情報セキュリティ10大脅威2025が発表、「地政学的リスク」に起因するサイバー攻撃が新登場【IPA調べ】
主要な脅威はほぼ今まで同じだが、手法がさらに巧妙に。
8:30 調査/リサーチ/統計 | 調査データ
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は、「情報セキュリティ10大脅威2025」を公開した。2024年に発生した情報セキュリティの事故・事件に対して、約200名の「10大脅威選考会」メンバー(情報セキュリティ分野の研究者、企業の実務担当者など)が投票を行い、「個人」「組織」の立場でそれぞれ上位10件を選出している。なお個人向け脅威については、下位の脅威への注意が疎かになることを避けるため、五十音順での紹介となっている。
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「情報セキュリティ10大脅威2025」は以下のとおり。
- 情報セキュリティ10大脅威2025(個人)
「個人」向け脅威(五十音順) | 初選出年 | 10大脅威での取り扱い(2016年以降) |
---|---|---|
インターネット上のサービスからの個人情報の窃取 | 2016年 | 6年連続9回目 |
インターネット上のサービスへの不正ログイン | 2016年 | 10年連続10回目 |
クレジットカード情報の不正利用 | 2016年 | 10年連続10回目 |
スマホ決済の不正利用 | 2020年 | 6年連続6回目 |
偽警告によるインターネット詐欺 | 2020年 | 6年連続6回目 |
ネット上の誹謗・中傷・デマ | 2016年 | 10年連続10回目 |
フィッシングによる個人情報等の詐取 | 2019年 | 7年連続7回目 |
不正アプリによるスマートフォン利用者への被害 | 2016年 | 10年連続10回目 |
メールやSMS等を使った脅迫・詐欺の手口による金銭要求 | 2019年 | 7年連続7回目 |
ワンクリック請求等の不当請求による金銭被害 | 2016年 | 3年連続5回目 |
- 情報セキュリティ10大脅威2025(組織)
順位 | 「組織」向け脅威 | 初選出年 | 10大脅威での取り扱い(2016年以降) | 前年順位 |
---|---|---|---|---|
1 | ランサム攻撃による被害 | 2016年 | 10年連続10回目 | 1 |
2 | サプライチェーンや委託先を狙った攻撃 | 2019年 | 7年連続7回目 | 2 |
3 | システムの脆弱性を突いた攻撃 | 2016年 | 5年連続8回目 | 5、7 |
4 | 内部不正による情報漏えい等 | 2016年 | 10年連続10回目 | 3 |
5 | 機密情報等を狙った標的型攻撃 | 2016年 | 10年連続10回目 | 4 |
6 | リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃 | 2021年 | 5年連続5回目 | 9 |
7 | 地政学的リスクに起因するサイバー攻撃 | 2025年 | 初選出 | 圏外 |
8 | 分散型サービス妨害攻撃(DDoS攻撃) | 2016年 | 5年ぶり6回目 | 圏外 |
9 | ビジネスメール詐欺 | 2018年 | 8年連続8回目 | 8 |
10 | 不注意による情報漏えい等 | 2016年 | 7年連続8回目 | 6 |
個人・組織ともトップ10の項目はほぼ変わっていない。唯一「組織」向け脅威の7位に「地政学的リスクに起因するサイバー攻撃」が新たにランクインした。国家の関与が疑われるとされるサイバー攻撃で、金品目的で営利企業を狙うのでなく、政府機関・学術機関、研究者、報道関係者などからの情報窃取を狙うのが特徴だ。近年日本では「MirrorFace」(別名Earth Kasha)と呼ばれるサイバー攻撃グループによる活動が確認され、内閣サイバーセキュリティセンターが注意喚起している。なおここ数年圏外だった「分散型サービス妨害攻撃(DDoS攻撃)」が改めて8位にランクインしている。
調査概要
- 【調査対象】2024年に発生した情報セキュリティの事故・事件
- 【選定方法】「10大脅威選考会」メンバー約200名が投票
- 【調査時期】2024年1月1日~12月31日
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