名刺交換してメルマガを送ったら悪印象? 再パーミッションの必要性と連絡の工夫
書籍『リードビジネス"打ち手"大全 デジタルマーケで顧客を増やす 最強の戦略86』の一部をWeb担向けに特別にオンラインで公開。
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名刺交換した相手に
メルマガはNG?
再パーミッションの必要性とメールの書き方
Chapter 2 リード獲得 「未来の顧客」と名刺交換しよう
名刺交換はリードを獲得する手段のひとつですが、相手は名刺交換によって個人情報の利用をすべて許諾したわけではありません。あらためて許諾をもらうため、連絡の取り方を工夫しましょう。
「社員が名刺交換した相手にメルマガ」は適法だけど……
名刺交換した相手にメールマガジンを送ることに法的な問題はありませんが、相手の心情には配慮が必要です。一方で、メールを起点に収集したオンラインの行動データをマーケティングに利用する場合は、先に許諾を得ていないと違法となります。
交換した名刺は企業の所有物となるので、企業からメールマガジンを送信すること自体に問題はありません。しかし、相手がそれを想定しておらず、悪い印象を持たれるのは本意ではありません。印象をやわらげるよう文言を工夫し、オプトアウトの方法を案内するなどの配慮をしましょう。具体的には次のようにします。
- メール冒頭に「本メールは弊社社員と名刺交換させていただいた方にお送りしています。今後、このようなメールを希望されない方は本メールの最下部をご覧ください。」と、メールを送信した経緯の説明、オプトアウト方法の案内を記す
- メール末尾に配信停止フォームへのリンクと、プライバシーポリシーへのリンクを掲載する
「許諾なくトラッキング」は違法行為なので注意!
メールマガジンにトラッキングコード〈※1〉を埋め込んで、個人を特定した行動データを収集する場合は、別の注意が必要です。改正個人情報保護法について解説した通り(セクション4を参照)、収集する情報の種類や目的を開示してオプトインによる相手の許諾を得ない限り、企業は個人情報を利用できません。
しかし、名刺交換しただけの相手が行動データの収集まで許諾したとは見なせないため、行動データを収集して個人を識別できる情報(メールアドレス)と紐づけて管理するのは違法行為となります〔図表26-1〕。
トラッキングコードの埋め込みはMAツールで簡単にできるので、違法だという認識がない人も少なくないようです。実際問題として、これに気付く人は少なく、ましてや抗議する人はまずいないでしょうが、何かがあったときには重大な問題となりかねません。 これを適法に行うには、名刺交換した相手にあらためてメールなどで連絡し、許諾を得ます。
※1 トラッキングコード メールアドレスなどの個人情報と紐づけた形でオンラインの行動データを追跡(トラッキング)するために、WebサイトへアクセスするURLに付与する特殊な文字列のこと。
再パーミッションを得るスマートな方法
Webサイトのフォームを経由しないで獲得したリードの行動データを利用するには、あらためて許諾を得る「再パーミッション」の手続きが必要です。何らかの形でフォームに誘導し、プライバシーポリシーを確認して許諾をもらう方法を考えましょう。
おすすめは、営業担当者が名刺交換し、データ化した直後、遅くても翌日までにメールを送り、メールマガジンや会員制サイトに登録してもらう方法です。ツールを利用して、営業担当者が名刺の情報を登録したら自動的にマーケティング部長の名義でメールを送るといいでしょう。メールの文例は、次の図の通りです〔図表26-2〕。営業担当者と会話した印象が残っている間は、許諾を得やすいはずです。
直後にメールを送るのが難しい場合は、Webサイトに会員限定のコンテンツを作って、トラッキングコードは使わずに告知のメールを送信します。コンテンツに興味を持ったリードが会員登録することで、行動データが取得可能になります。
サイトのアクセス時に説明を表示する方法も
Webサイトにアクセスしたときに、行動データを取得・利用する旨のメッセージを表示して、「許諾」ボタンをクリックしないと先に進めないようにする方法もあります。日本ではまだ見られませんが、世界でもっとも規制が厳しいとされる「EU一般データ保護規則」(GDPR)〈※2〉に対応するものとして、欧州ではよく実装されています。
文面は短くポイントのみ「当サイトではお客様のオンラインの行動データを取得しており、個人情報と関連付けてサービス向上やマーケティング活動のために使用いたします。」のようにして、詳細はプライバシーポリシーを参照できるようにリンクを張ります。
※2 EU一般データ保護規則(GDPR) 「General Data Protection Regulation」の略。2018年5月より施行される、欧州連合(EU)における個人情報保護のための規制。EU加盟国の個人に商材を提供する場合に限らず、個人の行動データを利用する組織も対象としている。
大きな問題になる前に見直しを
プライバシーマークを取得している企業が、よく見ると許諾を得ずにトラッキングする、違法なメールマガジンを配信しているケースも見られます。気付かれにくい問題なので、企業内の法務部門が指摘しても、営業部門やマーケティング部門は杓子定規に守ってリードを逃したくはないと考え、議論の結果、法務部門が折れる、という例が多いためです。 リードビジネスが普及するほど、こうしたことも注目されるようになるでしょう。問題が起こる前に、自社の運営を見直してください。
まとめ
トラッキングのための再パーミッションは重要です。許諾を得にくいのはジレンマですが、法的に問題のない運用体制を作りましょう。
過去に著者が行った、「Web来訪者の購買マインドを育成する、リードナーチャ リングの施策と可視化」についてのセミナー内容が、動画付きでご覧になれます。是非ご覧ください。
Web来訪者の購買マインドを育成する、リードナーチャリングの施策と可視化
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