2018年世界の消費者意識調査:購買チャネルはモバイルが17%、実店舗は44%【PwC調べ】

PwC Japanグループは「世界の消費者意識調査2018」(日本語版)を発表した。

PwC Japanグループは「世界の消費者意識調査2018」(日本語版)を公開した。この調査は「世界の消費者を対象に購買行動を追跡し、小売業の将来に関する世界規模での分析と示唆を得ること」を目的に毎年実施しているもの。日本を含む世界27カ国・地域22,481人の消費者からの回答をまとめている(うち、日本の消費者は1,009人)。

*本レポートの英語版は2018年2月に発表されており、今回の日本語版レポートには日本の消費者からの回答結果と日本マーケットへの示唆が追記されている。特設ページから詳細レポート(PDF、19.7 MB、68ページ)のダウンロードが可能。

購入チャネル:底堅い実店舗と台頭するモバイル

eコマースの成長は依然として続いており、回答者の59%が大手オンライン小売事業者で買い物をしている。また、日本における大手オンライン小売事業者の利用は90%を超えている。

購入チャネルをみると、モバイルデバイスを利用した購入は世界で17%と、過去6年で倍増。PCを利用した購入(20%)を超える勢いとなっている。

購入チャネル(週1回以上の利用)

ただし、実店舗が主要チャネルであることに変わりはなく、その利用も伸びている。実店舗で週1回以上購入する消費者の割合は、2015年調査を底に増加傾向にあり、2018年は44%に回復している。なお、日本の実店舗利用の割合はさらに高く、64%であるとのこと。

このような実店舗の利用状況から、PwCでは「すべての小売業者にとって新たな挑戦により成功を手に入れる余地は残されている」とし、「感性に訴える社会的体験で消費者を引き付け、実店舗での買物に繋げる」ことがカギであると指摘している。

消費者データの活用:パーソナライズされた提案は41%が容認。位置情報の利用には賛否

小売業者による消費者データの活用に関する調査結果では、世界の回答者の41%は、小売業者が自分の購入パターンを把握して、自分に合った提案をしてくれることを容認している。一方で、小売店の近くにいることを検知してモバイルにパーソナライズされたオファーが送られてくることを望まない消費者は37%に達し、望むとの回答(34%)を超える結果となっている。

小売業者による消費者データを用いたオファーへの同意

「何を買うか」の決定、世界ではSNS、日本は価格比較サイトを重視

「買物をする小売店を選ぶ際に、価格のほかに考慮する要素」の第1位から3位までを聞いたところ、世界では「品揃え」(37%)に次いで「ブランドへの信頼感」(35%)が重視されるという結果となった。中でも、ブランドへの信頼を「第1位」に選んだ人の割合は14%となり、他の要素を抜いて最多となっている。この比率は、中国で21%、米国で16%。

一方「何を買うかを決める」上では、他人の意見を判断材料として重視している。買物に関する情報を得るための利用メディアは、第1位が「SNS」(37%)、次に「小売業者のウェブサイト」(34%)と「価格比較サイト」(32%)が続く。なお、日本の第1位は「価格比較サイト」(47%)で、「SNS」は第3位の24%となったが、若い年齢層では両者の割合は僅差となっている。

配送サービス:確実性・迅速さと返品対応がカギ

今回の調査では、Amazonなど大手オンライン小売業者が配送サービスに関する消費者の期待を引き上げていることが明らかとなった。大手オンライン小売業者の各種特典つきサービスにおいて、利用者の3分の1が最も重要な特典の第1位に「無制限の無料配送」を挙げており、その割合は72%に達している。同じ質問に対する日本の回答結果は85%で、より重視される傾向にある。

追加費用なしのオプション評価では、「返品時の配送無料」が世界(65%)、日本(60%)ともにそれぞれ最も大きな魅力となっている。次に日本で多かったのは「指定時間配達」の56%で、「同日配達」より上位にランクインしている。

配送サービスに関する期待値を満たしつつ収益性を維持することは容易ではないが、PwCは新しいアイデアを試してみることの重要性を強調。特にラストワンマイルの配送に関して「ドローンや配送ロボット、スマートロッカー、クラウドソーシングによる配送など、複数の手段の組み合わせが有効になってくるものと見込まれる」としている。

AIデバイス、世界での所有率は1割。日本は4%程度と低調

世界の回答者のうち、Amazon Echo、Google Homeをはじめとする自動パーソナルアシスタント(「スマートスピーカー」とも)やロボットなどのAIデバイスを所有している人の割合は10%という結果であった。今後購入予定があるとした回答は32%に上り、関心が高まっていることがうかがえる。

AIデバイスの所有、購入予定

国別の所有率では、最も早くに販売を開始した米国は16%、日本と同時期(2017年以降)に販売開始の中国が21%で最上位、次いでベトナム(19%)、インドネシア(18%)とアジア勢が続いている。これに対し日本の所有率は4%程度にとどまっており、「今後購入予定もなく、関心がない」との回答も約70%と、他国より関心が低い結果となった。

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