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『ユビキタスでつくる情報社会基盤』

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『ユビキタスでつくる情報社会基盤』

森山 和道(サイエンスライター)

ユビキタス情報社会基盤は、技術だけでは構築できない
それを実現するための、多分野にわたる社会的枠組みが必要だ

ユビキタスでつくる情報社会基盤
  • 『ユビキタスでつくる情報社会基盤』
  • 坂村 健 編
  • ISBN:4-13-060800-2
  • 定価:本体2,800円+税
  • 東京大学出版会

ユビキタス情報社会基盤とは「あらゆる場面で状況に応じて最適なデジタル化された情報が負担なく活用できる社会のための情報基盤をつくろうということ」だという。社会基盤は技術だけでは構築できない。知的所有権、セキュリティ、プライバシー、それを支える法律や社会意識の醸成など、多分野にわたる社会的枠組みが必要だ。本書はユビキタスコンピューティングを実現するためのさまざまな角度からの取り組みを実践者たちが執筆したもの。場所情報システム、食品トレーサビリティ、イネーブルウェア、医療情報管理システムなどの取り組みが取り上げられている。セキュリティとプライバシーについてもまるまる一章が割かれており、ユビキタスコンピューティングの哲学や思想、ネットワークによる「知」の変化に与える論考、そして展望に関する座談会も収録されている。

ユビキタスコンピューティングはインフラに関わるイノベーションなので話題は幅広い。各分野の知識はある人も、他の分野までは目配りできていないこともあるだろう。本書でおおざっぱな知識を仕入れることも悪くないはずだ。

坂村氏は仲間内の「すりあわせ」に頼る日本の特質はインフラ・イノベーションには不向きだが、今こそ日本がインフラ技術において世界に貢献するべきであり、リスクを取れと檄を飛ばしている。

責任を持つ主体を考えにくい日本が社会基盤を作れるか。インフラ作りのための社会的仕組みも同時に求められている。

※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.3』掲載の記事です。

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