6. 自分でできる! モバイルユーザビリティ改善の3ステップ
6. 自分でできる! モバイルユーザビリティ改善の3ステップ
最後に、みなさんが現在運用されている自社モバイルサイトのユーザビリティを改善するための3つのステップを紹介します。これまでの連載で紹介したユーザビリティ改善のポイントを参考にしながら、改善に取り入れてみてください。
【STEP1】自社サイトの現状把握
STEP1-1. 自分ヒューリスティックチェック
“ユーザー目線”で自社サイトのターゲットユーザーのステータスとモバイルサイトで実現したいゴールを踏まえ、「現状のサイトでユーザーが目的を達成できるか?」という視点でチェックします。本来、ヒューリスティックチェック(評価)はユーザビリティの経験に基づいて評価し問題点を発見するものですが、自社でそういった経験がなくても、チェックの際にユーザー目線に立っているか意識するだけでも、見えてくるものが違うはずです。
また、基本のチェック項目を作って評価することも有効です。たとえば、IMJモバイルでは、“モバイルならではの目線”でモバイルサイトのユーザビリティチェックするため、独自のチェックシートを作ってチェックしています。
モバイルユーザビリティスコアリングシート
- サイト全体設計
トップページへのリンクが、全ページに用意されている。 - コンテンツの統一感
専門用語・難しい表現を使わず簡易な言葉で説明している。 - 下層ヘッダ
ヘッダについてルールが統一されている。 - 下層フッタ/ナビゲーション
コピーライト表記がされている。 - リンクの設定
リンクがリンクとして認識できるように表示されている。
- 一覧画面(商品、コンテンツ等)
詳細ページへの導線が、分かりやすい位置に配置されている。 - 詳細画面(商品系)
サイズ、生産地、取り扱い方法、色、素材、スペック等の商品の詳細情報が適切な文章量で記載されている。 - 詳細画面(情報系)
情報が整理され、カテゴライズ、項目分けがなされている。 - トップページ(コーポレート、公式サイト)
トップページに企業名、若しくはサイト名を表示している。 - トップページ(キャンペーン)
キャンペーン訴求ポイントがファーストビューで明確に記載されている。
STEP1-2. ログデータからの現状把握
次のポイントを中心にログデータを分析することでユーザーの実際のモバイルサイトの使い方を把握します。
直帰率の高いページの把握
せっかくサイトに来訪してくれたのに次のページへ進んでもらえない“直帰率”の高いページとその原因を把握することで、サイト全体の中で問題度の高いページとその理由を把握します。
- 検索キーワードと、コンテンツの内容のミスマッチ
- サイト自体の構造が把握しづらい
- 次にどこを押してよいかわからない
- 表示速度が遅いためストレスとなってしまった
離脱率の高いページの把握
直帰率の高いページと同様、サイトを回遊しているなかで離脱の多いページも把握することで、ユーザーがどのタイミングで興味を失っているのか。また、考えられる原因は何かを把握します。
- コンテンツの内容に満足できなかった
- サイト自体の構造が把握しづらい
- 次にどこを押してよいかわからない
- 表示速度が遅いためストレスとなってしまった
STEP1-3. 競合サイト調査
ここでは、ビジネス上同じターゲットを狙う競合他社のモバイルサイトをチェックし、サイトの構造や、提供しているコンテンツを自社サイトと比較することで、ユーザーのニーズに対して現状の自社モバイルサイトが対応できているかを把握します。
STEP1-4. ユーザーアンケート
可能であれば、現状サイト利用ユーザーに対するアンケートを実施することで、よりリアルなユーザーのサイトに対するニーズを把握します。
【STEP2】ユーザビリティ上の課題のまとめ
STEP1での各調査・分析により洗い出されたユーザビリティ上の課題を一覧表にまとめます。その際、ページ単位での課題を分類し、その課題改善のプライオリティと実現可能度(技術的な難易度、かかる想定コスト)を一覧表に記入することで、費用対効果の視点でどの課題を優先的に改善することが効率的なのか、あわせて確認できるようにしましょう。
ID | ページ名 | 課題 | 改善の方向性 | 優先度 | 実現難易度 | 備考 | 結果 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | トップページ | トップページが重過ぎる | コンテンツ・画像の精査 | A | B | 競合他社 80K 自社 120K | |
2 | 画像使用点数が多すぎる | 必要画像の精査 | A | C | ID.1とあわせて精査 | ||
3 | 直接アクションに結びつく導線がない | 「資料請求」リンクをページ上部、下部へ設置 | A | C | 競合他社も同様の対策を実施中 | ||
4 | 検索結果ページ | ナビゲーションの統一化がされていない | サイト全体の共通ナビゲーションを適用 | B | A | システム会社との調整が必要 | |
5 | 検索結果の説明文書が短すぎる | もう少し内容に踏み込んだ説明がほしい | B | A | システム会社との調整が必要 | ||
6 | 商品詳細ページ | 説明文書が短すぎる | 商品ごとの商品説明が短過ぎる | A | A | 原稿を用意できるか | |
7 | 文章が羅列されているため特徴が把握しづらい | 画面構成を見直し、レイアウトを整える | A | B | |||
. . . | . . . | ||||||
12 | 全体的に | サイト全体ナビゲーションが統一されていない | ページによってまちまちなのを統一する | A | B | ||
13 | テキストカラーの統一化がされていない | 一定のルールを設定し、統一する | B | B | |||
14 | ヘルプを充実させる | 専門用語にはヘルプ導線を設置し解説する | A | C | 専門用語使用箇所の把握が必要 |
【STEP3】A/Bテストによる効果測定
ユーザビリティ上の課題を整理したうえで優先順位をつけてサイトの改善を実施していきます。良かれと思って改善した内容が結果的にあまり効果をあげないケースもあるため、改善時にはA/Bテストを実施することで、より高いサイトのパフォーマンス向上を目指すことをお勧め致します。
STEP3-1. A/Bテストツールを利用する
現在は多くのA/Bテストや多変量解析のツールが販売されていますので、一般的にはそれらのツールを利用します。自社システムで専用のA/Bテストツールを構築できる場合は、柔軟なテスト項目設定が可能になることがメリットとなりますので、可能ならばあわせて検討しましょう。
STEP3-2. 手動によるA/Bテスト
コストやリソースの兼ね合いでSTEP3-1の実施が困難な場合、改善するページの箇所によっては簡易的なABテストを実施することも可能です。
ケース1:メールマガジンの飛び先URLを変えることによるテスト
検証対象ページのコンテンツ、レイアウトなどを変えた複数パターンのページを用意し、メールマガジンへ記載するURLをそれぞれ変えることで、どのページのパターンが一番パフォーマンスが高かったのかを検証することが可能です。ケース2:測定期間をずらす
検証対象ページの本番サイトへの反映期間をずらすことで、各ページのパフォーマンスを計る方法です。ただし、季節要因などの変動要素に影響を受けやすい手法であるため、測定結果に対する考慮が必要です。
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