衣袋教授の新・Googleアナリティクス入門講座

Googleアナリティクスの最重要指標「コンバージョン」の正しい定義を知る[第20回]

GAで最も重要な成果指標である「コンバージョン」は、カウント方法に少し特徴がある。ここでは、コンバージョンの定義とカウント方法を解説する。

今回から何回かにわたって、Googleアナリティクスの「成果」にかかわる指標について解説していく。ここでは成果をカウントする基礎になる指標の「コンバージョン数」と、その割合を集計した指標の「コンバージョン率」について解説する。

第6回の記事でもコンバージョンの設定方法について触れているが、ここはアクセス解析の中でも特に重要な部分だ。コンバージョンの定義とカウント方法について、あらためて詳しく解説しよう。

この記事で学べること:
  • コンバージョン数とコンバージョン率を復習する
  • コンバージョンがカウントされる詳細な条件がわかる

「コンバージョン」と「目標」をおさらいする

Webサイトを訪問した人が、商品を購入したり資料請求したりするなどして、あらかじめサイトの管理者が設定した「Webサイトの目標」を満たす行動をとることを「コンバージョン」という

何をコンバージョンと定義づけるかは、サイトによってさまざまだ。ECサイトなら商品購入、顧客獲得サイトなら会員登録や資料請求が一般的だが、基本的には自由に選択できる。

Googleアナリティクスでは、あらかじめこの「目標」を設定することで、「コンバージョン」に相当する行動を定義づけることになる。目標を設定するのが、図1の画面だ。「管理」画面のビュー(図1赤枠部分)にある「目標」(図1青枠部分)で、目標の内容を設定していく。

図1:目標の設定画面
図1:目標の設定画面

「目標」は1つのビューで最大20個まで作成することができる。具体的な設定方法については第6回の記事を参照してほしい。

「目標」の設定が終わったら、各種レポートで「コンバージョン」が集計され始める。過去にさかのぼって集計されることはないので、必要になったら速やかに設定するようにしよう。

「コンバージョン数」と「コンバージョン率」を確認する

それでは「コンバージョン数」と「コンバージョン率」が確認できるレポートを見てみよう。まずは[コンバージョン]>[目標]>[サマリー]レポートだ(図2赤枠部分)。

図2:[コンバージョン]>[目標]>[サマリー]レポート
図2:[コンバージョン]>[目標]>[サマリー]レポート

このレポートの折れ線グラフの下には、集計対象期間に各目標が達成された数を表す「コンバージョン数」が、目標ごとに「目標1の名前(目標1の完了数)」「目標2の名前(目標2の完了数)」のように列挙されてる(図2青枠部分)

そして、それらすべての目標のコンバージョン数の合計であるのがその上の「目標の完了数」だ(図2緑枠部分)。図2の例では目標1のコンバージョン数が39、目標2のそれが62なので、その合計である101が「目標の完了数」の数値となっていることがわかるだろう(図2緑枠部分)。

そして「コンバージョン率」(図2茶枠部分)は、次の計算式で算出された率が表示されている。

コンバージョン率(11.49%)=全体の目標完了数(101)÷全体のセッション数(879)(※図2内にセッション数の表示はない)

集客系のレポートなどでは、全体あるいは各目標のコンバージョン数とコンバージョン率をセットで見ていくことができる。[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポートを例に説明しよう(図3赤枠部分)。

図3:[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポート
図3:[集客]>[すべてのトラフィック]>[参照元/メディア]レポート

一覧表示部の右上にある「コンバージョン」の右隣のプルダウン(図3青枠部分)で「すべての目標」を選択すれば、すべての目標の合計コンバージョン率と合計コンバージョン数が表示され(図3緑枠部分)、「目標1:(目標1の名前)」を選択すれば、目標1だけに絞り込まれたコンバージョン率とコンバージョン数が表示されるという具合だ。

このように、全体または各目標のコンバージョン数やコンバージョン率を見ることで、サイトの目標がどの程度達成されているかをひと目で把握できる。集客チャネル別に成果の達成度を見ることによって、「どの集客チャネルをもっと伸ばしていこうか、あるいはてこ入れしようか」といった具体的な施策につなげることができるのだ。

各目標のコンバージョン数は「1訪問で1回だけ」カウントされる

コンバージョンの数え方については第6回の記事の囲みでも触れたが、誤解されやすいポイントなので、厳密な定義をあらためて紹介しておこう。ポイントは下記の2つだ。

Googleアナリティクスにおいて、コンバージョンは次のような決まりがある。

  • 1訪問(セッション)で各目標は最大1回ずつしかカウントされない
  • 各目標のコンバージョン数は独立してカウントされる

まず1つ目のポイントから説明しよう。たとえば問い合わせを完了したときに表示される「ありがとうございましたページ」があり、異なる問い合わせに対しても、同じ「ありがとうございましたページ」が表示されるものとする。そしてこの「ありがとうございましたページ」のURLが同一で、このURLが表示されたことを「目標1」に設定しているとしよう。

あるユーザーが同じ訪問(セッション)内で2つの異なる問い合わせをして、同じ目標1のURLを2回表示したとする。この場合、目標1のコンバージョン数は2とはならず1になる。1訪問(セッション)内で一度達成した目標は、その後同じセッション内で何回表示しても2回3回と延べでカウントされないのだ。

つまり、コンバージョン数は目標URLのページビュー数をカウントするのではなく、ページ別訪問数をカウントしているのだ。なお「ページ別訪問数」については第16回の記事を参照してほしい。

どうしても延べ数でカウントしたい場合は?

上記の問い合わせの例で、どうしても延べ数でカウントしたい場合にはどのようにしたらようのだろうか。少し難易度が高いので本連載で取り上げるかは未定だが、その場合は「トランザクション」で計測するという方法がある。いわゆるeコマース計測の「トラッキングコードを実装する」というカスタマイズだ。

「トランザクション」はコンバージョンと同列に見ることのできるレポートも多く、1訪問(セッション)でトランザクションが複数発生した場合に最大1回しかカウントされないといった制約もない。本来は、eコマースサイトで詳細な購入データを収集する方法なのでやや実装のハードルが高いが、売り上げが発生しないサイトで使っても問題はない。

複数の目標は1訪問で1回ずつカウントされる

もう1つのポイントは「複数の目標を設定している場合」の話だ。たとえば、目標が2種類設定してあり(目標1と目標2)、同じ訪問(セッション)内でこの2種類の目標をそれぞれ1回ずつ達成した場合は、目標1と目標2それぞれにコンバージョン「1」がカウントされる。

たとえば次のような2種類の目標が設定されているとしよう。

  • 目標1:/abc/example1.html が表示されること
  • 目標2:/abc/example2.html が表示されること

そして、あるユーザーのあるセッションで次のようにページを閲覧したとする。

/abc/example1.html↓ /abc/example2.html↓ /abc/example1.html

このとき、コンバージョン数(目標の完了数)のカウントは次のようになる。

目標1の完了数:1目標2の完了数:1目標の完了数(合計):2

目標1のURLは2回閲覧があるが、「同じ目標はダブルカウントしない」という最初のルールが適用され、目標1の完了数は1となる。2つ目のルールで目標1と目標2はそれぞれカウントされるので、単純合計して(全体の)目標の完了数は2になるということだ。

1つのビューで目標は最大20個まで作成できる。それぞれを排他的(目標1に合致する場合は、他の目標に合致してはいけないといった条件)に設定する必要もないので、1回の訪問(セッション)で各コンバージョンが1ずつカウントされ、最大20コンバージョンまでカウントされることもあり得る。

そのため、目標を多数設定している場合に、コンバージョン率が「150%」など100%を超えるコンバージョン率が集計される可能性がゼロでないことは覚えておこう。

GoogleアナリティクスのコンバージョンとAdWordsのコンバージョンは違うもの

ちなみに、Googleアナリティクスの「コンバージョン」と、広告出稿サービスのGoogle AdWordsにおける「コンバージョン」は、同じ「コンバージョン」という言葉が使われているが、示している内容が違うので気を付けよう。

Googleアナリティクスはサイト解析が目的なので「ある訪問がコンバージョンに至ったかどうか」が重要だ。そのため、Googleアナリティクスの「コンバージョン」は、訪問(セッション)とひも付く概念であり、コンバージョンした訪問(セッション)があった日にカウントされる

一方、AdWordsは広告の費用対効果をトラッキングすることが目的なので、「ある広告に対するクリックがコンバージョンにつながったかどうか」が重要だ。そのため、AdWordsの「コンバージョン」は、コンバージョンが発生した時点ではなく、広告がクリックされた日に記録される

また、AdWordsでは、広告をクリックしたときの訪問でコンバージョンに至らずセッションが切れたとしても、その後別の訪問でサイト内でコンバージョンすれば、最後にクリックしたAdWords広告のクリックに「コンバージョン」がカウントされる。

つまり、AdWordsのコンバージョンは、カウントしている対象だけでなくカウントするタイミングもGoogleアナリティクスとは異なるのだ。つまり、同じ集計期間で計測してもそれぞれのコンバージョン数は異なることになり、ここで数字の比較をしても仕方がない。もちろん「5倍も数字が違う」といった場合はどちらかの計測が不具合を起こしているかもしれないので確認した方がよいが、それ以外で細かい詮索をしても意味はない。

このあたりの話を詳細に知りたい人は、グーグルのヘルプで詳しく比較されているので参照してほしい。

◇◇◇

📝筆者が継続的に主催している講座群(Google アナリティクス中心)に興味がある方はこちらをご確認ください。
http://xfusion.jp/train.html

用語集
AdWords / Googleアナリティクス / アクセス解析 / コンバージョン / コンバージョン率 / セッション / ページビュー / 訪問
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