」などの気づきや、新しい広告出稿先の発見などの成果につながったことを発表するとともに、見えてきた課題についても赤裸々に語った。
B会場最後となる講演は、ソフトバンク・テクノロジー Webインテリジェンス本部 データサイエンス部 コンサルティンググループで シニアデータアナリストを務める江原圭司氏の「データサイエンス自動化計画」である。
江原氏は、同社が提供する企業向けデータ分析支援ソリューションは、東京理科大学との産学連携プロジェクトの成果を応用していると語った。“産”がITインテグレーションやBPOノウハウなどの実務能力を、“学”がアルゴリズム開発など基礎的な研究能力をそれぞれ発揮し、互いに連携することで、実務上の課題をテクノロジーで解決できる。これにより、一般の企業にはハードルが高いデータサイエンスの成果を、利用ユーザーの負担を緩和した上で提供できるのだという。
LINEは「無視されづらい」、Facebookは「実名制」
基調講演として、LINE株式会社 執行役員広告事業グループ長の田端信太郎氏が「LINEが変えるマーケティングの未来~広告が無視される時代になぜLINEの企業スタンプは無視されないのか?~」と題して登壇した。
田端氏は、情報の氾濫により、「企業が発信するマーケティング・コミュニケーションは無視されて当たり前の時代」と語り、もはや消費者が自ら求める情報しか消費者には届かないとした。一方でLINEの“スタンプ”はユーザー同士が望んで送り合うため無視されづらく、若者層へのリーチやリアル店舗への誘導などにおいても優れているとした。同時に、CRMにおいて、企業と消費者とが迅速かつ継続的に効果的にコミュニケーションする環境として、「LINEビジネスコネクト」もアピールした。
同じく基調講演としてもう一人、Facebook Japan セールス・ディレクターの香川晴代氏は「Facebookの実名制データ活用でビジネス課題を解決」と題して発表を行った。
香川氏は、すでにFacebookは人々の生活に溶け込んだ利用者体験になっているとして、ニューズフィード広告の効果の高さや、テレビCMとの補完などの利用方法について語った。また、サービスが実名制であるがゆえに、クライアントのDBとFacbookのDBをマッチングする“カスタムオーディエンス”という商品なども提供できることが大きな特長だとした。
500名ものエンジニアを擁する高い技術力
最後に、ソフトバンク・テクノロジー 代表取締役CEOの阿多親市氏が閉会挨拶とともに、正社員650名のうち500名ものエンジニアを擁する同社の技術力をアピールし、下記の通り、多様なラインナップを取りそろえた同社のビッグデータソリューションについて紹介した。
- プラットフォーム
- データマネージメント
- Eコマース
- セキュリティ
- データサイエンス
- Data Science as a Service
同ユーザー会は、来年以降も開催を予定しており、新たな事例やソリューションを通じて有意義な情報を届けていく。
ソフトバンク・テクノロジー
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