アクセス解析もDIY! 見たいGAのレポートを自分で作る上級機能「カスタムレポート」[第62回]
Googleアナリティクスでは、ディメンションと指標の組み合わせにおいて、多くのレポートが用意されていている。しかし、少しなじんでくると「もう少し違う指標の組み合わせでレポートを見たい」「ここであの指標が見られればいいのに」と感じることはないだろうか?
そのような場合に、自分が見たいディメンションと指標の組み合わせを比較的自由に組み合わせて見られるレポートが「カスタムレポート」だ。これまで複数のレポートを行き来して確認していたデータがあれば、1つのカスタムレポートにまとめれば日々の分析も楽になるだろう。
たとえば、今回は例として「メディア」→「参照元」→「ランディングページ」→「離脱ページ」と順番にドリルダウンするだけで一直線に深掘りしていけるレポートを紹介する。このように標準のレポートではそうなっていなくても、見たい順に掘り下げていけるレポートを自由に作成できるわけだ。
今回から何回かに分けて、「カスタムレポート」の作成方法と設定例を解説していく。標準のレポートには存在しないディメンションを使ったレポートを作ることもできるので、新しい切り口のレポートについても紹介する。次のように3回にわたる予定だ。
- 第62回: エクスプローラ形式のカスタムレポート(今回)
- 第63回: フラットテーブル形式のカスタムレポート
- 第64回: 標準にはないディメンションを利用したカスタムレポート
- 複数のレポートを見なくても知りたい指標をまとめて見られるようになる
- 分析したい順番にドリルダウンするレポートを作成できる
カスタムレポートを新規作成する
カスタムレポートは、「カスタム」セクションにある「カスタム レポート」に格納されている(図1赤枠部分)。
すでに作成してあるカスタムレポートがあれば、それぞれのカスタムレポートの名前が並ぶので(図1青枠部分)、その部分をクリックすればそのカスタムレポートに移動することができる。
新しいカスタムレポートを作成したい場合は、画面の上部にある「+ 新しいカスタム レポート」ボタン(図1緑枠部分)をクリックして、見たいレポートの内容を設定していけばよい。早速この「+ 新しいカスタム レポート」ボタン(図1緑枠部分)をクリックすると、図2のようなカスタムレポート作成画面が表示される。
一見設定項目が多いので「いろいろと指定しないといけないのか」という印象を受けるかもしれないが、基本的には「ディメンションと指標の組み合わせを指定して、必要ならフィルタをかける」程度のものだと考えてほしい。
本連載では、利用機会が多い「エクスプローラ」と「フラットテーブル」の2種類(図2赤枠部分)について、作成方法と設定例を解説していく。今回はそのうち「エクスプローラ」に焦点を当てる。2種類の違いはひとことで言うと次のとおりだ。具体的な違いについては、それぞれの解説を進めながら話をしていこう。
- エクスプローラ: レポート内をクリックしてドリルダウン(深掘り)していくことのできるレポート形式(今回解説)
- フラットテーブル: 固定のレポートを眺めるだけのレポート形式(次回解説予定)
カスタムレポートとタブに名前を付ける
まずはカスタムレポートに名前を付けることからだ。全般情報のタイトルの記述欄のところ(図3赤枠部分)にカスタムレポート名を入力しよう。これが、[カスタム]>[カスタム レポート一覧]画面(図1)の「タイトル」列で表示される名前になる(図1青枠部分)。また実際にカスタムレポートを表示したときの左上にも表示される(図4赤枠部分)。
そしてカスタムレポートでは、タブを切り替えることによって1つのカスタムレポート内に2つ以上のレポートを格納することができる。複数のタブを利用するのであれば、次はその複数のレポートタブの名前を記述する。ひとまず複数のタブは利用しないという場合は、標準の「レポート タブ」のままでも構わない。
図3は1つ目のタブの部分が濃い灰色になっているが(図3青枠部分)、これは「そのタブのレポート内容を設定しようとしている」状態であることを示している。この状態でレポートタブの名前をその下に記述すれば(図3緑枠部分)、レポートタブの名称を変更できる(図4青枠部分)。
図3のようにカスタムレポート全体の名前と各タブのレポート名2つを設定した結果は図4のようになる。
レポートのディメンションと指標を指定する
次は、各レポートタブ1つひとつの内容を指定していく。基本は「ディメンションと指標の組み合わせ」だ。なお、今回は作成するカスタムレポートの種類が「エクスプローラ」(図3黒枠部分)という前提で話を進める。
指標の設定は次の要領で進める。
- 指標グループの名前を付ける(図5赤枠部分)
- 見たい指標のセットを「+ 指標を追加」(図5青枠部分)から選択する
- 表示したいディメンションを「+ ディメンションを追加」から選択する(図5緑枠部分)
ここでは、1つの指標グループの中の指標に「ユーザー」「セッション」「ページビュー数」の3つを選択し(図6赤枠部分)、ディメンションの方に「国」を選択したとしよう(図6青枠部分)。
これで画面下部の「保存」をクリックして作成したレポートが図7だ。ディメンションで選択した「国」ごとに、指標で選択した「ユーザー」「セッション」「ページビュー数」の数字を見ることができる。
今回選択した「エクスプローラ」は、「ディメンション」が左端の列にあり(図7赤枠部分)、その右側に指標群(図7青枠部分)を組み合わせて見られる標準のレポートでもおなじみの形式だ。ここまでが基本だと思っていただいてよい。
ドリルダウンしたり複数の指標グループを作ったりもできる
カスタムレポートにはいろいろな味付けをしていくことができる。ここから先は応用的な話を進めていこう。ここで紹介するのは次の2つだ。
- ドリルダウン(深掘り)できるレポートにする
- 複数の指標グループを切り替えられるレポートにする
応用1エクスプローラ形式の真骨頂はドリルダウン
記事の前半で「『エクスプローラ』はレポート内をクリックしてドリルダウン(深掘り)していくことのできるレポート形式」だと言った。しかし図7の状態では、どこもドリルダウンできる箇所のない静的なレポートでしかない。
ここでは、図7のレポートをドリルダウンできるように設定を追加してみよう。
「国」→「地域」→「市区町村」の順にドリルダウンするレポート
図6の設定画面で、ドリルダウンして深掘りするディメンションの指定を追加できる。「+ ディメンションを追加」ボタン(図6緑枠部分)をクリックして図8のような指定をしてみよう。
この指定は、一番上のディメンションの値の1つをクリックすると、その下のディメンションがベースのレポートに切り替わっていくという形式になる。このようにクリックして下の階層のディメンションにレポートを展開していくことを「ドリルダウン(深掘りしていく)」と表現することが多い。
図8のように設定した実際のレポートが図9だ。図7と異なり、「国」ディメンションの値(図9赤枠部分)の色が青色に変わっている。つまりクリックできるリンクになったということだ。
たとえば「Japan」(図9青枠部分)をクリックすると図10のように「地域」(都道府県のこと)別のレポート(図10赤枠部分)になる。
さらにその中の値の1つ(たとえば「Tokyo」、図10青枠部分)をクリックすれば、「市区町村」別レポート(図11赤枠部分)にドリルダウンできるということだ。
標準で用意されている[ユーザー]>[地域]>[地域]レポートはこれと似た構造をしているが、上記のカスタムレポートのように直線的に「国」→「地域」→「市区町村」の順番でドリルダウンできる構造にはなっていないので、このようにどんどん直線的に降りていくように見ていきたい場合に適しているレポート形式といえる。
「メディア」→「参照元」→「ランディングページ」→「離脱ページ」とドリルダウンして集客状況を見るレポート
他に一直線に降りていくように見ていけるパターンとしては、集客状況を見るために図12のような指定にしてみるのはどうだろう。
この設定では、たとえばメディアの1つである「organic」(図13赤枠部分)をクリックすると、「google」などの検索エンジン名にドリルダウンし、さらに該当の検索エンジン流入でのランディング ページにドリルダウンするといった具合になる。
また「referral」(図13青枠部分)をクリックすると、「example.com」など一般のドメイン名にドリルダウンされ、さらにそのサイトからの流入のランディング ページにドリルダウンされるといった具合になる。
コンテンツ系やイベント系は標準のレポートでも十分
コンテンツ系のレポートは標準のレポートでも直線的に降りていくように見ていけるので、そちらを見れば十分だろう。ページ系だと、[行動]>[サイト コンテンツ]>[ディレクトリ]レポートで「第1階層」→「第2階層」→「第3階層」→「第4階層」→「ページ」というドリルダウン構造にはなっている。
イベント系だと[行動]>[イベント]>[上位のイベント]レポートで「イベント カテゴリ」→「イベント アクション」→「イベント ラベル」というドリルダウン構造になっている。
なおドリルダウンは最大5階層まで指定できる。4階層まで指定したのが図12の例ということだ。
応用2指標グループは1つのタブのレポート内でさらに切り替えられる
最後は、複数の指標グループを作成できることについて言及しておこう。カスタムレポートでは、ディメンションと組み合わせる指標群のセットを複数作成しておくことができる。
たとえば図14のように2つの指標グループを作成(図14赤枠部分)しておくと、実際のレポート画面は図15のようになり、1つのレポートタブ内(図15赤枠部分)で2つの指標グループ(図15青枠部分)を切り替えることができるようになる。
複数の指標グループは、同じディメンションで掛け合わせる指標を変える場合に利用する。分析するディメンションが異なる場合は、先述した「タブ」を複数に分ける方法を使おう。
これは標準のレポートでもよく見かけるパターンだろう。たとえば図16の[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元 / メディア]レポートには、「エクスプローラ」というタブが1つあり(図15赤枠部分)、そのタブ配下に指標グループが5つある(図16青枠部分)レポートだ。
今回は少々盛りだくさんだった感があるので、ここまでにしておこう。「フィルタ」などのオプション(図17赤枠部分)については触れなかったが、次回まとめて解説する。いずれにしても、最後にカスタムレポートの作成画面で「保存」ボタン(図17青枠部分)をクリックすれば、設定は終了だ。
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