Michael Gray氏が考える「有料リンク」
次にMichael Gray氏が登壇した。「プロパガンダと不安、不確実と不信の物語」というタイトルが付けられた彼のプレゼンは挑発的かつ政治的で感情に訴える、これまでのSESカンファレンスには類を見ないものだった。Michaelは確かにプレゼンが並外れてうまく、彼が喋っている間、聴衆はずっと魅きつけられていた。聴衆の受けを狙った、Googleの動機に対する非難を彼が弁舌巧みにぶち上げると、聴衆から喝采が上がり、そのため彼は演説を何度も中断することになった。
ただ残念なことに、Michaelのプレゼンはスピードがあまりに速く、僕は十分なメモを残すことができなかった。とにかく、できる範囲で論点を要約してみる。Michaelが後でプレゼンをウェブに公開してくれるといいのだけど。
Michaelによる反Google演説の核心には、次のような論点があった。
- ウェブで行われる検索には商業関係のものとそうでないものが存在する。
- 商用ウェブサイトは一般的に自然にはリンク「されない」。
- 非商用ウェブサイトは自然発生的なリンクを呼び込みやすい。
- 有料リンクを除外することで、Googleは商業関係で行われる検索の結果の上位を、主に非商用のウェブサイトで満たすことになる。
- そのため、検索者が商取引きのアクションを起こそうとしたとき、該当する結果は有料リスティングだけということになる
- こうして、検索者はアドワーズ広告のリンクをクリックすることが多くなり、Googleは儲かる。
Michaelは、Googleは政府ではないこと、ウェブマスターのサイト構築に影響を与えるべきではないこと、Googleは有料リンクの販売という、まさに自分たちが嫌悪感を公言している活動に形式は違えども取り組んでいて、自分たちの利益になることには一所懸命だということを指摘した。
Michaelはまた、Googleが2005年に導入した「rel="nofollow"」の利用でも人々を欺いたのだと主張した。彼によると、nofollowはもともと悪質な近隣サイトへのリンクからブログとコンテンツ制作者を守り、コメントスパムの問題を管理者がコントロールして減らせるようにということで始められた。nofollowが広く普及した後――開始されてから3~6か月経って、Googleはnofollowを有料リンクにも入れるべきだと公に主張し始めた。Michaelは、この措置はGoogleが有料リンクに対するGoogleのポリシーとnofollowへの批判をそらすために仕組んだ陰謀で、公表した後で問題をくつがえすというやり方だ、と責め立てた。
個人的には、こうした主張にはまいってしまったのだけど、聴衆の反応は、明らかに大いに賛成しているか、少なくとも有名な検索の巨人がこきおろされるのを楽しんでいるみたいだった。でも、僕としては苦しい話で、だって、Michaelの主張はどれも妥当性がないんだ。明日、僕は可能ならばWebProNewsのMike McDonald氏と一緒に彼をビデオで撮って、彼が行う憶測についてもっと詳しく議論してみたいね。
Todd Malicoat氏が考える「有料リンク」
次はTodd Malicoat氏が話をした。プレゼンのタイトルは「私がリンク自由主義者である7つの理由」。その7つの理由とは。
語義の問題――有料リンクといっても漠然としている。どんなリンクにも相対価値とコストというものがあり、厳密に編集の観点からリンクが張られることはほとんどない。
ツールバーでPageRankを目に見えるものにして、リンクの経済を創始したのはGoogleだ。
経済学の議論。Adam Smithによると「効率的な市場に委ねれば、問題は自然と解決する」という。
有料リンクはクライアントの役に立っていて、それを暴くことで妥当性が損なわれる。
GoogleによるFUD(不安、不確実、不信)政策は許しがたい。
競争は市場にふさわしく、有料リンクは競争市場を作りだす。
「ウェブサイトを作る際は、検索エンジンは存在しないと仮定せよ」という考え方に従うならば、有料リンクを活用するのは完全に筋が通っているし合理的でもある
Toddはまた、次のアドワーズ広告を挙げてGoogleの偽善を非難した。
Toddはプレゼンの最後に、リンクを購入する場合、SEO業者や企業はゆめゆめ油断してはならず、リンクを妥当で、隠れていて、それでいて自然だと見える状態に保たなければならない、と締めくくった。またToddは、SEO業者として、リンク購入の実際については、(今回のような)パネルディスカッションでもオンライン環境でも、発言を謹まなければならないと語った。これについては、まあ、グッドラックと言っておこうか(笑)。
Todd Friesen氏が考える「有料リンク」
続いてRangeのTodd Friesen氏が登壇した。PowerPointのプレゼンは用意していなかったけど、Toddは(僕の見たところ)非常に説得力のある主張をいくつか提示した。
- リンクの購入でプラスの投資対効果を得られるなら、企業はリンク購入を続ける。投資対効果がプラスなら、リンク購入は検索者にもプラスに働いていて、それゆえ検索エンジンにとってもよいものであるという公算が大きくなる。
- 最悪のシナリオではお金をドブに捨てることになるが、これもそれほど悪いことではない。購入したリンクはトラフィックを生みだすし、ブランドには寄与するし、それに(Googleだけでなく)複数の検索エンジンで機能するかもしれない。
- 誰がリンク購入に絡んでいるかは、リンクの買い手と売り手以外に知る人はいない(まして検索エンジンにはわからない)。だから、リンクを購入しているサイトをGoogleが実際に禁止する(または直接ペナルティを課す)ことがわかったら、こんどは競合相手が、蹴落としたい敵のサイトがガイドラインに違反していてペナルティを課されるべきだと検索エンジンをだますために、そのリンクを購入することになる。
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