GA4最前線コラム

GA4の分析が劇的に変わる! 今日から使える「生成AI活用術」の4ステップ

生成AIを「GA4分析の頼れる相棒」にするための4つのステップを、具体的な活用法とともにご紹介。

【この連載について】この連載では、「1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本」を執筆されているウェブ解析士のみなさん(GA4アベンジャーズ)を中心に、初心者が引っかかりがちな疑問・トラブル解決の基礎知識から、知っておきたい役立ちノウハウ、解析の設定事例、個々の機能解説、最新のホットな話題までをお届けします。

今回は、エスファクトリー代表取締役である井水大輔さんによる解説です。

【今回のポイント】

生成AIを使ってGA4の分析を効率化・高度化する4つのステップ

  • Step 1:わからないことをAIに聞く「専属講師」
  • Step 2:スクリーンショットをAIに読ませる「ビジュアル分析」
  • Step 3:AIスライドで「レポーティング自動化」
  • Step 4:GA4とAIを直接つなぎ「会話をするように分析」
井水

「AI活用なんて、専門知識が必要で難しそう」と感じるかもしれませんが、ご安心ください。今回紹介する内容は、初心者でも特別なスキルがなくても、GA4の分析を効率化しさらに深めることが可能です。
この記事では、簡単な質問から本格的なレポート作成まで、生成AIを「GA4分析の頼れる相棒」にするための4つのステップを、具体的な活用法とともにご紹介します。

生成AIとGA4を組み合わせて使おう!

「GA4は高機能だけど、正直どこから見ればいいか分からない…」
「毎月のレポート作成に、何時間もかかってしまっている」
「膨大なデータのなかから、改善に繋がるヒントを見つけ出したいのに…」

多くのWeb担当者が、このような悩みを抱えているのではないでしょうか。
Googleアナリティクス4(GA4)は、強力なツールである一方、その多機能さゆえに使いこなすのが難しいと感じることも少なくありません。

しかし、その課題はいま話題の「生成AI」が解決してくれるかもしれません。

Step1:まずは「専属のGA4講師」としてAIに聞いてみよう【初級編】

GA4を使っていて、ふと「この指標ってどういう意味だっけ?」「この操作、どうやるんだっけ?」と手が止まってしまうことはありませんか。
そんな時、まずは生成AIを「パーソナルなGA4の先生」として使ってみましょう。
ヘルプページを検索するよりも早く、対話形式で疑問を解消できます。

具体的な活用シーン

【用語の質問】ChatGPTやGeminiなどのAIチャットツールを開き、次のように質問してみてください。

【プロンプト例】「GA4のレポートでよく見る「Direct」とは、どういう意味ですか?初心者にも分かりやすく教えてください」

ChatGPTの出力画面

【操作方法の質問】レポートの作成手順や設定方法が分からないときも、AIがナビゲートしてくれます。

【プロンプト例】「GA4で、東京からのアクセスだけに絞ってデータを見るためのセグメントの作成手順を、ステップバイステップで教えてください」

ChatGPTの出力画面

このように、わからないことをその都度AIに聞く習慣をつけるだけで、GA4への苦手意識が薄れ、よりスムーズに使いこなせるようになります。

レベル2: レポートの「スクリーンショット」をAIに丸投げ分析【中級編】

次に、GA4のレポート画面をそのままAIに読み込ませて、分析を手伝ってもらう方法です。数字の羅列から傾向や変化点をAIが言語化してくれるため、分析の時短と新たな視点の発見に繋がります。

具体的な活用シーン

GA4のレポート画面を開き、スクリーンショットを撮ります。そして、画像がアップロードできるAIツールにその画像を渡し、質問を投げかけてみましょう。

【プロンプト例】「このGA4のレポート画像の要点を、3つにまとめて箇条書きで教えてください」

Geminiの出力結果画面

【プロンプト例(深掘り)】「先月のデータと比較して、特に成長しているチャンネルはどれですか?また、その背景にはどのような要因が考えられますか?」

Geminiの出力結果画面 

このようにAIは、人間が見落としがちな細かな変化にも気付いてくれることがあります。

キーイベント(コンバージョン)レートのグラフを見せて「このデータから考えられる仮説は?」と問いかければ、優秀な壁打ち相手にもなってくれるでしょう。

レベル3:GA4データをAIに渡して「レポーティング」を自動化【中級編】

日々の業務でもっとも時間がかかる作業の1つが、レポート作成ではないでしょうか。
このステップでは、GA4からダウンロードした生データをAIに渡し、集計・グラフ化・考察までを自動化する方法をご紹介します。

具体的な活用シーン

ここでご紹介したいのが、Gensparkが提供する「AIスライド」のようなツールです。
これは、GA4などのデータソースと連携し、簡単な指示(プロンプト)を与えるだけで、分析から考察、さらにはスライド資料の体裁までを整えてくれるサービスです。

まず、GA4から必要なデータをCSV形式でエクスポートします。

GA4探索レポートの画面

次に、AIスライドのツール上で、作成したいレポートのテーマや目的を指示します。

GensparkのAIスライド作成画面

【プロンプト例】「先月のサイト全体のパフォーマンスについて、経営層向けの報告スライドを作成してください。特に、主要な流入チャンネルの動向と、コンバージョン数が多かったページのトップ5を含めてください。 最後に課題と経営者が適切に判断できるように具体的なアクションを示してください」

すると、AIが自動的にデータを分析し、以下のようなスライドを生成してくれます。

GensparkのAIスライド出力画面

今回出力された内容は以下の9ページです。

  • 表紙
  • エグゼクティブサマリー
  • 全体パフォーマンス概要
  • 主要流入チャンネル分析
  • 主要流入チャンネル詳細分析
  • コンバージョントップ5ページ
  • デバイス別分析
  • 課題の整理
  • 経営判断のための具体的アクションプラン

参考:実際のスライドを見てみる
https://www.genspark.ai/slides?project_id=224acd30-09c3-4638-9970-a5bf51e3ff36

これまでExcelでグラフを作り、PowerPointに貼り付けてコメントを書いて…と何時間もかかっていた作業が、数分で完了します。このインパクトは絶大で、担当者は「作業」から解放され、より本質的な「分析と戦略立案」に時間を使えるようになります。

レベル4:GA4とAIを直接つなぎ、会話するように分析する【応用編】

GA4に慣れてくると、「あのデータとこのデータを組み合わせてみたい」「もっとピンポイントな質問をしたい」と思うことが増えてきます。

そんなときに便利なのが、GA4とAIを直接つないでくれる専門ツールです。

具体的な活用シーン

たとえば「MCP Server」のようなツールは、GA4とAIの間に立つ「優秀な通訳」のような役割をはたしてくれます。このツールを使うと、GA4のデータ活用がこんなに便利になります。

メリット(1):面倒なデータ準備が不要になり、これまでのようにGA4からいちいちCSVファイルをダウンロードしてAIにアップロードする手間がなくなります。ツールが常にGA4の最新データをAIに連携してくれるので、分析したいことに集中できます。

メリット(2):GA4とAIが直接つながることで、まるでデータ専門家と会話するように、自然な言葉で質問を投げかけるだけで分析ができます。GA4の画面では難しい、複数の条件を組み合わせた質問も簡単です。

今回お見せするのはMCP Serverを利用してClaudeと連携した際の画面です。利用する際は、Google Cloudでプロジェクト作成、認証設定、Caludeとの連携が必要ですが、一度設定してしまえば以下のようなことが可能になります。

Claudeを用いた利用シーン

【プロンプト例1】「先月、ブログ記事を読んでから商品を購入したユーザーは、どの広告キャンペーンから来た人が一番多いですか?」

【プロンプト例2】「スマートフォンからのアクセスとPCからのアクセスで、人気のあるページのトップ5をそれぞれ教えてください。」

このように専門ツールを使うと、面倒な準備なしに、知りたいことをすぐにAIに質問できるようになります。データ分析がもっとスピーディーになり、より深いサイト改善のヒントが見つかるはずです。

※注意点:2025年8月の時点では、Claude Sonnet 4(無料版)を使うと出力された数値が不正確な場合が多く、Opus4.1(有料版)を使う必要があります。

生成AI活用を成功させるための3つのポイント

AIは非常に強力なツールですが、使いこなすには少しコツが必要です。以下の3点を意識してみてください。

1.指示は具体的に

「このデータを分析して」という曖昧な指示ではなく、「〇〇と△△を比較して、□□の観点から考察して」のように、目的と条件をできるだけ具体的に伝えましょう。アウトプットの精度が格段に上がります。

2.鵜呑みにしない

AIは時々、もっともらしい嘘(ハルシネーション)をつくことがあります。AIの回答はあくまで「仮説」と捉え、必ずGA4の元データと照らし合わせる「ファクトチェック」を習慣にしましょう。

3.機密情報は慎重に

多くのAIサービスでは、入力したデータが学習に使われる可能性があります。個人情報や社外秘のデータなど、セキュリティ上問題のある情報は安易にアップロードしないよう、社内のルールを確認しましょう。

まとめ

本記事では、生成AIを使ってGA4の分析を効率化・高度化する4つのステップをご紹介しました。

  • Step 1:わからないことをAIに聞く「専属講師」
  • Step 2:スクリーンショットをAIに読ませる「ビジュアル分析」
  • Step 3:AIスライドで「レポーティング自動化」
  • Step 4:GA4とAIを直接つなぎ「会話をするように分析」

生成AIは、GA4の「講師」から「分析アシスタント」「レポート作成の自動化ツール」まで、あなたのスキルレベルや目的に応じてさまざまな形で手助けをしてくれます。
まずはStep 1の簡単な質問からで構いません。

ぜひ今日から、あなたの「頼れる相棒」として、AIに話しかける習慣を始めてみませんか?きっと、日々のGA4分析がもっと楽しく、もっと価値あるものに変わっていくはずです。

井水でした。

ウェブ解析士協会のGA4講座のお知らせ

一般社団法人ウェブ解析士協会ではウェブ解析の初心者でもわかりやすい「Googleアナリティクス4講座」を開講しています。約3時間の講座でハンズオンでGA4を学ぶことができます。Googleアナリティクス4の導入からレポーティングまでを網羅した講座となります。GA4をいちから学んでみたい、体系的に学んでみたいという方はぜひお申し込みください。

用語集
Googleアナリティクス / アップロード / キャンペーン / コンバージョン / スマートフォン / ダウンロード / 個人情報 / 認証
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