ターゲティング思考で読者に届く!「コンテンツ設計書」無料テンプレの使い方、教えます!

こんにちは。大日本印刷の田口佳央莉です。
前回の記事では「SEOを踏まえたコンテンツ設計書テンプレート」を紹介し、社内教育にも活用できる内容として、多くの反響をいただきました。
今回はその続編として、コンテンツ設計書の後半部分について、詳しく解説していきます。
コンテンツ設計に必要な6つのプロセス
前回も触れましたが、記事を制作するうえでは「企画」から「制作」、そして「効果測定」に至るまで、一連の流れをしっかり踏むことが非常に重要です。
私はこの流れを6つの工程に分け、それぞれに対応する専用の資料を用意することをおすすめしています。
- 企画:ネタチェックシート
- 企画:コンテンツ設計書(前半)~SEO検討シート~
- 制作:コンテンツ設計書(後半)~記事構成検討シート~
- 制作:コンテンツ効果予測シート
- 効果測定:リリース1ヵ月後/3ヵ月後効果測定シート
- 効果測定:コンテンツ通信簿
この6種類の資料の中から、今回は「コンテンツ設計書(後半)~記事構成検討シート~」を取り上げ、詳しく解説していきます。
記事の作成前後で重要なこと
まず大前提として、SEOと記事制作において「大きくバズる」ということを意識することはやめましょう。
幅広くたくさんの人に見てもらいたいと思いながら、1つ記事で多方面のテーマを盛り込もうとすると、誰の目的を達成するのか不明瞭な記事になったり、すでに成功している先人コンテンツとの戦いになったりして、結果的に検索結果ランキングで負けるという失敗はよくあります。
大切なのは、誰のどんな「知りたい」に対して応えられているかです。
読者のニーズに応える「ターゲティング思考」
Webコンテンツ制作者にとって、「SEOを踏まえたコンテンツ設計」は日々の必須業務になっています。
しかし、頭では理解していても、実際に記事を構成すると「どのキーワードを中心にするか」「ターゲットは誰か」「どこまで深掘りするか」で迷うことは多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、前回のコンテンツ設計書(前半)で取り上げた架空の「バーチャル解析ルームツアーの紹介記事」というテーマで、コンテンツ設計書(後半)の作り方と活用法を解説します。
SEOだけでなく、読者のニーズに応える「ターゲティング思考」を組み込むことで、検索順位と読者満足度を両立させる記事を作りましょう!
まずはこちらをダウンロードしてください。
それではさっそく作っていきましょう。
コンテンツ設計書を作る理由
多くのビジネスパーソンが記事をつくる場面は、企業の取り組みを発信するケースでしょう。
つまり、記事には「ターゲットの知りたいに応えること」と「自社への興味喚起」の両方が求められます。さらに記事を完成させた後は、社内での説明や合意形成も必要になります。
そのときに役立つのが「コンテンツ設計書」です。
考える順番は次のとおりです。
- ターゲットをどこに設定するか
- 誰の知りたいに応えるか
- 会社(自分)の目標を達成しているか
このプロセスを経て、「記事はどうあるべきか」を設計段階で可視化・記録しておくのが、コンテンツ設計書(後半)の役割です。
ポイントは3つあります。
――記事によって誰のどんな行動を促すのかを計画する。
――H2・H3要素レベルの見出し構成を決定し、AI検索対策も盛り込む。
――関連性の高い内部リンク・外部リンクを設定し、読者の次の行動につなげる。
- 記事の目的とターゲットを明確にする
- 検索意図に基づいた記事構成(骨格)を作成する
- 内部・外部リンクや参考資料へつなげる構成を考える
こうした設計を事前に行っておけば、ライター・編集者・ディレクターの誰が担当しても一定のクオリティを担保でき、教育やナレッジ共有の基盤としても有効です。
①記事の目的とターゲットを決める
SEOではよく「検索意図」という言葉が使われます。これはつまり、「どんな読者(ターゲット)が、どんな課題や期待を持って検索しているのか」を把握することです。
たとえば、コンテンツ設計書(前半)で私がお題にした「バーチャルアクセス解析ルームツアーの紹介」を例にしてみましょう(このツアーは架空の設定です)。
記事として想定しているのは、「データ分析の工程を視覚化し、分析者の思考プロセスを1つの部屋に凝縮したような展示会を紹介する内容」です。
誰が記事を読むのかを考える
まず考えるべきは、「この記事を誰が読むのか」です。前回の設計書(前半)では、ターゲットを以下のように設定しました。
ここからさらに、似た目的を持って記事を読んでくれるであろうターゲットペルソナを3~5件ほど、「ターゲット検討」シートに記入していきます。
ターゲットは想像で構いませんが、月間検索数は実際に調査して確認することが大切です。私の場合は以下のように設定しました。
AIを活用したペルソナ設計
「ペルソナなんて急に考えるのは難しい!」という方も多いでしょう。そんなときは、ChatGPTなどのAIに相談してみてください。
以下のようなプロンプトを入力すれば、すぐに表形式で整理された情報を得られます。便利な時代ですね。ただし、社外秘の情報は入力しないよう注意してください。
KPI設定と方向性の明確化
次に、同じシートを使ってターゲット情報を踏まえ、記事の方向性とKPIを定めます。数値に迷った場合は、一般的な目安を参考にして構いません。
このプロセスを経ると、前半で想定した「ウェブ解析士」というキーワードの月間検索ボリュームは確かに大きいものの、記事の目的に照らすと「実はニッチな記事になってしまう」と気づくことがあります。
こうしたことを記事公開後に気づいても手遅れです。だからこそ、コンテンツ設計(後半)の重要性があるのです。
AIと試行錯誤を重ねる
もし設定したペルソナやKPIの数値に納得がいかない場合は、AIを活用してペルソナごとの目的や検索ボリュームを再検討し、設計段階に立ち返って市場全体を見直すのも有効です。
とにかくここでは、目標達成に貪欲になることが成功の鍵となります。
②検索意図に基づいた記事構成(骨格)を作成
いよいよ記事制作の本題です。ここからは、記事のタイトル・見出し・本文の流れといった「構成(骨格)」を決めていきます。本文を一気に書くのではなく、その前段階として重要な要素を整理し、骨組みを作ることが目的です。
まずは「記事構成検討」シートを開き、全体の方針を定めましょう。検討の目安は以下のとおりです。
記事の文字数
Webコンテンツでは、A4用紙2枚程度(約3,000字前後)が、3分以内で読めると言われています。
記事形式
狙うキーワードに応じて形式を選びます。
- ハウツー記事……知識を得たい系キーワード
- インタビュー記事……人物に関連するキーワード
- 事例紹介記事……製品やサービスを具体的に想起させるキーワード
- 展示・レポート記事……行動(「行ってみたい!」)を促すキーワード
- 調査・リサーチ記事……信頼性を高めるキーワード
- コラム・オピニオン記事……情報感度が高い層向け(競合が多め)のキーワード
- まとめ記事(キュレーション型)……時間がない読者向けのキーワード
今後の記事の更新方針による分類
- リリース型……一度公開したら基本的に更新なし。完成度を重視し、長期的に使える記事に向く
- アップデート型……続報を加えて充実させる。情報の鮮度が重要なテーマに最適
- シリーズ型……パート分けして連載形式にする。読者の継続的な関心を引きやすい
促したい行動(CTA)
関連記事への回遊、予約・購入、問い合わせ、資料DL、見積もり依頼、営業訪問依頼など、目的に応じて設定します。
構成づくりのステップ
ここまで決めたら、いよいよ記事の具体的な骨格を作ります。
- タイトル
- 見出し(H1要素)と概要
- 見出し(H2要素)+本文……を数回繰り返す
- まとめ
各パートごとに、文字数の目安と重要キーワードをメモしていきましょう。これで記事全体の骨格が固まります。
「ボリュームが多くて大変」と感じたら、AIを活用してください。エクセルで整理した方針をそのままコピーし、AIに次のようなプロンプトを入力すれば、構成表を自動で埋めてくれます。これでライターも迷わずに執筆できます。
以上で、コンテンツ設計書(後半)の作成は完了です。
まとめ:コンテンツ設計書の活用
コンテンツ設計書(前半・後半)は、さまざまな現場で活用できます。たとえば以下のような場面です。
- 教育ツールとして:新人ライターに渡し、実際に設計書を埋めてもらう研修に活用する
- レビュー基準として:公開前に「設計書通りに検索意図が満たされているか」を確認する
- 改善サイクルのために:公開後に検索順位やクリック率を振り返り、設計書を修正する
「SEOを踏まえたコンテンツ設計書テンプレート」は、単に記事の骨組みを整えるだけでなく、ターゲティングを明確化するフレームワークでもあります。
検索意図を基点にターゲットを設定し、KPIやリンク戦略を組み込んだうえで、見出し構成とキーワードを整理していく。これがSEOやプロのライターが実際に行っている一連の流れです。
設計を「見える化」するプロセスを取り入れることで、SEOの成果を出しながら、読者にとって「読みたい」「役立つ」と感じられる記事を、再現性高く何度でも生み出すことができます。
今回ご紹介した題材は一例にすぎません。業界やテーマを問わず、ターゲティングを意識した設計書テンプレートを活用すれば、コンテンツ制作の精度とスピードを同時に高められるでしょう。ぜひ活用してみてください。
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