願わくは、この投稿がSEOmoz読者各位の御意にかないますように。
今日は、競合企業の商標をメタタグ(meta要素)で使うことに関して、裁判所が最近示した2つの見解を比較してみようと思うの。同じような問題で、異なる判決が下されたのよ。まず、各事例について簡単に見てきましょう。
North American Medical Corp.対Axiom訴訟
2008 WL 918411(第11巡回控訴裁判所、2008年4月7日)
この裁判に関わっているのは、脊髄除圧装置を製造している2つの企業。訴状によると、AxiomはNorth American Medical(NAM)の商標をメタタグに使用したらしいわ。いいこと、商標を使用したのは、ウェブサイトの本文部分ではなくて、メタタグの中よ。どういう種類のメタタグ(タイトル? キーワード? ディスクリプション?)を使用したかはわからないわ。裁判所は今回、Axiomが「検索エンジンの操作」を目的として、NAMの商標をメタタグに使用したと認めたの。裁判所は以下のように説明しているわ。
一例を挙げれば、提出された証拠が示すとおり、Axiomがこれらのメタタグを同社ウェブサイトから削除する以前、グーグルのインターネット検索エンジンにNorth American Medicalが商標権を有するキーワードを入力すると、関連性の高いサイトとして、Axiomのウェブサイトが検索結果の2番目に表示されていた。またグーグルの検索結果にはAxiomのウェブサイトについて簡単な説明も添えられていたが、その説明文はこれらのキーワードを含み、強調表示していた。
このような判断に基づいて、第11巡回控訴裁判所は、検索エンジンの操作を目的としてメタタグに商標を使用することは「商業目的の利用」であり、消費者に混乱を与えるから、これは商標権の侵害にあたるとの判決を下したの。
Standard Process, Inc.対Dr. Scot J. Banks訴訟
2008 WL 1805374(ウィスコンシン州東部地区連邦地裁、2008年4月18日)
Standard Processは栄養補助食品のメーカーで、自社の商標をメタタグに使用したとして、Banks医師を訴えたの。この件に関しても、どのメタタグが使用されたのかはわからないわ。だけど、Axiom訴訟における控訴裁判所の判断とは異なり、Standard Processの事例では、裁判所は以下のような判決を下したの。
現在は、「最新の検索エンジンにおいては、メタタグが考慮されているとしても、その影響は非常に小さい」。
(中略)
「keywordsのメタタグを操作してキーワードとのサブオプティマル(次善最適)な関連性を獲得しようとする」ウェブマスターが増加するにしたがって、検索エンジンは、keywordsメタタグが関連性を表す優れた指標にはならないとの認識を持つに至った。したがって、現在の検索エンジンでは主に、他サイトからの被リンク数によってウェブサイトを評価するアルゴリズムを使用している。
ウィスコンシン州西部地区連邦地裁では、競合企業の商標をメタタグに使用することについて、検索エンジンはメタタグを利用していないので「商業目的の使用」には当たらないと判断したの。
両訴訟の被告はどちらも、宣伝を目的として競合企業の商標を使用したのよね。だけど2つの裁判所は、メタタグの機能、および消費者に及ぼす影響(何らかの影響があるとすればね)について、根本的にまったく異なる見解を示したわけ。
検索順位を上げようとしてメタタグにキーワードを使用しても、どれだけ役に立つかなんてたかが知れているんだから、2つの判決を見たって「だから何?」と思うかもしれないわね。SEO戦略としては大した効果が期待できないのに、keywordsメタタグに競合者の商標を使用できるのか、それともできないのかについて、なぜ関心を持たなきゃいけないのかしら?
これらの事例に関心を持つべき3つの理由
メタタグ(少なくともタイトルタグとdescriptionメタタグ)は、検索順位に関して効果がないとはいえ、検索エンジンマーケティングにおいては重要なものよ。検索エンジンには無視されるかもしれないけれど、消費者の目には触れるもの。クリック率を上げるために競合相手の商標を使用する場合、SEO/SEM業者は用心しなくてはならないわ。両裁判所の相反する判決を考えれば、そういう行為にはリスクが伴うということね。
また、2つの判決からは、テクノロジーに関する法曹関係者の知識レベルに差があるということもわかるわ。Axiom訴訟の裁判官は、90年代初頭の知識でメタタグを捉えようとしているのよ。さらに、弁護士や裁判官たちは、メタタグの種類によって商標の目立ち方も変わり、結果として消費者にどの程度の混乱を与えるかも違ってくるというのに、その違いを区別していないわ。
これらの判決をよく読めば、キーワードが引き起こす広告関連の問題に対して、裁判所が今後どのように取り組むか見えてくるかもしれないわ。たとえば、アドワーズ広告やアドセンス、それから、(商標を目いっぱい詰め込んだ、いわゆる「レビューサイト」などの)強引あるいは不正な検索エンジンマーケティング手法に対する検索エンジンの法的責任とかね。要するに、裁判ごとに異なる判断基準が適用されて、互いに相反する理解不足の判決がこれからも数多く下されるということだわ。
弁護士たちは、これからも上手く裁判を戦っていくことでしょうね。検索エンジンやインターネットのマーケターたちが同じようにできるかどうかは、わからないけど。
みんな、頑張ってね!
では、ごきげんよう。
サラ
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