『アート・オブ・プロジェクトマネジメント マイクロソフトで培われた実践手法』
BOOK REVIEW ウェブ担当者なら読んでおきたいこの1冊
『アート・オブ・プロジェクトマネジメント マイクロソフトで培われた実践手法』
斉藤 彰男(編集者、システム・エンジニア)
実際の開発の中で生まれたプロジェクトマネジメントの手法
何をなすべきか、何をなさざるべきか
- 『アート・オブ・プロジェクトマネジメント マイクロソフトで培われた実践手法』
- スコット・バークン 著
- 村上 雅章 訳
- ISBN:4-87311-299-0
- 定価:本体3,200円+税
- オライリー・ジャパン
本書は、ビジネススクールやソフトウェア工学の講座で学ぶ「プロジェクトマネジメント」のテクノロジーを解説した書籍ではない。
著者がかつてマイクロソフト社でInternet ExplorerやWindowsのプロジェクトマネージャーとして働いてきた中で得た経験や教訓をベースに、プロジェクトのさまざまな局面において、何をしなければいけないか、何をしてはいけないかを、きわめて具体的に解説した書である。
たとえば、第2章「スケジュールの真実」では、スケジュールを作成する目的、1/3法則や開発方法論などスケジュールに関するいくつかの技術を紹介したあと、「なぜスケジュールどおりに進まないのか」について解説している。プロジェクト初期の段階では、精度の高いスケジュールを作成するのはきわめて困難。したがってプロジェクトの進捗にしたがってスケジュールの調整を行わなければいけないと著者は指摘する。また、優れた見積もりは優れた設計から生み出される、そのためには優れた情報と優れたエンジニアが欠かせないと指摘して、それを実現する手法とアドバイスを紹介する。著者の経験から得られた「良くある見過ごし」にも言及しているあたりが、本書ならではの内容。章の終わりに必ず登場するサマリーも、また然りだ。
本書は、一気に通読してしまっても良いが、いつも手に届く所に置いておき、折に触れて興味ある箇所を紐解くのも良いのではないだろうか。
※この記事は、『Web担当者 現場のノウハウ vol.3』掲載の記事です。
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