「概算見積書」「超概算見積書」の違いって? 3種類の見積もりを徹底解説――プロが教える見積書7つの極意②
[特集] 安く! 早く! を実現するサイト制作の発注マニュアル
賢い発注のやり方&失敗するやり方 制作会社とのうまい付き合い方教えます
賢く! 安く! 発注するために知っておきたい見積もりチェック術
プロが教える見積書7つの極意
ウェブサイトの見積もりでは、総額が大きいわりに不透明な部分も多く、制作会社によって見積書の内容が異なることもある。本稿では、発注と制作を円滑に進めるために知っておきたい見積もりの基本と注意すべきポイントを示す。
極意その2
3種の見積書の違いを知る
ここでは、見積書の種類について説明しよう。ほとんどの場合、1回のサイト構築プロジェクトでは、次ページの表2に示した3つの見積書をもらうことになる。順に説明していこう。
超概算見積書
超概算見積書は、自社内で外注予算を組むために、費用を大まかに把握するためのものだ。
たとえば、使用したいCMSやASPサービスの価格がいくらなのかを調べたいときや、RFPを作るための情報収集としてもらってもいい。また、見積もりをもらった制作会社に必ず発注しなければいけないという縛りもない。見積もり額の精度は−50%から+100%、すなわち場合によっては半額から2倍の価格になる可能性がある。
ちなみに、超概算見積書を複数の会社からもらうのは相見積もりとは言わない。制作会社側も割と気軽に出してくれるので、気になる制作会社があればお願いしてみよう。
概算見積書(相見積書)
実際に制作依頼を行う会社が決まったときや相見積もり時に出してもらうのが概算見積書である。
RFPなどを基に、目的、用途に沿った形でお願いするのでかなりブレは少なくなる。見積もり額の精度は−25%から+50%。よほど複雑な要件でない限り、見積もりを依頼したら翌営業日か翌々営業日にはもらえる。
ただし、相見積もりとわかっている場合、どの制作会社も安めに設定してくるので、たとえ予想より安かったとしても鵜呑みにしてはいけない。その場合、どの要素により金額が大きく変わるのか聞いておくこと。なお、依頼するにせよ断るにせよ、概算見積書をもらったら1週間以内には何らかの返事するよう心がけよう。
また概算見積書をもらうときには、見積書だけでなく、実際に制作してくれるドキュメント類のサンプルを一緒に見せてもらう。見積書や制作実績がすばらしくても、実際は外注に丸投げしているケースもある。ドキュメントを見られれば、単価の根拠や実際の作業の様子を推し量る手がかりになり、値段からだけではわからない作業の質が見えてくることもある。ただし、こうした書類は社外秘のものが多くコピーや持ち帰りができない場合が多い。
正式見積書(確定見積書)
概算見積書をもとに、話し合いながら細かい点を詰め、作業内容や工程、単価、数量、ページ数など、できる限り正確に盛り込んだものが正式見積書(確定見積書)である。
この段階で作業分担やスケジュールも大枠で決まり、正式な発注、契約となる。「確定」といっても作業段階になればいろいろと変動することも出てくるが、わかる範囲で適度に細かく書いておけば、何かトラブルがあったときにお互いのリスクヘッジにもなる。
- 超概算見積書
- プロジェクトの初期段階で、費用を大まかに把握する情報収集のために使う
- 見積もり額の精度は-50%から+100%
- 概算見積書(相見積書)
- 実際に制作依頼を行う会社が決まったときや相見積もり時に出してもらう
- 見積もり額の精度は-25%から+50%
- 正式見積書(確定見積書)
- 見積もり額の精度は-5%から+10%
- 作業内容や工程、単価、数量、ページ数など、できる限り正確に盛り込んだもの
PMBOKとは、「プロジェクト管理の知識体系(Project Management Body of Knowledge)」の略で、「ピンボック」と読む。米国の非営利団体PMI(Project Management Institute)がプロジェクト管理に必要な知識を体系立てて整理したもの。ウェブサイト制作だけではなく、さまざまな業界でも使われている事実上の世界標準。
この記事で示す「概算」「超概算」などの見積書の名前や精度もPMBOKに則ったもの。PMBOKを知っており実践できる制作会社、ディレクタはプロジェクト管理の意識レベルが高いと考えていいだろう。
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