安く!早く!を実現するサイト制作の発注マニュアル

マンガ「よくある3つの困った事例」に学ぶ うまく仕事進める秘訣

安く!早く!を実現するサイト制作の発注マニュアル

[特集] 安く! 早く! を実現するサイト制作の発注マニュアル
賢い発注のやり方&失敗するやり方 制作会社とのうまい付き合い方教えます

賢い発注はウェブサイト制作の正しい理解から
こんなクライアントは嫌だ!
制作サイドのホンネから知る“成功する制作の進め方”

ユーザーを引き付ける魅力ある企業サイト、思わずため息がでるキャンペーンサイトなど、ウェブでは多くの成功事例を見ることができる。しかし、外から見ると美しく見えるプロジェクトも、紆余曲折を経て達成されることがほとんどだ。スムーズに進む案件の方が少ないといってもいい。なぜこうもスムーズに進まないのか? ネットビジネスの基本であるウェブサイトの制作は、どのように進むのか、うまく進めるためにはどうしたらよいのかを、成功例と失敗例から理解していこう。

よくある「困った事例」に学ぶうまく仕事を進める秘訣

これまで「マンガ『困ったクライアントのダメな発注4つの実例』 ~こんなクライアントはもうイヤだ!」では困ったクライアントの実例を、「うまく仕事が進む“良いクライアント”の“賢い発注”3つの実例」では良いクライアントの賢い発注の例を示してきた。

この記事では、「困った事例」3つを挙げ、うまく仕事を進める秘訣をそこから学んでみよう。「あ、それやっちゃったことあるかも」「あるんだよね、こういうこと」青くなったり頷いたりしながら読んでほしい。

(>_ 社長の一言で「どんでん返し」に

困ったクライアント
困ったクライアント

社長がワンマンであり、制作の細部にも口をはさんでくるケースがある。もちろん考慮に含めるべき意見もあるが、困るのは自分の思い込みを強烈に押しつけてくる場合だ。自分の写真について注文をつけるのはまだいいとして、「ここのデザインはこうではなくてこう」「もっと元気のよい雰囲気にしろ」「縦に長い部分(サイドバー)は左にしろ」などなど。概して自信家が多いため、なかなか意見を曲げてもらえないことも多い。最悪の場合、数か月かけて制作・実装まで終わり、テスト段階に入っているにもかかわらず、社長から「待った」がかかることもある。

このような場合、予算やスケジュールを人質に説得するのがセオリーであるが、もう1つ強力な抗弁として「ユーザーはどう思うか」という正論を突きつけることをお勧めしたい。具体的には、Web担当者と制作会社のスタッフなどの内輪だけでもいいので、簡単に印象テストやユーザビリティテストを行い、ひとりのユーザーとしてどう感じるかを意見としてまとめ、伝えることである。もちろん、実際に一般ユーザーの協力を得てテストできればベストだ。社長の意見を通すことでデザイン性やユーザビリティが低下すると考えられるのであれば、このように「お客様を大切にする」というビジネスの大原則をベースに、ユーザーテストを説得の材料にするのが意外と有効である。

一方で、「ソツのないウェブサイトが、目的達成につながるわけではない」という自省も必要だ。突飛な意見、無茶苦茶に聞こえる意見こそが、実はユーザーの心をとらえる可能性がある。社長はそもそも、そのような「嗅覚」を備えているからこそ、その地位にいるとさえいえる。つまり、自分たちの常識や身の丈の範囲で良し悪しを論じるのでなく、だれの意見であろうといったんは真摯に受けとめ、その後で秤にかけることが大切である。

(ToT) テスト段階になって追加要素が発生

すでにひととおり実装が終わり、テストサーバーにアップして、表示や動作のチェック段階に入っている。この段階になって、「やっぱりサイト内検索機能を付けたい」と思うかもしれない。さて、どうするべきか。設置する必要があるかどうかを社内、そして制作会社ともう一度協議し、どうしても「設置したい」という場合、デザインやコーディングの調整はもちろん、そもそも「どのような検索システムを設置するか」という問題が立ちはだかることになる。

実際には、予算とスケジュールに照らして、自作または買い取りの検索プログラムを設置することになるだろう。Googleのサイト内検索を設置するのも手だ。Google検索は大手のサイトでも利用しているところが多く、予算とスケジュールにかかわらず設置を検討してよい。

検索機能に限らず、追加要素が発生すると予算とスケジュールに影響がでてくることになる。ユーザーの使い勝手を最優先し、サイトの公開スケジュールを遅らせてでも機能を追加したい場合もあるだろう。あるいは、まずサイトを公開してから、後で機能を追加するという選択肢もありえる。こういった場合、プロジェクトの優先度はどの程度なのか、追加機能の重要性や緊急度はどの程度なのか改めて見直すことが大切だ。

(-_-;)ゞ 「やっぱりお願い」期限切れの見積書で依頼がきた

困ったクライアント
困ったクライアント

通常、見積書には「○月×日まで有効」といった期限が記載されているが、その期限よりもはるかに後になってから、その見積書をもって発注しようとするのも、実際にない話ではない。

もし1年前に出した期限切れの見積書で依頼をする場合は、まずその旨を伝え、新しく見積ってもらうのが鉄則だ。ウェブサイト制作に対するニーズが当時とは異なる場合、当然、金額にも大きな違いが出てくる。技術の進歩で同じことをするのにも安い金額でできるようになることもあるが、金額が大きいほうに振れることもある。提供するサービスが異なる以上仕方がないと考えるべきだろう。


◇◇◇

ここまで、さまざまな現場の事例を紹介してきた。まさかと思うような話もあるかもしれないが、すべて現実にあることである。特に、「賢い発注はウェブサイト制作フローの正しい理解から――よくある4つの悩み事」の記事の図1に示した緑色の部分はトラブルが起こりやすいフェーズなので注意が必要だ。

つまるところ、ウェブサイト制作が人間的な部分に大きく左右されることは、他の仕事と何ら変わらない。どのケースにおいても、進行に合わせてしっかりコミュニケーション行えば回避できるのがほとんどであることを覚えておこう。

また、ウェブサイトは「生きたメディア」であり、制作後の日々の運用こそが本当の勝負であることも忘れないように。

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