あなたのサイトはどれだけ価値を生んでいる? GAでコンバージョン(目標)を分析する第一歩[第47回]
今回から数回にわたり、ビジネス貢献などの価値を表すために「サイトの目標がどれだけ達成されたのか」という観点でデータを見られる「コンバージョン」系のレポート群について見ていく。「目標が達成できたか」というのは、Webサイトを運用するにあたり最も重要な視点の1つだ。今回は[コンバージョン]>[目標]セクションのレポートの活用法をいくつか紹介しよう。
- 全体と目標別にコンバージョンを確認する
- コンバージョン直前に経由したページからヒントを探す
事前に「目標」の設定を確認しておこう
「コンバージョン」とは「転換」を意味する英語で、Webサイトにおいては訪問者が資料請求や商品購入など運営者が望む行動を起こすことを意味する。[コンバージョン]>[目標]セクションのレポート群を見るためには、事前に「目標」を設定しておかなければならない。
「目標」を設定しておくことで、目標達成率である「コンバージョン率」などが集計される。オプション項目である「目標」の「値」を設定しておけば、集計対象期間に達成された目標の合計金額換算値である「目標値」の指標も表示されるようになる。つまり、あなたが日々行っているサイト運営が、どれくらいビジネス(サイトの目的)に対して価値を生み出しているかがわかるようになるのだ。
「目標」の設定に関しては第6回の記事で触れているので、参考に設定をしていただきたい。
また、コンバージョン系レポートで出てくる目標完了(コンバージョン)数やコンバージョン率の定義に関しても第20回の記事で解説しているので、こちらも参照しておいてほしい。
どのくらい目標を達成したか? 成果の全体把握は[概要]レポートで
それでは、実際のレポートを見ていこう。各目標の成果とその全体像について確認できるレポートが、[コンバージョン]>[目標]>[概要]レポートだ(図1)。
レポート上部で「行った施策の成果が出ているか」を見る
レポートの上部(図2)と下部(図3)に分けて解説していこう。レポート本体上部の図2では「目標の完了数」の日別の推移が折れ線グラフで表示されている(図2赤枠部分)。「目標の完了数」は、コンバージョン数の総合計を意味している。ここでは集客施策などを実施したタイミングに対応して成果が出ているかどうかといったコンバージョン数の変動パターンを確認するとよいだろう。
また、複数の目標を設定している場合は、特定の目標だけに絞り込んで見ることもできる。それには、左上にある「目標のオプション」と書かれた部分にあるプルダウンを利用する(図2青枠部分)。標準では「すべての目標」が選択されているが、このプルダウンをクリックすると各目標を選択できる(図2緑枠部分)。
そこで「目標1:(目標1の名前)」などとあるうちの1つをクリックすることで、該当の目標だけに焦点を当てて見ることが可能だ。目的に応じて「全体のコンバージョンの状況」と「個々のコンバージョンの状況」を切り替えて見るとよいだろう。
レポート下部で目標ごとの指標を確認する
[概要]レポートの下部図3では、目標にかかわる指標群が表示されている(図3赤枠部分と青枠部分)。
表示されている指標は「目標の完了数」「目標値」「コンバージョン率」「目標全体の放棄率(詳しくは次回解説予定)」の4つと(図3赤枠部分)、目的別の目標達成回数を表す「目標nの名前(目標nの完了数)(「n」には数字が入る)」だ(図3青枠部分)。
4つの指標は、わかりやすく言うと次のようになる。
- 目標の完了数: 全体(各目標合計)の目標達成回数
- 目標値: 目標を達成した金額換算値の合計
- コンバージョン率: すべてのセッションに対する目標達成の割合
- 目標全体の放棄率: 目標を達成せずに途中離脱した割合
図3の例では、目標1から目標4まで4つの目標があり、それぞれの「目標の完了数」は「24」「0」「2」「50」となっている(図3青枠部分)。従って、目標の完了数(目標すべての合計目標達成回数)はその単純合計(24+0+2+50)の76(図3赤枠部分の左端)に合致するわけだ。
また先述した「目標のオプション」で特定の目標に絞り込むと、[コンバージョン]>[目標]>[概要]レポートには、選択した目標の「目標完了数」「目標値」「コンバージョン率」「目標の放棄率」の4つの指標だけが表示されるようになる。
「目標の完了の場所」は目標タイプが「イベント」なら発見がある
図3の下部では標準で「目標の完了の場所」が選択されており(図3緑枠部分)、目標の達成場所とその件数が表示されている(図3茶枠部分)。
「目標」設定で、目標のタイプを「到達ページ」(特定のページを閲覧することで目標達成とするタイプ)に設定している場合は、「その目標ページを踏んだセッション数」と同じ意味になるので、「目標nの名前(目標nの完了数)」の指標(図3青枠部分)と同じ数字になる。この場合は、何ら発見のあるレポートではない。
しかし目標のタイプが「イベント」であれば、「目標に設定したイベントが発生したページがどこなのか」を知ることができるようになる。
たとえば、「ある外部サイトのページへのリンク」がサイト内でいくつものページに配置してあって、その外部リンクをクリックしたらイベントで計測できるようにしており、そのイベントの発生を「目標」として設定しているとする。「目標のオプション」でその目標に絞り込んでから「目標の完了の場所」を見れば、「その外部サイトへ送客できた成果がどのページで発生しているのか」がひと目でわかる。
[概要]レポートでは、この「目標の完了の場所」は最大10行しか表示されない。もっと詳細を見たい場合は、右下の「レポート全体を見る」(図3黒枠部分)をクリックすれば[コンバージョン]>[目標]>[目標URL]レポートに移動するので、そちらですべての明細を確認しよう。
「目標パスの解析」レポートで意外なページを経由していないかを見る
もう1つ、同じく[コンバージョン]>[目標]セクションにある[目標パスの解析]レポート(図4)についても触れておこう。
[目標パスの解析]レポートは、目標の完了の場所(目標達成したページ)からさかのぼって3つ前までの閲覧ページの経路パターンを多い順に表示してくれるレポートだ(図5)。
レポートの見方を簡単に説明する。このレポートも目標のオプション(図5赤枠部分)が使えるので、まずは目標別の表示に切り替えよう。複数の目標をごちゃまぜにした状態で経路を見てもほぼ意味がないからだ。レポートの一番左の列が「目標の完了の場所」つまり「目標を達成したページ」になるので、目標のタイプが「到達ページ」の場合は、すべて同一のURLが表示されるはずだ(図5青枠部分)。
コンバージョンする前に見ていたページがわかる
重要なのは、その右側の部分だ。目標完了ページに対して「その1ページ前、2ページ前、3ページ前はどこにいたのか?」というパターンが、目標完了数(コンバージョン数)の多い順に表示されている(図5緑枠部分)。
表示されるのはページのパス以外にも「(entrance)」と「(not set)」の2つがある(図5黒枠部分)。それぞれの意味は次のとおりだ。
- (entrance): その後のページがランディングページである
- (not set): ランディングページ前のステップに便宜的に表示される(気にしなくてよい)
図5でいえば、一番上の例は目標完了ページの1つ前(目標の前のステップ-1)がトップページ「 / 」で、さらにその前(目標の前のステップ-2)が「(entrance)」となっている。つまり、コンバージョンの1つ前にいたのがトップページで、そこがランディングページだということになる。前から順番にたどると「トップページ(ランディングページ) → 目標完了ページ」の順にページを移動したということだ。
同じく2つ目の例は「目標の前のステップ-1」がいきなり「(entrance)」となっている(図5黒枠部分)ので、「目標完了ページがランディングページそのもの」という少々特殊な例だ。この例では「お問い合わせページ」を目標ページにしており、このページ自身が検索エンジンに直接インデックスされているので、こういうことが起きても不思議ではない。
コンバージョン近辺で想定にないページを見ていないか?
このレポートの見方としては「成果に貢献した誘導路から何かヒントがないかを探る」というのがポイントだ。「コンバージョンの近辺で、思いもかけないようなページを見ていないか?」を注意深く見てみよう。想定していないページがコンバージョンの直前にあれば、そのページから目標完了ページへのリンクが探しやすい場所に配置されているかを確認しよう。
ただし、設定した目標によっては当たり前の結果しか見えてこない場合も多い。たとえば「資料請求」が目標に設定されている場合、その目標完了ページ(資料請求完了ページ)にたどり着くには、お決まりの情報入力するフォームのステップが設けられている。そのため[目標パスの解析]レポートでは、そのステップで3ページ前までが埋め尽くされており、他のバリエーションがほとんどないこともある。
残念ながらそういう場合は「目標パスの解析」レポートから新しい発見は見いだせない。他のタイプの目標に絞り込んで、コンバージョン直前のページから何かヒントを見つけられないかを確認してみよう。
こういった閲覧ページ順のレポートには、「ページAからページBへのリンクを貼っていないのに、ページA→ページBという順番で閲覧がある」という不思議な現象がまれに起こることがある。
こうした閲覧ページ順を見るレポートでは、基本的には単純に「該当ページのリクエストがあった時刻」を順番に並べている。そのため、同じブラウザの複数のタブを使って複数のページを見ているような場合は、アクティブになっていなかった方のタブに切り替えてそちらのリンクを使ってページ移動した場合、こういうことが起こりえる。
不思議なページ順があまりに多い場合は、一部のページでトラッキングコードの貼り忘れなどのトラブルの可能性も考えられるので確認しておこう。
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