GA4で広告効果を最大化! GA4とGoogle広告を連携し分析するノウハウを徹底解説!
【この連載について】
この連載では、「1週間でGoogleアナリティクス4の基礎が学べる本」を執筆されているウェブ解析士のみなさん(GA4アベンジャーズ)を中心に、初心者が引っかかりがちな疑問・トラブル解決の基礎知識から、知っておきたい役立ちノウハウ、解析の設定事例、個々の機能解説、最新のホットな話題までをお届けします。
今回は、サンカクカンパニー取締役、ウェブ解析士マスター、国家資格キャリアコンサルタントとして活躍する伊村ミチルさんによる解説です。
【今回のポイント】
- GA4とGoogle広告を連携させるメリットは、以下の3つ。
(1)GA4でGoogle広告の成果を詳細に分析
(2)Google広告でGA4のコンバージョンデータを利用
(3)リマーケティング広告の強化
連携にはGoogle アナリティクス プロパティの「編集」権限と、Google 広告アカウントの管理者権限が必要。- 自動タグ設定をしておくと、さまざまなディメンションが自動で取得され、GA4上で確認できる。
- Yahoo!広告・Meta広告など、GA4と連携できなくても設定でなんとかなる。
- アトリビューションパスとキーイベントをあわせて確認することで、貢献度が測れる。
- ファネルデータ探索ではサイト改善の効果が測れる。
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「GA4はだいぶ使いこなしてきたけれど、広告の効果分析は広告担当者だから、GA4ではデフォルトチャネルグループで確認するくらい…」という方も多いと思います。広告の効果分析とGA4のアクセス解析を別々に行っているケースをよく見かけますが、それぞれのデータを連携させることで、より深い分析が可能となり、広告効果を強化できるかもしれません。今回は、GA4を活用した広告効果分析の手法について、事例を用いて解説していきます。
GA4とGoogle広告の連携
GA4とGoogle広告は、どちらもGoogleが提供するサービスであるため、シームレスな連携が可能です。GA4とGoogle広告を連携させるメリットとしては、以下の3つがあります。
(2)Google広告でGA4のコンバージョンデータを利用
(3)リマーケティング広告の強化
(1)GA4でGoogle広告の成果を詳細に分析
クリック数、コンバージョン数、コンバージョン率などの基本的な指標に加え、ユーザーのサイト内行動やアトリビューション分析など、より詳細な分析が可能になります。
(2)Google広告でGA4のコンバージョンデータを利用
GA4で設定したキーイベント(コンバージョン)を、Google広告のコンバージョンとして利用できます。これにより、より精度の高いコンバージョン計測と、効果的な自動入札戦略の実行が可能になります。
(3)リマーケティング広告の強化
GA4で収集したユーザーデータに基づいて、より精度の高いリマーケティングターゲットを作成できます。
GA4とGoogle広告が連携されているか確認する方法
GA4の左メニューから「広告」を選択します。連携されている場合は、広告スナップショット画面が表示されますので、分析に進みましょう。
GA4とGoogle広告の連携手順
連携がまだなされていない場合は、広告との連携を促す画面が出ます。
「利用を開始する」ボタンをクリックし、「Google広告でリンクを作成する」画面から連携するGoogleアカウントを選択してリンクを設定します。
連携のためには、Googleアナリティクス プロパティの「編集」権限と、Google広告アカウントの「管理者」権限が必要です。ログインしているGoogleアカウントに、双方の権限がないと連携ができませんのでご注意ください。設定が完了すると、48時間以内にGoogle広告のデータがGA4のレポートに表示されるようになります。
参考:アナリティクスヘルプ「Google広告をGoogleアナリティクスに接続する」
Google広告の自動タグ設定
Google広告には「自動タグ設定」というURLにパラメータを自動的に付加する機能があります。自動タグ設定がしてあれば、ユーザーが広告をクリックするとその広告のURLに「GCLID」(Google Click Identifierの略)と呼ばれるパラメータが追加されます。たとえば、“www.example.com”の広告をユーザーがクリックすると、最終ページURLは“www.example.com/?gclid=123xyz”のようになります。GCLIDはファーストパーティCookieとして保存されるので、ITP対策にもなります。
自動タグ設定を「オン」にするには、Google広告の管理画面から[管理者]>[アカウント設定]>[自動タグ設定]を選び、チェックマークをオンにします。
自動タグ設定をしておくと、トラフィックソースの基本的なディメンション(デフォルトチャネルグループ、参照元、メディア等)だけではなく、以下のディメンションが自動で取得され、GA4上で確認ができます。
- Google広告のアカウント名
- Google広告の広告キャンペーンID
- Google広告のキャンペーン
- Google広告の広告グループID
- Google広告の広告グループ名
- Google広告の広告ネットワーク タイプ
- Google広告のお客様ID
- Google広告のキーワード テキスト
- Google広告クエリ
GA4のメニュー[広告]>[計画中]>[Google広告]を選択すると、Google広告のキャンペーンごとのキーイベント数、広告費用、キーイベントあたりの費用、広告のクリック数などがわかります。
「Google広告のキャンペーン」をクリックするとディメンションを選択でき、GA4上でどの広告グループやクエリからの流入がキーイベントに貢献したのかを把握できます。
Yahoo!広告・Meta広告など、GA4と連携できない場合の分析方法
Google広告以外の広告プラットフォーム、たとえばYahoo!広告やFacebook広告などは、GA4との直接的な連携ができないので、URLパラメータを設定します。各広告媒体でパラメータの設定方法には指定がありますので、詳細は各媒体のヘルプを確認するようにしてください。パラメータ設定時に「utm_campaign」に各広告のキャンペーン名を設定しておけば、GA4のディメンション「キャンペーン」で確認できます。
GA4のメニュー[広告]>[計画中]>[すべてのチャネル]を選択し、セカンダリディメンションに「参照元/メディア」を設定すると、Google広告だけでなく、META広告、Yahoo広告や自然検索、リファラル等、どの流入元のキーイベントが多かったかがわかります。ただしGoogle広告以外の広告はGA4と連携できないので広告費用、広告の表示回数等の数字はGA4上で見ることはできないのでご注意ください。
アトリビューションパス
アトリビューションとは、キーイベント(コンバージョン)に至るまでのユーザーの行動を解析し、広告やメルマガ等の施策の各接点(タッチポイント)へ、貢献度を割り当てる分析手法です。
みなさんもご自身の行動を振り返るとわかりやすいかと思いますが、広告を見てそのままキーイベント(コンバージョン)に至るよりも、さまざまな広告に触れながら自分でも検索をしながら、最終的にキーイベント(コンバージョン)に至った、ということの方が多いのではないでしょうか。たとえば、インスタグラムの広告を見て、数日後に別のデザインのインスタグラム広告を見てウェブサイトに訪れ、数日後に検索をしてサイトに再訪し商品を購入した、というような流れです。
GA4ではアトリビューションで貢献度を割り当てるルールを「アトリビューションモデル」と呼びます。アトリビューションの設定はGA4のメニューで[管理]>[データの表示]>[アトリビューション設定]を選択して行います。下記の設定がオススメなので、まずはこの設定を行ってみましょう。
- アトリビューションモデル:データドリブン
- 貢献度が割り当てられるチャネル:有料チャネルとオーガニックチャネル
- キーイベントのルックバックウィンドウ(キーイベントが発生した、何日前までさかのぼってアトリビューションの貢献度を分析するかの期間を設定する) ユーザー獲得キーイベント:30日間(推奨) その他のキーイベント:90日間(推奨)
この設定をしておくと、早期・中期・後期のタッチポイントでどの流入元チャネルが貢献したかがわかります。チャネルだけではなく、キャンペーンを選択することもできるので、「キーイベント(コンバージョン)に直接影響は少なかったが、早期タッチポイントでは影響が大きく、認知獲得に貢献したキャンペーン」といったものを見つけることができます。これにより、広告のCVRだけで広告の貢献度をはかるのではなく、CVRが高くなくても認知に貢献したことを評価できるようになり、広告の正しい効果分析ができるようになります。
メインのチャネルグループの貢献度を分析
下記は、早期は検索広告からの流入が多いが、中期では他サイトからのリンク等での流入が多く、後期は検索広告がもっとも多くなっている例です。一度検索をして見つけた後、参考サイトや比較サイト、SNSでの情報収集をして、最後に検索をしてキーイベント(コンバージョン)に至っていることが推測できます。
参照元の貢献度を分析
下記の例では参照元でも同様に早期と後期はGoogleの貢献度が高く、中期はSNSのなかでもmetaの貢献度が強いことがわかります。後期は(direct)の貢献度が高いことから、ブックマーク等の可能性もあるが、スマートフォンユーザーが多そうなことも想起されます。
<タッチポイントの貢献度を分析
アトリビューションパスでは、キーイベント(コンバージョン)に至るまでのタッチポイントを確認できます。
デフォルトチャネルグループの横に出ているパーセントは、GA4のAIによる貢献度を表しています。「Paid Search x 3」というのは、検索広告から3回流入してキーイベント(コンバージョン)に至った、という意味です。この経路でのコンバージョンは、Google広告では3回のCV数と計測されることもあるので(設定により変わることがある)、Google広告のCV数だけでなく、GA4のアトリビューションパスとキーイベント(コンバージョン)をあわせて確認することにより、より正しくユーザーの行動を把握できるでしょう。
この例では「デフォルトチャネルグループ」を選択していますが、「キャンペーン」を選択すると、Google広告だけでなく、その他の広告やメルマガ等に設定したパラメータの「utm_campaign」の値が表示されるので、より細やかに、どのキャンペーンがキーイベント(コンバージョン)に貢献したかがわかります。
ファネルデータ探索
広告のコンバージョンは、サイトの目標を達成したURL(申込完了ページのURL等)を設定することが多いです。GA4のキーイベントでも同様の設定をすることはありますが、GA4ではそれだけでなく、「ファネルデータ探索」を利用して、広告からランディングページに流入した後、適切な経路をたどってコンバージョンに至ったのか、それとも途中で離脱したのかを分析できます。
以下は[LP]⇒[申込ページ(フォーム)]⇒[申込完了]をファネルデータ探索で設定した例です。
同じLPに、月の前半、後半で異なる広告を配信し、キーイベント(コンバージョン)の増減を見るだけではなく、LPから申込フォームへの遷移率(完了率)、申込フォームから申込完了までの遷移率(完了率)が改善しているかもあわせてみることにより、広告の配信内容の改善だけでなく、LPや申込フォームに問題があるので改善を提言することが可能になります。これにより、広告だけではなくサイトの改善が広告効果の最大化に貢献するということを、データで示すことが可能になります。
まとめ
ここ数年でデジタルマーケティングの内製化が進んできています。担当者によりGA4はわかるけれど広告はやったことがない方、広告はやっているけれどGA4は見たことがない方、等がまだまだいらっしゃいます。
月1回、1年くらい伴走支援をさせていただいた企業では、担当者が自ら改善点を見つけることができるようになり、びっくりするくらい広告効果が改善されて、CPAが半分程度になった企業もあります。ぜひ今回のコラムを参考に、GA4とGoogle広告を連携して、今まで見えてこなかった、サイトに流入してからの広告効果分析にチャレンジしてください!
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