Instagramの新機能+テスト中の機能まとめ|アルゴリズムの都市伝説の真偽をMetaが説明
5月16日、Instagramの最新機能やトレンドを学ぶイベント「INSTAGRAM UNIVERSITY(IGU)」が渋谷で開校した。米国では定期開催している同イベントだが、国内では初開催となった。
イベントには、Meta Instagram広報の市村怜子氏やMeta Facebook Japanの山谷道裕氏、SHIBUYA 109Lab.の長田麻衣氏が登壇。
Instagramで本格実装前のテスト中の機能紹介やInstagramのアルゴリズム、特に発信者側にフォーカスした内容やまことしやかに囁かれているアルゴリズムの都市伝説に関しても真偽を明らかにしている。
Instagramの注目機能とテスト中の最新機能
まずInstagram 広報の市村氏から、Instagramの注目の機能や、テスト中の機能が紹介された。市村氏によると、注目の機能は以下だ。
- ノート
- 親しい友達
- コラボコレクション
➀「ノート」機能
「ノート」は2023年1月30日から日本で利用可能になった機能だ。DMの画面に最大60文字の短いテキストを残すことで、今の気持ちや近況をシェアできる。市村氏によると、ノートの更新はフォロワーなどに通知が送られないため、気軽に投稿できるのと、投稿時に共有範囲を選べるのがポイントだという。ノートに投稿された内容は、ストーリーズと同様に24時間で消える。
②親しい友達
「親しい友達」の機能は2018年11月にローンチされた。ストーリーズの共有範囲を管理するリストだが、ノートの共有範囲にも使用できる。リストにアカウントを追加しても相手に通知は届かない。
③コラボコレクション
「コラボコレクション」は2023年3月にローンチした新機能だ。すでに実装されていた保存機能がアップデートされ、友達とコラボしてコレクションを共有し、お気に入りの投稿を保存できるようになった。コレクションに参加している人は誰でも投稿を追加・削除できる。コラボコレクションは「保存済み」から確認可能だ。
続いて、テスト中の機能を紹介する。
まずは、「ノート」でテスト中の機能だ。ノートで好きな楽曲をシェアできる機能を一部の国でテスト中だという。この機能では、ノートを見た人が吹き出しをタップすると楽曲が流れる仕組みだが、正式に採用されるかどうかは未定だという。
次は「フィード」でテスト中の機能だ。現在はフィードに投稿する際、写真が1枚のときのみ楽曲を追加できるが、複数枚の写真にも対応するよう、日本を含む一部の国でテスト中だという。ただし、動画が1点でも入っていると楽曲は追加できない。
最後に、「リード」でテスト中のいくつかの機能と、今後導入予定の機能を紹介する。
- 親しい友達リストを指定できる機能(日本含む一部の国でテスト中)
- 歌詞を表示できる機能(日本含む一部の国でテスト中)
- 編集ツールの充実(未導入)
特に、リールの編集ツールの充実について補足する。動画クリップやオーディオを1つの画面で編集できるツールが4月から導入されているが、さらに動画クリップを2つに分ける「スプリット」機能が5月半ばにローンチ予定だという。そして、動画の速さを変える「スピード」は6月から順次テストが始まるそうだ。
Instagramのアルゴリズムについての基礎知識
続いて、Meta Facebook Japanの山谷が登壇し、Instagramのアルゴリズムについて解説した。会場では受け手側と発信側双方でのアルゴリズムについて語られたが、今回は発信側にフォーカスして紹介する。
まず、Instagramに全機能で共通のアルゴリズムはない。以下のように複数のアルゴリズムが存在し、アプリの部分ごとに独自アルゴリズムが使用されている。
- フィード
- 発見タブ
- リール
それぞれについて説明する。
フィード
ユーザーに表示される情報
ユーザーには友達や家族、お気に入りのクリエイターやブランドなど、関係が近い人たちの投稿が表示される。フォローしているアカウントによる投稿がメインだが、Instagramはユーザーの興味がありそうな投稿を「おすすめ投稿」として表示している。ユーザーに投稿が表示される基準
まずは投稿の人気、つまりシェアやいいね、保存の数が評価基準だ。次に重要なのは投稿者の情報。DMを返している、コメントを返しているなど、どれだけコミュニケーションを取っているかで発信者の人気を測っている。
発見タブ
ユーザーに表示される情報
ユーザーに新しいコンテンツを発見してもらうための場所。主に表示するものは、フォローはしていないが、ユーザーの興味がありそうなものを推測する「おすすめ投稿」。最近いいね!した投稿と似ていたり、関連性があったりするコンテンツなど。ユーザーに投稿が表示される基準
発見タブも、投稿の人気が基準だ。ただし、いいね!の数だけではなく、投稿してからいいね!が増えるスピードも評価基準になっている。次に重視される基準は、発信する側と受け手側のコミュニケーションが過去にあったかどうかだ。これはフォローしている、していないは関係ない。コメントに返信している、受け手側の投稿にコメントしている、ストーリー上でやりとりしているなどが評価される。
リール
ユーザーに表示される情報
ユーザーがエンタメとして楽しめる動画を表示している。フォローしていないアカウントのリールも表示するのは発見タブと同じだが、見る側が「おもしろい・楽しそう」と思いそうなものを表示。ユーザーに投稿が表示される基準
リールで最重要視されているのは、見る側のアクティビティだ。そしてやはりリールも発信側と見る側のコミュニケーションの有無が評価される。
ここまですべてに共通しているのは「コミュニケーション」だ。Instagramはコミュニケーションを前提としたプラットフォームなので、発信するだけではなくフォロワーや自分の投稿に反応してくれた人に対して、コメントやいいね!を返すことが重要だと、山谷氏は語った。
続いて山谷氏は、アルゴリズムにまつわる都市伝説的な噂を紹介し、これについて本当かどうかを解説した。
アルゴリズムにまつわる都市伝説
正しい
- 個人アカウントでもプロアカウントでも、アカウントの種類はほかの人のフィードでの表示に影響することはない
- ブランドコンテンツの投稿はアルゴリズムのランキングに影響しない
誤り
- 自分の自己紹介にほかのプラットフォームへのリンクがあると、コンテンツが表示されにくくなる
- 同じハッシュタグを繰り返し使うとペナルティが科される
- 投稿後にキャプションを編集すると、その投稿は表示されにくくなる
ちなみに、Instagramでシャドウバンというものは存在しない。しかし、コミュニティガイドラインに違反すると、アカウントに制限がかかるので注意が必要だ。
Instagramで見るZ世代の最新トレンド
最後に、SHIBUYA109 lab.の長田氏が登壇。トレンド感度が高い高校生・大学生によるトレンド研究チーム「トレンド部」が4月に行ったトレンド研究の内容を発表した。
まず、長田氏は2023年4月にInstagramでZ世代に検索されたキーワードを紹介した。人気の検索キーワードには「目黒川」「吉野山」などお花見シーズンに関するワードが多くランクインした。また、「錦帯橋(山口県)」「MIHO MUSEUM(滋賀県)」など絵になるスポットもランクイン。お花見以外にも「ルーブル美術館展」「ネモフィラの花」「ピクニックコーデ」などお出かけに関するワードも多かったという。
また、Z世代がリールで使った人気の楽曲は、卒業シーズンの歌や春の歌など季節に関するものが多かった。
- スピッツ「春の歌」
- 藤井風「旅路」
- ケツメイシ「友よ~この先もずっと…」
- Vaundy「Tokimeki」
- クリープハイプ「栞」
最も新しい曲で2021年にリリースされたもので、季節やイベントから関連されるムードや歌詞と関連度が高ければ発売年に関係なく人気が高いことがわかります(長田氏)
さらに、人気のハッシュタグもやはりお花見に関するワードが多数ランクインしたが、WBC関連のハッシュタグもランクインしていた。音楽ジャンルではコンサートを観に行った様子をシェアするときに使うハッシュタグとして、ツアー名やファンの名称などもランクインした。オフラインのライブが本格的に復活し、その体験を投稿したいZ世代が多いようだ。
長田氏は、さらにトレンドを深掘りするため、ヘアトレンドについてさらに調査したという。ヘアトレンドでは、「#マッシュ」「#ウルフカット」「#イヤリングカラー」「#ピンクブラウン」「#ラベンダーベージュ」などが人気の検索ワードだった。検索ワードやSHIBUYA109でヘア関連のトレンドアイテムを調査した結果、以下のトレンドが見えてきたそうだ。
- ヘアスタイルも美容院選びも失敗したくない
- 体験・世界観から逆算したヘアスタイルを楽しむ
- 量産型・水色界隈のヘアアイテムがトレンド
特に、Z世代の「失敗したくない」というマインドがわかるヘアスタイルや美容院選びについて解説する。
長田氏によると、Z世代は事前に情報収集を入念に行うという。Instagramで美容院や美容師の実績、他者評価を多面的に確認し、美容院でヘアスタイルを決めることは少なく、事前の検討に時間をかけているのだ。さらに、自分のしたいヘアアレンジが可能かDMで確認し、予約もInstagramで行うことがあるという。
この情報収集の入念さは、「失敗したくない」という価値観が根源にあると考えます。Z世代はまだ若く、自由に使えるお金が限られていますし、SNSで簡単に情報収集できる環境があります。そのため、自分に合うスタイルを探すときには、失敗を避けるためにSNSで他者の評価や信頼している人の評価を元に決めることが多いです(長田氏)
今回はInstagramでテスト中の機能やアルゴリズムについて多く語られたイベントだった。
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