月次のアクセス解析で「見るべき指標」はなんでしょう? 見落としがないか不安になります
当クリニックの代表。
イケメンの研修医。
優しい天然ボケの研修医。
ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る)
今回のお悩み
月次のアクセス解析で「見るべき指標」はなんでしょう? 見落としがないか不安になります
月次レポートのポイントはたった1つ
アクセス解析のレポートって、毎月見ているけど、最近不安を感じるんだ。
具体的には、どんな指標や数値を見ているの?
レポートしているのは、これぐらい。
- 全体のアクセス数
- 総ページビュー
- コンバージョン数
でも、本当にそれだけで良いのか……。これで過不足がないのか、“これだけは絶対に見るべき”という指標を知りたいの。
綾瀬さんの今日の悩みは「毎月見るべき指標を知りたい」というものだね。結論を言うと、“たった1つのポイント”をおさえていればいいんだ。
……1つですか?
そう。でも、それを伝える前に、まず綾瀬さんの「不安の原因」を明らかにしよう。そうすれば自然と、その“たった1つのポイント”に気づくはずだから。
私の不安の原因ですか? うーん、なんでしょう?
- サイト改善にうまく活用できていない。
- 変化の詳細を完全におさえることができていない。
- 他の人はもっと使いこなしている気がする。
といったところでしょうか。この3つに集約されると思います。
やはり、綾瀬さんの悩みには、アクセス解析によくある誤解と期待が入り混じっているね。まずはその誤解を解こう。
アクセス解析の「目的」と「できること」
「アクセス解析」と一口に言うけど、この言葉は広義になってきていて、誤解を招きやすい。まずアクセス解析でできることと、できないことをはっきりさせよう。
「アクセス解析でできること」は、「サイト改善」ではないのですか?
違うよ。それは「目的」であって、「できること」ではない。「目的」と「できること」。この2つは、それぞれ明確に分けよう。
- 現状把握
- サイト改善
- 異常を知る(目標とのギャップを知る)
- 効果検証
- ……など
つまり、「アクセス解析でできること」は「現状把握」であって、「サイト改善」ではないのですね?
そう。ところが綾瀬さんは、この違いを意識せずにアクセス解析レポートを作成しようとしている。すると目的が曖昧になり、何の数値を見てよいのかわからなくなる。だから不安になったんだよ。
確かに、そこを明確に分けて考えれば、私は、「サイト改善」をしたくて、アクセス解析レポートを見ていますね。
僕は「異常を知る」と「サイト改善」を同じくらい考えているかな。
すると、2人とも「改善」が目的なのに、月次レポートを改善に使えていないことになる。だから「何か自分が間違っているのではないか…?」と考えてしまうのだね。
定型の月次レポートは「異常を知る(目標とのギャップを知る)」ため
さて、ここからが本題だ。これはよくある誤解なんだけど、月次の定型レポートは「異常を知る(目標とのギャップを知る)」ことには使えるけど、「サイト改善」には使えないことが多いんだ。
え、そうなんですか?
たとえば、学校の健康診断を思い出してほしい。健康診断は、定型レポートだけど、それは「病気を治す」ためではなく、「現状を把握する」ために行うだろう?
つまり定型レポートというのは、一般的には「異常を知る(目標とのギャップを知る)」ことが目的なんだよ。病気を治すことが目的ではないんだ。
病気を治す、つまりサイト改善には定型以外のレポートが必要ということですか?
そのとおり。だから、月次アクセス解析のような定型レポートを作るならば「異常を知る(目標とのギャップを知る)」ためと割り切ってみよう。そうすると、余計な不安がなくなるよ。
月次レポートを改善につなげるには
月次定型レポートの目的を「異常を知る(目標とのギャップを知る)」に切り替えたら、あとは簡単だ。綾瀬さんなら、どの指標を見る?
異常を知るならば、とにかく売り上げに直結するリスクの高いものをウォッチします。問い合わせ数、検索エンジン経由のアクセス数、広告費などでしょうか。あれ、いろいろ思いつきますね……?
月次レポートの目的を「異常を知る(目標とのギャップを知る)」に切り替えると、アイデアが湧くと思うよ。「ポイントは1つ」といったのはそのためだよ。
でも異常やギャップを知っても、サイト改善はできないですよね?
サイト改善につながるレポートはまた別だ。でも、異常やギャップを知ることができれば、そこからさらにデータを深堀できる。つまり、月次の定型レポートは改善の入り口なんだ。健康診断といっしょだね。
月次の定型レポートは「異常を知る(目標とのギャップを知る)」ためと割り切ることがポイントだったのですね。納得です。
まとめ
「毎月見るべき指標を教えてください」という質問はよくある。でも、それはアクセス解析に対する過度な期待と誤解からきている質問なんだ。
まず、定型レポートはサイトの健康診断のようなものだと割り切ろう。「異常を知る(目標とのギャップを知る)」ことが第一目的だ。そのために見るべき指標としては、サイトのパフォーマンスに直結する数値、いわゆるKPIをモニタリングすることが理想的だ。
しかし「異常を知る(目標とのギャップを知る)」と割り切るならば、極端な話、最初のレポートは「売り上げと費用」だけで良いかもしれない。データ分析には作業負荷がかかるから、理想はKPIでも、現場ではもう少し柔軟に考えるべきだろう。
モニタリングのポイントについては、以前の記事「最近、サイトの反応が落ちてきているようなのですが、理由はどう調べればいいですか?」で触れているので、ぜひ見ておいてほしい。
最後に、今まで定型レポートの話をしてきたけど、月次レポートという意味では、施策の効果検証と、数値が悪化あるいは改善した場合に、変化したポイントの追及は必ず行おう。月次レポートの説得力がグッと増すはずだ。
お悩み月次のアクセス解析で「見るべき指標」はなんでしょう? 見落としがないか不安になります
アドバイスアクセス解析に過度な期待をしている可能性があります。まずは気楽に考えてみましょう。「異常を知る(目標とのギャップを知る)」ためには、最低限、何を見るべきか考えてみます。
以下3ステップで進めていきます。
- 【1分】 サイトの目的を定める
まずサイトの「目的」を考えてみましょう。
- 売り上げ増ですか?
- 問い合わせ増ですか?
- アクセスアップですか?
- 【1分】 上記1の答えについて、毎月の目標値を決める
たとえば「毎月100万円を売り上げる」など、明確な数値で、目標を設定しましょう。
- 【3分】 目標値とのギャップを知るための指標を考える
上記2で決めた目標値について、「異常を知る(目標とのギャップを知る)」には何の指標を見ればよいか考えましょう。特に、競合サイトの台頭や、検索エンジンのアルゴリズム変更など、外的要因により変動するリスクが高いものを考えます。月次ではなく日次や週次でのレポートが適しているものもあるでしょう。ぜひ考えてみてください。
【例】毎月100万円を売り上げるためには、以下を確認する。- 毎日の売り上げ額
- 毎日のアクセス数
- 毎日のコンバージョン数(顧客数)
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