リスティング広告とSEOを併用する理由は陣地論にあり!?

自然検索時のユーザーを掘り下げ、リスティング広告とSEOの併用について広告主が意識すべき視点について書いています。
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あるキーワードで自然検索結果が1位の場合、同じキーワードをリスティング広告で出稿すべきか?前から言われていたこの議題、SEM関係者の方は聞いたことがあると思います。

2012年グーグルはオーガニック検索で1位でも、検索連動型広告の出稿で50%クリック数を高められると発表しました。

http://www.seojapan.com/blog/seo-and-search-ads (SEOが絶好調でもリスティング広告を買うべき理由(記事後半))

ただ言葉だけ聞いてもピンときませんよね??SEOで1位なんだから、リスティングに出稿してもクリック数は変わらないんじゃない?と思っている人もいるはずです。
私も聞いた当時はそうでした。自然検索からのクリック数が増加する理由は、結論から言うと、検索連動型広告に出稿する事で、同じく出稿している競合に、ユーザーが流入してしまうのを防ぐ事が出来る為です。
広告主がリスティングとSEO、それぞれ別に考えていると、捉えきれない話ですよね。
そのメカニズムを理解するには、SEOとリスティング広告を同じ視点で考える必要があります。

ユーザーにとってはリスティング広告もSEOも同じ

自分が検索する時、自然検索をクリックするか、リスティング広告をクリックするか初めから決めていますか?検索者がたまたま目についたのが自然検索、または広告なのであって、検索時にどちらをクリックしようと決めている人はあまりいないと思います(最近は広告スペースと認識されてきていますが)。
運営者目線からすると、SEOとリスティングは施策内容が全く違うから、自然と「別物」と考えがちです。ですがユーザーからすれば2つは同じ「検索結果」なのです。
上記のグーグルの調査結果はそれを顕著に表してるのではないでしょうか。

リスティング広告の本質は陣取り合戦!?

もう一つこの調査結果に考えさせられることがありました。それはリスティングもしくはSEMの本質といいますか、ユーザーにクリックされる事だけ考えるなら、やっぱり「陣地の影響」が大きいのではという事です。自然検索と同じ内容(と仮定します)の広告文を併用する事で、クリック数が50%増加するというのは、クリックに影響を与える要素は、単純に「自然検索結果画面における自社の専有面積」だと考えざるを得ません。

以下、理由を自然検索時のユーザーの頭の中を掘り下げながら示していきます。

まず検索キーワードがブランドワードの場合、ブランドワードで検索したという事は、その段階でユーザーの目当てのサイトが決まっているという事ですよね。
にもかかわらずブランドの対象となる自社がリスティングで出稿、なおかつ上位表示でない場合、自然検索が1位だとしても、その流入数が50%減少する、
つまり他社に流入してしまう。これはとても考えづらい事です。なぜなら人は、頭の中にない事は目に入らないからです。(心理学でいうカクテルパーティ効果)
カクテルパーティ効果とUXの記事を見る
だけどデータが事実を証明している。ブランドワードで検索したユーザーに、SEO1位である自社がクリックされない。考えられる状況は、競合他社が自社よりも良い位置に掲載されている、くらいでしょうか。つまり競合他社が広告により、SEO1位の自社の上に表示されていた為、ユーザーは先に目に入った他社の広告をクリックしたという事です(図1)。

イメージ、自然検索時ユーザーの目線を辿るを見る

自社に訪問しようとしたユーザーが、自社を「素通り」するのは想像しがたいです。なので競合がクリックされた原因は、競合が自社より上に表示されていた、
つまり位置的要素だと推測します。

ただこれは競合が自社のブランドワードでリスティングに出稿していた場合の話になります。
そうでない場合、SEO1位であればリスティングの出稿は見送っても良いのでは、と考えます。

またリスティングとSEOの併用について、ヤフーの記事、
http://yahoojp-marketing.tumblr.com/post/130031947858/20150928 (なぜスポンサードサーチとSEOは両方必要なのか)の中で興味深いデータがありました。
SEOとスポンサードサーチの併用をやめてしまった場合、オーガニック検索からの獲得ユーザー数はやめる前と比べてPCは36%減、スマートフォンは77%減となったそうです。
やっぱり上位表示、専有面積の影響は大きいのかなと思います。ユーザーの目線を考えると、自社の面積が減少したことで、競合が目につきやすくなる、その結果競合に流入するのかなと考えています。
とくにスマホの自然検索時の検索結果画面のUIを考えると、陣地の効果が顕著になってきますよね。

これって結構認めたくないんですけどね。併用するメリットはそんな単純な理由かい?って。陣地より広告文の質の効果をより信じたいです。

まあこのケースに限らず、検索結果画面を見ていて、この広告文がクリックされているとしたら、その内容よりも、単純に「いい位置にあるから」じゃない?と思う事があります。コンバージョンしているかは別ですけど。
それがきっかけで今回の陣地論?を思いつきました。

ブランドワードで検索するユーザーについて

本当にこれだけで数十%も高くなるのか?って感じですよね。ただブランドワードで検索したユーザーといえども、競合に流入する可能性はあると考えます。
理由は同じブランドワードで検索したユーザーの中でも、そのブランドに対するモチベーション(マーケティングでいう関与)に差があるからです。
イメージ、ブランドワード検索時のユーザーのモチベーションを見る
例えば、必ずそのブランドのサイトを訪問する、と決めてるユーザーもいれば、とりあえずそのブランドを検索してみよう、というだけのユーザーもいるはずです。
後者のユーザーは競合の広告文を、数は多くないとはいえクリックしてしまう可能性が考えられます。

さらに人間の認知機能の観点でいうと、そのブランドの商品、業界に興味があるユーザーは、類似した情報が目に入りやすい傾向があります。
 http://www.dhbr.net/articles/-/3364?page=2 (記憶バイアス)
これらを踏まえると併用の価値は高まりますね。前段落では、あくまでデータの枠内で推測していました。しかしリアルのユーザー行動を想定してみる事で、同じKWでもユーザーによってモチベーションが異なるのではと思い当たりました。事実はデータよりも奇なりですね。

ブランドワード以外のキーワードの場合は、クリックされる要素は位置や陣地だけではないですよね。なぜなら検索時、ユーザーは目当てのサイトは決まっていないですからです。SEOが1位だとしても、競合に流入してしまう可能性は、ブランドワード検索時より高いです。広告文の質がより重要になりますよね。

ユーザーが他にクリックする可能性があるのは、ナレッジグラフ中のECサイトのリンクなどが挙げられるでしょうか。陣地と言えば陣地ですね・・・でもこれならSEOに加え広告を出稿するメリットを見出せそうです。50%はある程度納得できます。
ブランドワードの場合は、競合への流入を防ぐ目的が主でしたが、この場合は本来のPULL型、つまり自社を認知してもらう為という事になります。

専有面積を高めるリスティング広告施策

もう一つ専有面積の観点でいうと、サイトリンク・コールアウト・スニペットなどの広告表示オプションも有効なのではないでしょうか。本来のメリットは提供する情報量を増やす事ですが、結果的に占有面積を高める事にもなります。サイトリンクとコールアウトを8本以上掲載すれば、表示面積が上がるので、CTRの上昇が見込めます。

併用するかどうかについては、実際の効果がデータで実証されているので、するべきだとは思うのですが、自分で検証してみると独自の発見があるかもしれません。
一番目のリンク記事によると、キーワードの種類によってデータが大きく異なるそうです。ブランドワードかそうでないか以外の基準がありそうですね。
さらに自然検索結果の順位によって、広告の効果は変わるようです。自然検索結果が2-4位ならクリック数は86%増、5位にいたっては96%との事です。
ほんとにケースバイケースですね。なので結局は自社の状況をきちんと見極めて、それに見合った施策を考える事に行き当たります。

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