
「記事大量アップ」はもうSEOに逆効果? なぜ? コンテンツ品質管理のポイントは?【SEO情報まとめ】
「大量のコンテンツを制作する」という長年のSEO戦略は、現在では有害 ―― なぜコンテンツの量を突き詰めるとダメなのか、どうすればいいのか。持続可能な品質確保のための手順とポイントとあわせて解説する。
ほかにも、今回は(も)良質なコンテンツがたっぷりだ。
SEO重鎮の渡辺隆広氏による「なぜオウンドメディアは失敗するのか?」と「SEO情報収集術」、グーグルのゲイリーによる「SEOは死んだのか?」、ChatGPTによる検索行動の変化の調査データ、第三次ブラウザ戦争、決算資料にみるグーグル検索の状況などなど、あなたのSEO力アップに寄与する情報を、まとめてお届けする。
特に、渡辺隆広氏による2つの記事は、全SEO関係者必見の良記事だ。見逃すわけにはいかない!
- 「記事大量アップ」はもうSEOに逆効果? なぜ? コンテンツ品質管理のポイントは?
- なぜオウンドメディアは失敗するのか? 原因と成功への道筋
- SEOは死んだのか?←グーグル社員が明確に否定、進化しているだけ
- SEO業界29年目の権威が明かすSEO情報収集術
- SCの「削除」ツールが名称変更し「非表示」に
- ポストGoogle時代がやってくるのか? ChatGPTが巻き起こす検索行動の変化
- AIチャットの次はAIブラウザ戦争が勃発!? PerplexityがCometブラウザを公開
- グーグル一強は揺るがない!? 決算から読み解くグーグル検索の好調ぶり
- Search Console Insightsがリニューアル、解析初級者に親切な設計
- Search Consoleのロゴが一新
- Search Consoleパフォーマンスレポートで24時間ビューの比較が可能に
- ChatGPTの結果がLLMスパムに汚染され始めた
※次回お休みのおしらせ: このコーナーは隔週更新のため、本来ならば次回の更新は8月15日ですが、お盆のため1週間お休みさせていただき、次回更新は8月22日の予定です。
みなさん、夏の暑さに負けずお過ごしください。
今週のピックアップ
「記事大量アップ」はもうSEOに逆効果? なぜ? コンテンツ品質管理のポイントは?
コンテンツのジレンマを解決する (RicketyRoo) 海外情報
コンテンツの「質」が重要なのはわかるが、「量」はどうなのだろうか。以前はとにかく「大量のコンテンツ」で面をとることが大事だった。今とるべき戦略とは?
ここで紹介する記事は、「大量のコンテンツを制作する」という長年のSEO戦略が、現在ではパフォーマンスに有害であると論じている。かつては効果的だったが、より多くのキーワードで順位を上げるために公開コンテンツ数を増やすこのアプローチは、もはや時代遅れだ。現代の検索エンジンアルゴリズムは、「質の高い関連コンテンツ」と「質の低い数合わせのコンテンツ」を区別できるほど高度になっている。
元記事の著者は、今日の成功するコンテンツ戦略として重視するべき点を次のように挙げている:
検索意図に応え持続可能なランキングを達成するためには、コンテンツ戦略で次のものを優先すべき:
- 深さ
- 関連性
- 権威性
コンテンツの「質より量を優先」することは、表面に現れない重大な隠れたコストを伴う。低品質なコンテンツの管理や編集により多くの時間と費用を費やし、後のコンテンツ監査で修正や削除のために再びコストを支払うことになりがちだからだ。また、急ごしらえの一般的なコンテンツは、読者と検索エンジンの両方に対してブランドの信頼性を損なう。
実際の動きとして、次のような典型的なパターンを記事で提示している:
クライアントが、「限られた予算で大量のコンテンツ」を求める。
その要求に応えるために、質の低いコンテンツを大量に作る。
質の低いコンテンツは、「トラフィックの停滞」と「エンゲージメントの低下」を招く。
半年後には、コンテンツの整理が必要になる。
対照的に、質の高いコンテンツは、更新が容易でコンバージョンにつながりやすい長期的な資産として位置づけられている。
では、質を最優先するモデルへ上手に転換するには、どうすればいいのだろうか。著者はその体系的なプロセスを説明している。
そのプロセスは、次の動きから始まる:
- 雑に作った使い捨てコンテンツは「コスト」
- 高品質なコンテンツは「資産」
という長期的価値を対比して考え、
- アウトプットの数を気にする
でのはなく
- 成果に焦点を当てる
ようにクライアントを再教育すること。
ある事例では、クライアントがブログコンテンツの半分以上を削除した後、残りのコンテンツが非常に有用であったため、3か月以内にオーガニックトラフィックが22%増加したのだという。
持続可能な品質確保のプロセスには、次のような取り組みが含まれる:
徹底したコンテンツ概要書
すべての記事を、詳細な概要書に基づいて作成する。概要書には次の情報を含む:
- キーワード
- 検索意図
- ビジネス目標
- 競合分析
段階的なレビュープロセス
公開前にコンテンツを洗練させるために、レビュープロセスを含めたワークフロー管理を導入する。ワークフローには次のものを含む:
- アウトラインの承認
- ドラフトのレビュー
- SEO・編集の品質保証のためのチェックリスト
チーム横断での連携
コンテンツが顧客の実際の質問や技術的な要件に対応できるように、コンテンツ以外のチームを早い段階から関与させる。たとえば次のような立場の人を巻き込む:
- 営業
- サポート
- SEOチーム
コンテンツの再利用
高品質な記事の価値を最大化するために、さまざまなフォーマットに再利用する。たとえば次のような手法がある:
- 新しいデータで更新する
- ソーシャルメディアの投稿
- 動画
- 文字起こし
「同じコスト(時間的・金銭的の両方)をかけるなら、本当に高品質な少数のコンテンツに投資した方が長期視点で成果が上がる」という主張は確かにそのとおりだ。コンテンツ量産型のSEOは成果を生み出さないどころか、いずれ負債を抱えることになる。
- すべてのWeb担当者 必見!
グーグル検索SEO情報①
なぜオウンドメディアは失敗するのか? 原因と成功への道筋
成果を出すオウンドメディア運営の戦略 (SEMリサーチ) 国内情報
オウンドメディアに携わるすべての人が読むべき、超良質の記事を、渡辺隆広氏が公開してくれた。「成果の出ないオウンドメディア運営に共通する課題を分析し、その解決策を提示」した記事だ。
多くの企業が抱える問題の根本原因はほぼ同じで、たとえば「運営目的の不明確さ」や「コンテンツ品質への誤解」などがあ挙げられると渡辺氏はいう。
日本語として整った文章と、読者の理解を深め行動を促す「良い文章」は別物であるとまず渡辺氏は指摘する。良質なコンテンツには編集企画・構成・ストーリーテリングという“前工程”の設計が不可欠で、真に良いコンテンツを提供できる人はごく一部である。社内に適材がいなければ、紹介などで優秀なライターへ継続委託すべきだというのが渡辺氏の推奨だ。
そして、オウンドメディアのコンテンツ制作に生成AIを使うのが実用的でない2つの理由を渡辺氏は挙げている:
生成AIは「情報整形」は得意だが、「ストーリーテリング」が不得手で、オーディエンス理解に基づくデリバリーができない。
ChatGPTやGeminiで容易に得られる情報を、わざわざ自社サイトで発信する必然性が薄い。
「3年後はどうなっているのか」という注記を添えつつも、記事を執筆した2025年7月時点ではAI生成記事は不適と結論づけている。
仕事としてオウンドメディアを運営するにあたっての「目的が不明であることが多い」という構造的な問題も渡辺氏は指摘している。次のようなものだ:
多くの案件でメディアの目的・ユーザー理解が不明確
事業KPIだけが現場に降り、知見の薄い担当が“検索ボリューム→上位模倣”という最悪のフローに陥る
原因はコンテンツの意義への理解不足と、測定指標の取り違え
こうした問題の解決策として、2つの対応を渡辺氏は提案している:
ミッションの明文化 ―― 「誰に」「何を」「どうなってほしいか」の3点を定義。これにより発信すべき情報の種類・品質・ストーリー、不要情報、および社内で共有可能な判断基準が確立する。
ユーザー理解の深化 ―― 狙うユーザーが検索にいるのかを起点に、TikTok/インスタグラム/YouTube/X/フェイスブックなども比較検討する。検索が重要と結論した場合は、検索キーワードを徹底的に掘り下げ、単なるボリューム/難易度依存を避ける
また、“普遍的な良さ”ではなく、自社の目的・想定読者に照らした具体的な「良い」の定義を初期に策定し、原稿確認はその基準で行う。参考資料としてグーグルの検索評価ガイド(少なくともPart 1とPart 2)を渡辺氏は推奨している。
ここでは概要を紹介した。元記事で全体を理解することを強く勧める。
- オウンドメディアがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
SEOは死んだのか?←グーグル社員が明確に否定、進化しているだけ
SEOの本質に取り組めばGEOもLLMOも必要なし (Kenichi Suzuki) 国内情報
筆者が所属するFaber Companyの海外遠征の一環で、グーグルの検索イベント「Search Central Live Deep Dive APAC」に参加してきた(タイのバンコクで7月23日〜25日に開催)。
非常に多くのセッションがあったのだが、そのなかから「SEOは死んだのか?」に対するグーグル検索チームのゲイリー・イリース氏の見解を紹介する。
イリース氏はこのように述べ、1997年から毎年のように「SEOは死にかけている」と人々が言い続けていることを指摘した。しかし、実際にはそんなことは起こっておらず、繰り返し持ち上がるSEOの終焉という問題をキッパリと否定した。
イリース氏はこう続ける。
AIを活用した新機能に表示されるためには、SEOの基本原則がこれまで以上に重要だ。このアドバイスは今も変わらない。つまり、「役立つ信頼性の高いコンテンツ作りに集中すること」が、変わらない本質である。
AI OverviewやAI ModeなどAIが組み込まれたこうした新しいテクノロジーは、クリエイターを排除するのではなく、より多くの機会を創出している。
さらにこうも付け加えた。
AI Overviewにコンテンツを表示させるには、通常のSEOを実行するだけでいい。「AEO」「GEO」「LLMO」みたいなものは、何であれ必要ない。
グーグルが検索セントラル公式ブログで示したAI検索機能のためのベストプラクティスでもわかるように、AIが組み込まれた検索だからといって従来のSEOと大きく異なる施策は何もない。AI検索に特化したテクニック的な施策はあるかもしれないが、本質は不変だ。
- すべてのWeb担当者 必見!
SEO業界29年目の権威が明かすSEO情報収集術
SEO上級者を目指すなら参考に (SEMリサーチ) 国内情報
SEO業界29年目に突入した渡辺隆広氏が、情報収集のために信頼しているリソースと情報収集の考え方を共有してくれた。
渡辺氏ならではの情報収集術として筆者がインパクトを受けたのは、次の2点だ:
- 基本的に英語の情報のみを取得、2013年以降にSEOを始めた人の情報は見ない
- 視野を広げるためにSEO以外の情報も取得
具体的な情報源と情報収集方法は元記事で確認してほしい。一般的なウェブ担当者には難易度が高いものも含まれるが、特にSEO上級者を目指す人には役立つはずだ。
個人的には、この記事の価値は「どんな情報源にあたればいいのか」のリストとしてだけではないと感じた。もちろん、「そういうソースがあるのか」という情報もあるのだが、「情報をどう選別し、どう扱うのか」に関する渡辺氏の考え方が記事全体にちりばめられており、そこに大きな価値があると感じた。
たとえば、次のような点は(実行し続けるのはかなり難易度が高いが)重要だろう:
私がさまざまな情報源から学び取ろうとしているのは、単なる「答え」ではありません。それは、専門家たちが**どのような思考プロセスを経て、その結論に至ったのかという「ロジック」**そのものです。議論の展開手順、着目している論点、そして結論を導くためのプロセスを深く理解することで、私自身の「考える力」も向上すると考えています。
私にとって最も重要なのは、この**「思考の再現性」**を身につけること。これにより、どんな新しい問題に直面しても、効果的な解決策を自分で導き出すことが可能になるのです。
これこそが「情報収集」の中長期的な最大の価値なのだから。
- ホントにSEOを極めたい人だけ
SCの「削除」ツールが名称変更し「非表示」に
適切な表現になった (t.o on X) 国内情報
Search Consoleの「削除」ツールの名称が「非表示」に変更された。


本来、このツールは指定したURLのページを一時的に検索結果に出ないようにするものなので「非表示」が正確な表現だ(サイト側で実際に削除したりnoindexを指定したりして正しく「削除」するまでの間、対象URLを検索結果で一時的に非表示にするための機能)。
インデックスから「削除」されるものだと解釈して使用するユーザーがいた。機能そのものには変更はないのだが、誤解を招く恐れが減ったのは良いことだ。
サーチコンソールの「削除ツール」が「非表示ツール」に名称変更されてる!(名称のみの変更です)これで誤った使い方する人が減ってくれればよいんだけど pic.twitter.com/PryQBphr2s
— t.o (@jizo_seo) July 22, 2025
- SEOがんばってる人用(ふつうの人は気にしなくていい)
ソーシャルもやってます!