データ分析は、マーケッター視点で:第5回 顧客分析のポイント③
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(3)商品ファンから企業ファンへ
これまでの日本企業のコミュニケーション予算は、「企業コミュ二ケーション」より「商品コミュニケーション」に圧倒的に予算が配分されています。しかし、モノや情報があふれ、消費者インサイトは、以前の「個人の為の消費欲求」より「他人との繋がり」や「社会貢献」に軸が移ってきています。
となると、消費者の選択基準は、「どんな商品か?」だけでなく「どんな企業の商品か?」という事も重要になってきます。
ある企業の顧客ロイヤリティ調査によると、最初は「製品に対するロイヤリティ」と「行動(製品の購入)」ロイヤリティ」の2軸で、分析・評価をしていたところ、ロイヤリティの高いはずの顧客に、何故か突然ブランドスイッチされてしまったそうです。
これは、競合がより安い商品を出した等が理由だったの様ですが、ロイヤリティが高いと思っていた顧客は、実は「単に安いから買っていただけ」という仮説が生まれました。
そこで、調査に「社会(その企業自体の)ロイヤリティ」という軸を加えたところ、その軸で高いロイヤリティを示す顧客は、競合がより安い商品を出しても、あまりブランドスィッチがされない」という傾向が出たため、以降のコミュニケーションは「社会(その企業自体の)ロイヤリティ」を重要視したところ、CRM施策として非常に高い成果をあげたとの事です。
社会における企業の存在意義や、情報化社会における企業情報や広告の受け止められ方は、年々シビアになっています。
日頃から、企業ファンを基盤とし、その上で商品ファンを創っていく、という構造は、今後、より重要になっていくと思われます。
次回(第6回)は、「コミュニケーション設計」について触れてみようと思います。
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連載記事一覧
データ分析は、マーケッター視点で
第1回 デジタル&データの潮流① - ビジネス変革:デジタル・イノベーターの台頭
第2回 デジタル&データの潮流②
- データの多様化:接点の実績が全てデータ化されていく
第5回 顧客分析のポイント③ - 商品ファンから企業ファンへ
第6回 コミュニケーション設計① - コミュニケーションの全体設計
第7回 コミュニケーション設計② - コミュニケーション分析
第8回 コミュニケーション設計③ - マーケッターとサイエンティストの連携
第9回 施策効果① - MMM(マーケティング・ミックス・モデル)
【筆者紹介】
山崎 浩人
広告会社でマス広告、コールセンターでCRMを手がけ、携帯事業者でキャリアレップCEO、電通・CCI出資のクロスメディア事業CEOを勤めた。
その後、外資広告社で企業のブランド戦略やグローバル戦略を支援。現在も戦略系コンサルを担う。
・2012年 日本広告主協会Web広告研究会「Web人 of the year」受賞
・講演例:「反グローバリズム時代の企業成長とブランド理念」
https://www.is-assoc.co.jp/seminar20160120/
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