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AI活用で記事制作数2.5倍! 検索上位も次々獲得した成功事例とは?

AIツールを利用して記事制作を効率化。制作数2.5倍を実現し、しかも検索上位も次々と獲得した成功事例を紹介する。
(左から)株式会社ラクーンコマース オウンドメディア編集 後藤由希氏、
株式会社Faber Company(ファベルカンパニー) コンサルタント 東真澄

「人手が足りないからこそ、生成AIを活用してSEO施策を効率化したい」──そう考えても、実際にはAIをうまく使いこなせず、思うように施策や成果につながらないことも多い。

そんな中、ラクーンコマースのオウンドメディア「スーパーデリバリーメディア」では、AIツールを利用した記事制作の効率化にトライ。記事執筆を担当するのはほぼ1人という体制の中、How-toコンテンツや時事コンテンツ、企業紹介など、幅広いテーマでのコンテンツ発信を継続している。中には、検索結果で1位を獲得したり、強調スニペットに掲載されたりしたコンテンツもあるという。

今回、「スーパーデリバリーメディア」を担当する同社の後藤氏に、AIを活用した記事作成の成功事例について、Faber Companyのコンサルタント 東とともに話を伺った。

AIを活用し、「良い記事」を作成したい

オウンドメディアだけでなく、若手社員の育成など、さまざまな業務に携わっている後藤氏

アパレル・雑貨を中心とするメーカーや小売業・サービス業など、多様な事業者が利用する卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」。後藤氏はこの「スーパーデリバリー」に出展している事業者のPRを担当する立場にあり、オウンドメディアやSNSで事業者が出品している商品を紹介するほか、情報発信に関わる社内の若手社員の育成なども行っている。

業務が多岐に渡り、さらにオウンドメディアで記事を書くメンバーが他にほとんどいない中、後藤氏はかなり早い時期から、工数削減を目的として積極的に生成AIを使っていた。しかし、記事としてアウトプットさせるところまでは至らなかったと語る。

AIで簡単な調整を行うことはできても、記事という形でアウトプットさせるためには特殊なプロンプトを組む必要がありそうで、難しそうだなと感じてしまっていたんですよね(後藤氏)

そんなとき、ミエルカSEOで「かんたんAI記事生成」機能がリリースされた。SEOの知見が豊富なFaber CompanyがリリースしたAI機能ということで、「ぜひ使ってみたい」と思ったという。

生成AIは、一般の人たちに使われ始めた当初から、仕事の効率化に活用できると言われていました。しかし、どうやって使うのか、どうしたら良いアウトプットが出るのか、いろいろな人が試行錯誤している状態だったと思うんですよね。だからこそ、リリース時の案内を見て、「どういったアウトプットを出してくれるのだろう」と興味をもちました(後藤氏)

ペルソナの調整がAIの出力精度を上げる

かんたんAI記事生成機能では、キーワードを入れると、最初にペルソナを生成する。後藤氏は、ペルソナがしっかりしているほど、その後の工程でのAIの出力精度が上がるとわかってからは、特に注意してペルソナを調整するようにしているという。

AIに生成してもらったペルソナを修正する中で、自分が本当に想定していた読者像を再確認できるんですよね。結果として、記事の軸がよりクリアになりました(後藤氏)

さらに、ペルソナを設定するプロセスが、若手育成にも役立っている。

AIに不慣れな方や記事執筆に慣れていない若手の方であれば、ペルソナを細かく設計することに対してハードルを感じる方も多いかもしれません。しかし見方を変えれば、「記事作成はこういうフローで考えるんだよ」「このくらい言わないとAIには伝わらないよ」と教えるプロセスとしても使えるので、とても良いツールだなと感じています(後藤氏)

ペルソナを生成する画面

AIの利用で、制作本数が大幅に増加。さらに、クオリティがアップ

月4本→10本以上の記事制作が可能に

AIでの記事生成によって制作本数が大幅に増加し、前は月4本が限界だったが、今では月10本以上を公開できるようになった。

記事作成に携われる人数がいない上に、オウンドメディア以外の仕事ももっているので、リサーチにかける時間や執筆にかける時間はどうしても短縮しなければいけなくなってきます。このニーズに、かんたんAI記事生成機能がうまくフィットしてくれたんです(後藤氏)

以前は調査から執筆まで3~4週間くらいかかっていた。しかし、たとえば「ウェザーマーケティング(天気予報をマーケティングに活かす手法)」というテーマで小売業とヘアサロン向けの記事を作成した際には、1週間くらいで終わり、だいぶ効率が上がったという。

また、卸・仕入れサイト「スーパーデリバリー」は、顧客の業界・業種が多岐にわたるため、ターゲットもさまざまだ。そのため、同じテーマであっても、業界や業種ごとに複数の記事を作成することが多い。

「ウェザーマーケティング」の記事作成では、最初に小売業向けの記事を作って、あとはペルソナだけをヘアサロン向けに書き換えて再度生成するという方法で執筆しました。一定のクオリティを保った状態で、迅速に記事を生成できるという点で非常に助かっています(後藤氏)

記事のクオリティがアップ

さらに後藤氏は、記事をAIに書かせることで、クオリティが高まったと語る。

執筆にかかる時間を短縮できれば、その分の時間をコンテンツ内容の精査に充てることが可能になります。特にHow-to記事は、事前調査や執筆後の内容チェックに時間がかかるので、執筆にかけられる時間が短くなるだけでかなり助かっています(後藤氏)

また、AIが書いた記事だからこそ、自分が“レビューする側”として客観視できるのも大きいという。

自分で書いた記事を客観的に見るのは結構難しいと思うのですが、AIに書かせたものであれば、ライターさんに依頼していた記事をチェックするのと同じ感覚で、冷静に確認できるので、完成時のクオリティはあがったと思います(後藤氏)

AIで書いた記事を客観的にチェックできるので、クオリティがあがる

もちろんAIは完璧ではない。「タイトルがいまいちだな」「もっといい言い回しがないかな」と感じるときもあるという。その場合は、タイトルだけブラッシュアップしたり、部分的に補正をかけたりする必要がある。後藤氏は、そういうときは、ミエルカに搭載されているAI Chat機能*を使っているという。

*AI Chat機能:GPT-4oをはじめとする生成AI言語モデルを活用し、ユーザーがチャット形式で対話しながら利用できるというもの。Faber Companyが長年にわたり蓄積してきたSEOの専門知識をもとに設計された、「タイトル生成」「構成案作成」「リライト」などのプロンプトテンプレートが用意されており、キーワードや業界などの情報を入力するだけで、専門家の知見を簡単に活用できるという特徴がある。

タイミングを逃さず記事化して、検索1位 & 強調スニペット掲載

効率的にAIで記事が作成できても成果に繋がらなければ意味がないが、後藤氏は、検索上位を多数獲得しているという。たとえば、「熱中症対策 義務化 小売」のキーワードを狙った記事では、Google検索1位・強調スニペット表示*という成果が出ている。
* 2025年6月24日時点、弊社調べ

「熱中症対策 義務化 小売」のキーワードを狙った記事で、強調スニペットに表示

後藤氏は、時事トピックを扱うときにも、かんたんAI記事生成機能が便利だと話す。

「熱中症対策 義務化 小売」を狙った記事は、ある日上司から「義務化が始まるらしいよ」と言われたことがきっかけです(笑)。そこからいろいろ調べてみたら、「うちのお客様向けに書いたら面白そうだよね」ということになって、すぐに書き始めました。公開したら、ちょうど話題として盛り上がっていた時期だったのもあるのか、すぐに検索順位がつきました(後藤氏)

「スーパーデリバリー」は扱っている商品が幅広いので、時事トピックの記事を書くことも多い。 「そんなときは、AIで記事の叩き台をすぐに作り、執筆することでタイミングよく発信でき、助かっている」と後藤氏は話す。早いときには、情報を得てから約2時間程度で記事を公開できることもあるため、トピックの話題性が失われないうちに発信でき、検索順位も上がりやすい傾向があるという。

AIによる検索が広がっている現代において、オウンドメディアは、信頼される情報源としての質を維持しながら、コンテンツを継続的に発信し、ユーザーが必要とするタイミングで的確な情報を提供することが必要になる。

誰もがいつでも情報発信できるようにしたい

最後に、これからの抱負を後藤氏に聞いた。

当社サービスは、コンテンツで初めて接点をもってから実際の購入や利用に至るまで、リードタイムが長いんです。その中で継続的に接点をもち、信頼を勝ち取っていく必要があります。
だからこそ、「AIを使えばこんなにかんたんにできるんだよ」と若手や周りのメンバーに伝えることで、誰もがいつでも情報発信できるようにしようと思っています。情報発信を継続していけば、長期的にはそれが会社の資産価値にもなりますから(後藤氏)

終始なごやかに笑顔で取材に応じてくださった後藤由希氏と東真澄

◇ ◇ ◇

早い時期から生成AIに着目され、試行錯誤を重ねていたという後藤氏。今回紹介した「熱中症対策」のように、生成AIをうまくコンテンツ制作に取り込めた実例は、随時社内にも発信していらっしゃるとのこと。ハルシネーションなど生成AI特有のリスクも正しく理解して、「まずは使ってみる」ということが、これからのマーケターには求められる姿勢なのかもしれない。

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