Instagramのリーチ数を増やすには“タグ映え”が重要。ハッシュタグの関連性を把握する

ユーザーの購買前の影響力においてGoogleを超えつつあるInstagram、何気なく付け加えたそのハッシュタグが、逆に投稿のリーチを落としているかも!?
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タグ映えという言葉をご存じだろうか?

タグ映えとは、ハッシュタグ検索画面でファーストビューに表示されることを指す。タグ映えするか否かでInstagramのリーチ数に2倍以上の差が出てくる。タグ映えを狙うために最も重要となるのは、写真でもキャプションでもなく、その名の通り「ハッシュタグ」だ。

本記事では、Instagram版SEO分析ツール「AISIGHT(アイサイト)」を提供しているAIQ(アイキュー)の西川氏に、ハッシュタグによってリーチ数を伸ばすためのノウハウを聞いてみた。

クイズ ①

まず、ノウハウを解説する前に、こちらをご覧いただきたい。

これら2つは、Instagramの投稿だが、リーチ数に2倍以上の差があるのだ。AとBのどちらの投稿がリーチ数が多いかわかるだろうか?

答えはAである。

Aの投稿は、Bの投稿の2.1倍のリーチ数を記録した。さらに、投稿の「いいね!」やコメント、保存数などのエンゲージ数は約3.5倍に達したという。西川氏は、この差の原因は、「ハッシュタグ」にあると説明する。

AとBの投稿につけられていたハッシュタグは下記だが、このハッシュタグでなぜそこまでの差が出たのだろうか。

この裏には、どんなロジックが隠れているのか、詳しく解説していく。

ロジックの解説

ロジックの裏には、「タグ映え」している投稿か否かが大きく関係している。タグ映えとは、ハッシュタグ検索画面でファーストビューに表示されることを指す。

ハッシュタグ検索画面でファーストビューに表示されることを“タグ映え”と呼ぶ

Instagramでは、ハッシュタグで検索すると、そのタグがついた投稿が上図のように一覧で表示される。この表示は人気投稿順になっている。つまり、上位9位以内に入ればスマホ画面でのファーストビューに掲載されるのだ。

一つの投稿に30までつけられるハッシュタグ。“タグ映え”すればするほどリーチは伸びていくことになる。

“タグ映え”する投稿をするTips

では、どうすれば“タグ映え”できるのだろうか。以下、タグ映えするために担当者が知っておきたいTipsを解説する。

人気投稿に載るにはエンゲージ数が重要

先述したが、ハッシュタグ検索画面でファーストビューに表示される投稿は人気投稿順である。人気投稿は、投稿へのいいね!やコメント、保存などの「エンゲージ」数が大きく影響している。ハッシュタグ検索内でエンゲージ数を多数獲得することが、タグ映えのカギを握っている。

クイズ ②

ここで、また皆さんにクイズを出そう。タグ映えを狙って、次の条件からどのハッシュタグを選ぶか、選んだ理由も併せて考えてほしい。

  • アカウント:育児アカウント
  • 条件:1投稿あたり、平均500「いいね!」を獲得するアカウント
  • 目的:タグ映えを狙う

答えは「#赤ちゃん服」だ。

投稿件数に対して初速のエンゲージ数で人気投稿に載るか否かが決まる。500いいね!が見込めるアカウントであれば、だいたい3~5万投稿件数のハッシュタグを狙えば、人気投稿に載る率が高いというわけだ。

投稿写真にあわせて、以下のハッシュタグを選ぶ人もいただろう。

  • #赤ちゃん
  • #赤ちゃんのいる生活

適切なハッシュタグを選択しているが、投稿件数がそれぞれ「781万件」「358万件」と大きい。フォロワーから平均500いいね!が見込めるこのアカウントでは、人気投稿だと認識されづらいと言える。

人気投稿に載るかどうかは、投稿後のエンゲージ数が大きく影響してきます(西川氏)

西川 龍二氏
AIQ(アイキュー)株式会社 シニアマーケティングプランナー 西川 龍二氏

投稿直後に獲得できる「エンゲージ」の数にあわせたハッシュタグ選びで、“タグ映え”を狙うことができた。――ただし、それは2019年末までのことだ。

ハッシュタグの関連性が重要

2019年末までは、この方法でほぼ“タグ映え”を実現できていた。ところが、最近はこの状況に大きな変化が生じている。西川氏によると、2019年末ごろから、突然、投稿ボリュームに合ったハッシュタグを設定していても人気投稿に載らないということが発生するようになった。

その背景には、ハッシュタグ同士の「関連性」があると西川氏は言う。ただし、人間ではなかなかその関連性のありなしが判別しづらい。

クイズ ③

ここで、さらにクイズに挑戦してみよう。以下は、家具・インテリアのオンライン通販を行う「LOWYA(ロウヤ)」が実際に投稿したハッシュタグ一覧である。この中で、実際にどれが“関連性のない”ハッシュタグなのか、考えてみてほしい。

関連性が無いと判断されたのは、以下の2つである。

  • #休日
  • #休日の過ごし方

関連性のないこの2つのタグが含まれていたために、それ以外のすべてのタグで人気投稿に載ることもなく、リーチも伸びなかったという。

正解を見ても、なぜ「#休日」がNGで「#気分転換」「#掃除好き」がOKなのか など、判定理由がわからない方も多いのではないでしょうか。関連性はInstagram側のアルゴリズムで判定されるため、人間が一つひとつ手動で判定するには限界があると言えます(西川氏)

AIQでは、Instagramの人気のハッシュタグや投稿をランキング形式で表示する「Instant Trends」というサイトを公開している。このサイトの傾向から、人気投稿に掲載される投稿内容が2019年末ごろから明らかに変化があり、掲載アルゴリズムの変化を実感したのだという。Instagramから公式な発表があったわけではないが、細かくタグを選定している運用代行企業などの界隈では騒がれているとのこと。

西川氏は、人気投稿の掲載アルゴリズムの変化の裏に次のようなことがあると考えている。

“ググる”から“タグる”に検索行動が変わってきていると言われており、検索するユーザーの意図に沿わない投稿が表示されてしまうことによる不便や不満足を解消するために、Instagramがアルゴリズムを改定しているのだと思われます。

関連が薄いとみなされるハッシュタグをつけている投稿は、一緒に使った他のタグも人気投稿に載る可能性が著しく低くなります(西川氏)

AIでハッシュタグの関連性とアカウントを瞬時に判定、“タグ映え”を狙う

ハッシュタグの関連性が人気投稿の表示に大きく影響しているものの、人間がそれを判定するのは難しい。そこで役立つのがハッシュタグの関連性を判定してくれるInstagram版SEO分析ツール「AISIGHT(アイサイト)」だ。

AISIGHTでは、投稿に使おうと考えているハッシュタグを入力すると、それぞれのタグの関連度と、初速のエンゲージなどアカウントの傾向をAIで瞬時に判定してくれる。Aが関連性が高く人気投稿に載る可能性の高いタグ、そこからB、C、Dと人気投稿に載る可能性が低くなっていき、「!」(注意)は関連性が低いと判断されるタグだ。

LOWYAの投稿を見ると、先ほど説明した2つのタグが!判定を受けていた。これらの!判定のハッシュタグを削除するだけで、人気投稿に掲載される可能性がグンと上がってくる。

タグの関連性をランキング

さらに、そもそも使用するタグが思いつかない場合などは、投稿に使おうと考えている投稿文や過去に利用したタグなどを張り付けて「検索」をするだけで、関連性の高いタグを順番にレコメンドしてくれる。

こうして、!(利用NG)のタグを削除し、新たにレコメンドされたタグを追加するなどしながらタグを調整していくだけで、どんどん投稿の“タグ映え”の確率が上がっていくわけだ。

ハッシュタグのレコメンド画面

投稿したあとは、実際にどのハッシュタグが人気投稿に載ったかを投稿分析画面から確認できる。

投稿分析画面のハッシュタグ結果:オレンジが人気投稿に載ったもの、薄いオレンジが一度は人気投稿に載ったが載らなくなってしまったもの、白がまったく載らなかったもの

もちろんAISIGHTは、ハッシュタグ選定、効果の可視化だけではなく、下記のようなInstagramマーケティングのための豊富な機能を備えている。Instagramのデータを分析・活用したい企業のためのツールだと言えるだろう。

  • フォロワー数増減をはじめ、各種データの推移閲覧を行える「アカウント分析
  • 競合アカウントの動向もあわせて確認できる「自社・競合分析
  • アカウントのフォロワーの投稿を分析して年代性別比率や趣味嗜好を推測したり、フォロワーの中のインフルエンサーを発見する「フォロワー分析
  • トレンドをリアルタイムで把握し、フォロワーの人気ハッシュタグを抽出する「ワードクラウド分析
  • 投稿ごとにいいねやリーチ、コメント数などのエンゲージ推移やフォロワー・非フォロワー比率などを把握できる「投稿分析
  • ストーリーに対するリピーターや非フォロワーリストなどでファンを探すことができる「ストーリーズ分析
フォロワーが今どんなハッシュタグを利用しているのか見られる「ワードクラウド分析」

西川氏は「AISIGHTを使えば、Instagramにおけるリーチ数・流入数は必ず増やせます。分析や報告などの工数を減らし、タグ選定で期待以上の効果をあげ、ご多忙なご担当者さまの期待を超えることができるマーケティングツールです」と胸を張る。

広告費を使わなくても多くのリーチをオーガニックで獲得

AISIGHTは2019年8月末にリリースしたが、2020年1月時点ですでに500アカウント以上で利用されている。例えば、先ほどまで説明してきたLOWYA(ロウヤ)の事例では、AISIGHTを利用して人気投稿に載るハッシュタグの選定を行ったところ、リーチ数が2.1倍になり、エンゲージ数も約3.5倍にまで増加した。

また、代理店などがインフルエンサーのアカウントをAISIGHTに登録・分析し、投稿の効果を検証する事例も出てきている。インフルエンサーのフォロワー属性やフォロワーの興味・関心、どういった投稿のリーチが伸びるかなどを把握できるからだ。

例えば、女性のインフルエンサーに対しては「コスメのPRをお願いしよう」などと単純に考えがちですが、インフルエンサーによってはフォロワーの多くが男性という場合があります。そういうタイプのインフルエンサーにコスメのPR投稿をしてもらっても効果が薄い。AISIGHTを利用すれば、投稿後にどれだけ効果があったか検証しやすくなり、より適切なPR施策が可能になるというわけです(西川氏)

まとめ:ユーザーは好きなものを探してタグる
ユーザーの心に届く“タグ映え”を目指そう

Instagramは、画像にタグ付けしてECサイトに誘導できるショッピング機能(Shop Now)や決済ができるチェックアウト(米国のみで提供)などの機能の拡充により、認知から購買、継続までを一気通貫で網羅するプラットフォームへと変容してきている。

自社ECサイトを構築し、多額の広告費用をかけられるような大手企業でなくても、アイデア・商品力に優れていれば、Instagramをうまく活用してファンを作ることができるようになった。最近は小売店を通さず、ダイレクトに顧客に商品を販売するD2C(Direct to Consumer)の商流も増えており、Instagramの可能性は今後も広がっていくだろう。

「“タグる”行動は、ユーザーの趣味趣向の先にある『好き』と、企業から創出された投稿の先にある『体験』との出会いです。“タグ映え”とアカウント分析を融合したAISIGHTは、今後も企業とユーザーのインサイトをつなぐ唯一無二のツールとして、Instagramとともに成長を続けていきます」と西川氏は自信をみせた。

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