SEOを踏まえたコンテンツ設計書テンプレ、大公開!社内教育にも使える!

こんにちは、田口佳央莉です。
Webマーケターとして日々感じるのが、SEOの難しさです。特に、その重要性を周囲に伝えるのは一苦労ですよね。
「丁寧に調査しても、結果の説明がうまく伝わらない」
「レポートを作るのが手間で後回しになってしまう」
「社内の誰かが書いた記事を見ても、そもそも何を意図して作られたのかわからない」。そんな経験、ありませんか?
今回は、こうしたWebマーケターの皆さんの悩みにお応えするべく、メディア記事やコラムだけでなく、自社の製品ページ制作にも活用でき、多くの人に見てもらえるコンテンツをつくるための設計ツール――「コンテンツ設計書(前半)~SEO検討シート~」を公開します。
記事は「書く前の準備」が8割
SEOで成果が出る記事は、実は書く前の準備段階でほぼ勝負が決まっています。
以前は「どんなキーワードを入れるか」が重視されていましたが、今はそれだけでは不十分です。
「誰に向けて」「どんなタイミングで」「どんな関心や悩みに応えるのか」を考えることが、成果につながる記事づくりには欠かせません。
「Web担当者Forum」を日頃から読まれているようなSEO経験者の方にとっては、こうした話はおなじみかもしれません。
とはいえ、社内メンバーにも同じ視点で記事を書いてもらいたいと思っても、どうしてもスキルの差が出てしまい、なかなかうまくいかない……というのが現実ではないでしょうか。
記事を作る前・作った後に必要なこと
まずは、記事作成の全体像についてご説明します。
記事を作るうえでは、「企画」から「制作」、そして「効果測定」までの一連の流れが非常に重要です。
私はこのプロセスを6つの工程に分け、それぞれの工程ごとに専用の資料を用意することをおすすめしています。
- 企画:ネタチェックシート
- 企画:コンテンツ設計書(前半)~SEO検討シート~
- 制作:コンテンツ設計書(後半)~記事構成検討シート~
- 制作:コンテンツ効果予測シート
- 効果測定:リリース1か月後/3か月後効果測定シート
- 効果測定:コンテンツ通信簿
この6つの資料のうち、企画段階で最重要となるのが「コンテンツ設計書(前半)~SEO検討シート~」です。
SEOコンテンツ設計の5ステップ
今回は、実際に手を動かしながら取り組めるよう、「コンテンツ設計書(前半)~SEO検討シート~」入力用のテンプレートを用意しました。以下のリンクからダウンロードしてご活用ください。
- コンテンツ設計書(前半)~SEO検討シート~
- https://docs.google.com/spreadsheets/d/1SLTdEZGpTqoSD06uEUWtwqe0ggmcV_wL/edit?usp=sharing&ouid=112093354629954968169&rtpof=true&sd=true
入力手順は以下のとおりです。
- 確認事項の入力
- キーワード選定
- 競合調査1(キーワードの市場調査)
- キーワードを1つ選定
- 競合調査2(上位サイトの調査とターゲット像の絞り込み)
この手順とフレームこそが、記事作成の鍵となります。多くの場合、「まずどんな記事を書くか」を考えるところから始めがちですが、ここではあえてその逆のアプローチ――キーワードの市場から逆算して考えることからスタートします。
誰でもできる!SEOコンテンツ設計を始めてみましょう!
ダウンロードしたSpreadsheetファイルを開くと、「フォーマット一覧」タブが表示されます。今回説明する設計書が黄色のハイライトで色づけしてあります。
次に、赤枠で囲まれたシートをご確認ください。これから皆さんにご記入いただくのは、「コンテンツ設計書」「主要ワード検討」「ターゲットキーワード検討」「上位サイト調査」の各シートです。
①確認事項の入力
まずは「コンテンツ設計書」タブを開き、コンテンツのテーマ、ご自身の部署名、お名前を入力してください。これは、誰が企画したかを記録するための項目です(青い文字はサンプルなので、入力前に削除してください)。
②キーワード選定
続いて主要なキーワードを選定し、検討します。
「主要ワード検討」タブを開いて、執筆予定の記事のテーマに関連するキーワードを、思いつく限り、左側のセルにリストアップしてください。
次に、その中から特に関連性が高いキーワードを5つ選び、右側のセルに絞り込んで入力します。
すると――あら不思議!そのまま右にスクロールするだけで、選んだキーワード5つが自動的に一覧で表示されるようになっています。
③競合調査1(キーワードの市場調査)
ここからは、選定した5つのキーワードについて市場調査を行います。シークレットウィンドウを使用し、各キーワードを実際にGoogleで検索してみてください。
たとえば「バーチャル」というキーワードで検索すると、「バーチャルとは?」という問いに答えるような、言葉の意味を解説した辞書サイトやWikipediaなどが検索結果の上位に表示されます。
SEOの基本として、検索結果の上位に表示されるサイトは、多くのユーザーの検索意図を反映して割り振られており、検索意図に近いコンテンツが集まる傾向があります。「意味を知りたい」「最新知識を得たい」「購入したい」「比較して選びたい」など、複数の検索意図が存在するキーワードもあります。検索上位を目指すには、「どの検索意図の群の中で戦うのか?」「ライバルサイトよりも良いコンテンツを提供できるか?」がカギとなります。そのため、どのような情報が上位に来ているかを確認することで、ユーザーが求めている内容を把握するヒントになります。
また、キーワードによってSEOの難易度も異なります。できるだけ勝てるキーワードの市場に入り込みましょう。これは鉄則です。
たとえば、検索結果の上位に以下のような特徴が見られる場合は、比較的SEOの難易度が低いと考えられます。企業が新たに制作した記事やコラムも、同じカテゴリとして検索エンジンに認識されやすく、上位表示される可能性が高くなります。
- 企業のコラム記事が上位に表示されている
- 生活者や子ども向けの読み物が多くランクインしている
一方で、以下のようなサイトが上位に多く表示されている場合は、SEOの難易度が高い傾向にあります。
- 用語の意味を解説する辞書的なサイトが多い
- 同じドメイン(特定のサイト)のページが独占している
- 学会や論文など、専門性の高い情報が中心
- AmazonなどECサイトの商品ページが上位に並んでいる
このような検索結果では、すでに強力なサイトやドメインが上位を占めており、自社で新しく記事を作成しても、上位に食い込むのは非常に難しいのが現実です。
④月間検索数を調査し、キーワードを1つ選ぶ
次に、それぞれのキーワードについて、検索結果の上位に表示されているサイトをメモしていきましょう。そのあと、下の欄にキーワードごとの月間検索数も記入していきます。
「誰でもできるSEOコンテンツ設計」と言いましたが、このステップでは専用のSEOツールが必要になります。お手元にツールがあれば問題ありませんが、お持ちでない場合は、株式会社ファベルカンパニーが提供している「MIERUCA(ミエルカ)」の利用をおすすめします。コピー&ペーストするだけで、簡単に月間検索数を調べることができます。
調査結果を検討して、この5つのキーワードの中から、1つを選びましょう。どれを選ぶかは自由ですが、一般企業がコラム記事を制作する場合は、ECサイトやツール関連のキーワードは避けるのが無難です。
今回は、検索意図が「意味を知りたい」というニーズに近い「バーチャル」や「解析士」といったキーワードを狙っていくのがよさそうです。
選んだキーワードは、次のシート「ターゲットキーワード検討」にメモしておきましょう。
⑤競合調査2(上位サイトの調査とターゲット像の絞り込み)
最後の仕上げとして、シート「上位サイト調査」に、実際にそのキーワードで検索した際に表示された上位サイトをメモしておきましょう。検索結果は時間や状況によって変化するため、調査時点での記録として残しておくことが重要です。
さらに少し踏み込んで、検索ユーザーとして想定されるターゲット像や検索の目的、ペルソナなどもあわせて記載しておくと、記事制作に関わるメンバーの理解が深まり、より効果的なコンテンツ作成につながります。
ログをきちんと残しておこう
「こんな資料を作って、これからどう活用すればいいの?」と思った方もいるかもしれません。ぜひこの資料を、1年後、そして5年後に見返してみてください。
キーワードによっては、すぐに効果が出るものもあれば、時間をかけて成果につながるものもあります。効果測定を行う際、「いつ」「どんな目的で」「どんな記事を掲載したのか」という記録が残っていることは、分析の精度を高めるうえで非常に重要です。この資料は、そうした振り返りや改善に役立つ、貴重なログにもなるのです。
今回のSEOコンテンツ設計書は、株式会社Webosque 代表取締役の大森和博さんと一緒に制作しました。
皆さんも、ぜひ社内での教育やスキル共有に取り組んでみてくださいね。最後までお読みいただき、ありがとうございました!
【制作協力】
株式会社Webosque
代表取締役
大森 和博
北海道札幌市出身。北海道大学卒業後、2014年に株式会社ウィルゲート入社。SEOコンサルタントとして従事した後、2016年に株式会社Faber Company入社。コンテンツマーケティング支援ツール「ミエルカ」のカスタマーサクセスチーム立ち上げ・新機能開発や新規事業責任者を務める。2022年に株式会社Webosqueを設立、「時流に沿った仕組み・技術で人々をより豊かに」を掲げ、Webマーケティング支援事業とメディア運営事業に注力。クライアントの社内体制に寄り添った施策立案・推進が得意。
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