SEOに着目して新規セッション数を増やすには? Google AnalyticsでSEO
具体的な事例とツールの解析ワザを中心としたGoogle Analytics活用の実践Tips集
もちろんSEO/SEMも織り交ぜながら解説していきます。
新規セッションをどうやって判別するか、その仕組みを前回の記事で説明した。今回は新規セッションの見方と改善方法について触れてみよう。
新規ユーザーを増やす2つの方法
サイトの新規ユーザーを増やすやり方はいくつか考えられる。その中でも、SEOやSEMで効果を上げて、新規ユーザーを獲得するのは大事な方法だ。SEOやSEMで新規ユーザーを獲得する具体的な戦術はサイトによっていろいろありそうだが、大きく分けると以下の2パターンになるだろう。
- 新たなページ群を作る(サイトのページ数を増やす)
検索エンジンからの訪問者の割合が低い場合(全体の30%以下)は新たなカテゴリやページ群を作って、訪問者を増やす方法が考えられる。
- 今のページでキーワードの検索順位を上げる
今あるページを改善すれば、比較的早く効果を上げることができる。検索順位の低いキーワードを高くしたり、GoogleとYahoo! JAPANからの訪問数のバランスが悪い場合は、悪い方を重点的に改善したりすると効果が見込める。
今回は(2)の方法に注目して、アクセス解析をしながらSEO効果をあげていく方法を紹介しよう。
新規ユーザーをディメンションで解析
新規ユーザーに関して少し掘り下げてみていこう。
Google Analyticsのレポート画面を表示し、左側のナビゲーションの「ユーザー」メニューから「新規ユーザーとリピーター」を選ぶ。画面中央に表示されたデータから「New User」を選択すると、新規ユーザーに絞ったセッション数が表示される。ここで「ディメンション」のプルダウンから、「参照元」を選ぶ。こうすると、新規セッションに限ったその参照元の情報を見ることができる(図1)。
今回取り上げたサイトの値を見ると、GoogleとYahoo! JAPANのセッション数がほぼ変わらない数であることがわかる(図2)。しかし、日本の検索エンジンのシェアは、Yahoo! JAPANの方が高い。であれば、Yahoo! JAPANの比率がGoogleよりも高くなければおかしい。解析の対象となるサイトのターゲットユーザーにもよるが、本来ならGoogleよりYahoo! JAPANの訪問者を増やすことができるはずだ。このギャップは、今後の改善の指針になる。
このGoogleとYahoo! JAPANのバランスの悪さを改善するには、キーワードごとに改善していく方法がある。そこで次に、検索されたキーワードを見ていこう(図3)。
同じく「ディメンション」のプルダウンから「キーワード」を選ぶ。すると、新規セッション数が多いキーワードが上から順に並んで表示される。多くの場合、一番上の方に「(not set)」という項目が表示されるが、これはキーワードが割り振られていない(検索エンジン経由ではない)新規セッションだ。
ここで上位に表示されたキーワード「ベルバトフ」「遠藤保仁」は、比較的新規セッションが多いキーワードたちだ。上位30位ぐらいまでのキーワードの検索順位を改善して新規のアクセス数を増やせば、新規セッションを増やすことができそうだ。
Yahoo! JAPANで順位を上げる
次に、新規セッションが多いキーワードに着目して、Yahoo! JAPANとGoogleのバランスをみていこう。
新規とリピーターのメニューから離れて、今度はGoogle Analyticsの「トラフィック」メニューから「キーワード」を選ぶ。そこで表示されたキーワードのうち、先ほどのセッション数が多かった個別のキーワードを選択し、「ディメンション」のプルダウンから「参照元」を選ぶ。
「遠藤保仁」というキーワードを選択して詳しく見たのが図4だ。Yahoo! JAPANよりも、Google経由のセッション数が圧倒的に多いキーワードだということがわかる。念のため、「遠藤保仁」について、Yahoo! JAPANとGoogleの検索順位を比べてみると、思った通りGoogleの順位に比べYahoo! JAPANでの順位が低かった。
この場合、Yahoo! JAPANの順位を上げるためにはどうしたらよいのだろうか。トップページからワンクリックで行けるリンクを設定するのが一つの手段だ(Yahoo! JAPANはトップページからのリンクを重視する傾向にある)。「遠藤保仁」の記事へのリンクをトップページに設置することで改善が期待できる。新規ユーザーをたくさん連れてきているキーワードを中心に、このアプローチをおこなっていけば、やがてYahoo! JAPANからの新規ユーザーを増やせる。
逆に、Googleで順位が低いキーワードの場合は、全てのページからリンクを作ってサイト内リンクを強化するという施策を取るのが一案だ。たとえば、ブログなら注目記事というナビゲーションを全ページに設定して、そこに新規セッションの多いキーワードがタイトルに入っている記事へのリンクを、記事タイトルをアンカーテキストにして並べるといった方法が考えられる。
アクセス解析を通じたこんなアプローチで、新規セッションの多いキーワードに絞って取り組んでいけば、アクセス数の底上げが見込めるだろう。今回は、ディメンションを中心に取り上げたが、次回は、アドバンスセグメントやプロファイルを設定して新規ユーザーを追ってみたい。
解説内で何度か出てきた「ディメンション」というラベルは、少し前まで「セグメント」と表記されていた。昨年秋ごろの変更で「セグメント」は突然、予告も通知もなしに「ディメンション」に名前が変わったのだ。Googleは“ずっとベータ”が社風なので、Google Analyticsでもこのような突然の変更は起こるものだと覚悟しておいた方がよい。
もう一つ、アクセスの多いサイトや長いレポート期間を設定したときにこの「ディメンション(旧セグメント)」を設定すると、黄色い警告メッセージが表示される場合がある。
このレポートはサンプルデータを基に作成されています。詳細については、こちらをご覧ください
これは、「処理するデータ量が多いとサーバー負荷が高くなるので、ちょっと端折って表示しましたよ」という親切なお知らせだ。格好よく言うと「サンプリング」である。ヘルプによると、処理する対象の合計が20万セッションを超えたらこのサンプリング処理を適用することになっているらしい。
これもGoogleの文化で、Googleが提供している検索サービスでもこの手のアバウトさはよくあることだ。皮肉な言い方をしたが、これはあながち悪いことではない。誰かの影響で他人のアクセスまで遅くなってしまうと、使い勝手の悪いサービスになってしまう。ユーザーの使い勝手、特にレスポンスタイムの快適さは何物にも優先するというGoogleの基本姿勢のあらわれだ。“ずっとベータ”と“アバウトな数値”、このGoogleの姿勢には納得できないという人もいるだろう。やはり正確な値で分析したいということであれば、他社のサービスを選択するべきだ。
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