登場人物紹介
今回の疑問は…?
「ユーザーに試して直すサービスプロトタイピングフェーズがあるのに、なんでリサーチが必要なの?」
サービスデザインでは、基本的にはいつも必ずリサーチを行ってからアイデアを出し、サービスプロトタイピングをしていますが、「どうせユーザーに試して改善をするんだったら、リサーチせずパッと思いついたアイデアでサービスプロトタイピングしたらダメなの?リサーチって必要ある……?」と思ったのでした。
ということで、この疑問をデザイン思考・サービスデザインの専門家で大学講師もしている、太田先輩にぶつけてみました。
マーケティングリサーチとデザインリサーチは違う!
なるほど……。マーケティングリサーチとデザインリサーチの違い。
「そっか、デザインリサーチというものをちゃんと理解できていないかも?」ということで、今回の疑問を大前提として、デザインリサーチについて聞いてみました。
ふむふむ、大きい違いは仮説があるか、ないかの違いなんですね。
現状のサービスや商品の改善にはマーケティングリサーチが適していそうですが、新しいサービスや体験を生み出すためには、デザインリサーチを行って生活者すら気づいていない問題を探るのが良さそうです。
仮説がない状態で探索するって、生活者の考えていることや気持ちや行動が入り組んだジャングルの中を「何かないか」「課題はどこにあるか」と、探して歩き回るみたいですね!
なんとなくは分かっていましたが、理解が進んだところで、本題に進みましょう。
ユーザーに試して直すのに、リサーチって必要なんですか?→別にリサーチしなくていい場合だってある。
デザインリサーチの話を聞いて、価値が分かり重要性が見えつつあったところで、この回答。一瞬、「え?」となってしまいましたが、「デザインリサーチフェーズを設けず、サービスプロトタイピングすればいいじゃん!」という場合はどんなものか聞いてみました。
フムフム。こんなときはデザインリサーチしなくていいんですね。
でも、なんでしなくていいんだろう?つまるところ、デザインリサーチの良いところって何なんでしょうか。
デザインリサーチする3つの価値
ぶにょう「しなくていい場合を裏返して考えると、デザインリサーチの良いところが見えてくる?」
太田先輩「そうそうそう!」
ということで、デザインリサーチの3つの価値を整理してみました。
1.説明しやすい、巻き込みやすい
リサーチ結果があることでステークホルダーへの説明が容易になったり、ユーザーの気持ちをデザインリサーチで共有しているので、納得がスムーズになったりして巻き込みやすくなるんですね。
ぶにょう:「たしかに、『担当者は良いと思っているのに、上層部には納得されない』『別の関連チームに説明しないといけないが、上手く伝わるか分からない』みたいな悩みって、クライアントからよく聞きますもんね…。」
太田先輩:「そうそう。IMJではクライアント社内の巻き込みも大事にしているんだよ。クライアント担当者がいかに社内でプロジェクトを進めやすくなるか、みたいなところまで考えているんだよねぇ。」
でも、サービス化をたった一人で全部進めることなんて滅多になさそうですよね。つまり、デザインリサーチはほとんどの場合に有効!ということになりそうです。
2.正しくピボットしやすい
「ピボット」は軸足を決めて回転させること、とのこと。
つまり、もしサービスプロトタイピングフェーズでつまずくことがあっても、デザインリサーチで課題が明確になっているから
・「課題は合っていたけどアイデアが違ったから、アイディエーションフェーズに戻る」
・「そもそも課題が違ったから、再リサーチする」
みたいに、つまずいた部分が何で、どのフェーズに戻ればいいのかがちゃんと分かるということですね。
ということは、こんなアイデアが良いと思う!とパッと思いついて実行してみても、もし途中でつまずいたら露頭に迷ってしまいそう……。
3.良い問いを見つけることができる
最後にデザインリサーチの一番大事な価値です。
デザイン思考では、解決策を考えるよりも前に、解決すべき課題を見つけるための「問い」が大切だといいますよね。
問いが表層的なものだと表層的な解決策しか見つからないけれど、デザインリサーチをすることで本質的な良い問いをみつけることができるんですね。
ちなみに、才能と経験に溢れたクリエイターも実は、普段から人にたくさん話を聞くなど無意識にデザインリサーチをしていて、良い問いを発見してるんだとか…。
でも、ここで、
・良い問いってなんだろう?
・どうしてデザインリサーチで良い問いを見つけられるんだろう?
・良い問いを見つけて何がいいの?
・良いってどう判断するの?
という新たな疑問が浮かんできました。
こちらは、また深くなりそうなので、次の機会に聞いてみたいと思います。
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