成果を上げた訪問に絞り込んで成功要因を分析するには?――「コンバージョン達成」「トランザクション発生」セグメントを使おう(第5回)
成果に結びついた訪問に絞って分析したい
今回は、成果を上げた訪問に絞り込んでデータを見るために、「コンバージョンが達成されたセッション」と「トランザクションの発生したセッション」のセグメントを使う方法を説明する。具体的には、以下のような分析をすることで、コンバージョンを向上させるための知見を得たい場合だ。
- 成果を上げるタイミングに何か特徴があるかを確認するには?
- コンバージョンしたセッションにどういう特徴があるのかを確認するには?
- コンバージョンしたセッションで閲覧されたコンテンツを確認するには?
- eコマースで購入時のセッションに絞り込んで分析したいときには?
ビジネスは売上を上げるなどの成果を上げることが最重要課題だ。Webサイトでもeコマースをやっているなら「売上」を多く上げるのが至上命題となる。
そこまでストレートに結びつかなくても、たとえばB2Bサイトなどであれば、「将来お客さんになってもらえるかもしれない方からのお問い合わせや資料請求」といった営業のきっかけを得ることが、サイトの目的の大きな柱となるだろう。
こういった購入や資料請求時に、ユーザーはどのようなチャネルから訪問し、どのようなページを閲覧したのだろう。この成果を上げた際のユーザー行動に絞ってデータを見ることで、将来の成功の継続や発展には欠かせない発見があるに違いない。
「コンバージョンが達成されたセッション」と「トランザクションの発生したセッション」のセグメントを使うためには、前提条件がある。eコマースサイトならば、購入を把握するためにeコマースのトラッキングコードのカスタマイズが必要だ。eコマースサイトでない場合は、目標設定を最低1つしていることが必要だ。
eコマースのトラッキングコードと目標設定については、下記の記事を参照してほしい。
「コンバージョンが達成されたセッション」や「トランザクションの発生したセッション」を分けて分析できるようにする方法
ではさっそく、「コンバージョンが達成されたセッション」と「トランザクションの発生したセッション」のセグメントを利用してみよう。まず多くのレポートの左上にある[v]のようなマーク(図1赤枠部分)をクリックする。
これまでに自作のセグメントを作成したことがない場合は、デフォルトで用意されているセグメントが表示される(図2)。
「コンバージョンが達成されたセッション」は左上隅にあるセグメント(図2青枠部分)、「トランザクションの発生したセッション」はその2つ下にあるセグメント(図2緑枠部分)を選択しよう。
注:一覧表示(図2赤枠部分)を選択している場合や、自分ですでにカスタムセグメントを作成している場合などでは、図2と同じ見え方にはならない。
セグメント名が長い場合はリスト表示を使おう
セグメント名が長い場合は、最初の10文字くらいしか表示されないので、目的のセグメントをきちんと選べているかわからず、不安だ。今回の例で言えば、先頭に「コンバージョン」がついたセグメント名は標準に用意されているセグメントでも3つある。こういった時はビューの設定を標準の「グリッド表示」から「リスト表示」(図2赤枠部分、図3赤枠部分)に変更するとよい。
選択したいセグメント名は「コンバージョンが達成されたセッション」なので、リスト表示にした画面(図3)の一番上に表示されているセグメント(図3青枠部分)であることがわかる。このセグメント(図3青枠部分)をクリックすれば該当セグメントを選択したことになる(図3緑枠部分)ので、これで[適用](図3黒枠部分)をクリックすればよい。
成果を上げるタイミングに何か特徴があるかを確認するには?
ではさっそく、[ユーザー]>[サマリー]レポートに「コンバージョンが達成されたセッション」セグメントを掛けてみよう。全体と「コンバージョンが達成されたセッション」を比較して、成果するタイミングに何か特徴があるかどうかを確かめてみたい。
図4は[ユーザー]>[サマリー]レポートで「コンバージョンが達成されたセッション」のセグメントを追加して適用(図4赤枠部分)したものだ。
この例はある月のデータなので日別の折れ線グラフが上部に表示されているが、コンバージョンの上下動などにそれほど特徴はなかった。
季節性などを確認するために1年以上を集計期間に選択して、月次トレンドで見るといったことも有効だろう。
オンライン/オフラインで行っている自社のイベントやキャンペーン施策などと、Webサイトにおける成果との連動はどうなっているか確認するのもよいだろう。
コンバージョンしたセッションにどういう特徴があるのかを確認するには?
続いて集客面で、コンバージョンしたセッションにはどういう特徴があるのかを確認しておこう。具体的には[集客]>[すべてのトラフィック]レポートなどを利用しよう。
より細かく見ていきたい場合は、[集客]>[すべての参照]レポートや[集客]>[キーワード]>[オーガニック検索]レポートなどを見てもよいだろう。
[集客]>[すべてのトラフィック]レポートに「コンバージョンが達成されたセッション」セグメントを適用したのが図5だ。
チャネル別に全体とコンバージョンしたセッションを比較しても当たり前のことしかわからない。そこから得られる情報は、コンバージョンしたセッションでは直帰率がゼロで、全体に比べてコンバージョンしたセッションは滞在時間が長く、セッションあたりのページビュー数は、多いといったぐらいで、特に施策に反映できるものではない(図5赤枠部分)。
むしろコンバージョンしたセッションの新規セッション率(図5青枠部分)の違いなどの特性を、集客チャネル別に把握/比較するほうが意味があるだろう。
コンバージョンしたセッションで閲覧されたコンテンツを確認するには?
続いてコンバージョンしたセッションはどういうコンテンツを閲覧したのかも確認しておこう。具体的には[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートなどを利用しよう。
[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]に該当セグメントを適用したのが図6だ。
この出力では直感的にわかりにくいが、「全体でのページビューの順位」と「コンバージョンしたセッションでセグメントしたページビューの順位」のギャップを見ることで、コンバージョンしたセッションに重要となるページを発見できるかもしれない。
またページの価値の指標で、全体とコンバージョンしたセッションのギャップが大きいページ(図6赤枠部分)もコンバージョン時に重要なページかもしれない。
「このページを見た人は、コンバージョンしやすいのではないか」という仮説が立てられたら、そのページへの誘導を増やすなどしてみるとよいだろう。
「コンバージョンが達成されたセッション」セグメントの弱点
標準で用意されている「コンバージョンが達成されたセッション」セグメントだが、弱点があるとすれば、複数の目標を設定している場合に、絞り込みが甘くなるということだ。
目標設定は最大20個まで可能で、この「コンバージョンが達成されたセッション」は、どれか1つ以上の目標が達成できたセッションがすべて対象になるので、1つ1つの目標に対してセグメントを掛けていることにはならない。
そこで、特定の目標設定に関してコンバージョンしたセッションに絞り込むセグメントの設定方法を解説する。
1つの目標に絞り込んでセグメントを掛けるには?
特定の1つの目標に対してセグメントを掛けたいのであれば、カスタマイズしたセグメントを作成してしまおう。セグメントを新規作成するには、セグメント機能の左上にある「+新しいセグメントを作成」(図7赤枠部分)をクリックする。
すると図8のようなセグメントの新規作成画面になるので、まずセグメント名(図8赤枠部分)を入力し、「条件」(図8青枠部分)をクリックする。そして右側の部分に条件を指定していく。
ここでは、4番目の目標を達成したセッションを絞り込むセグメントの設定の場合を想定し、条件選択のプルダウンで「目標」と検索(図8緑枠部分)して、「目標 4(目標 4の完了数)」を選択し、セッションが0を超えるという指定(図8黒枠部分)を行えばよい。必要に応じて、目標の数だけこの作業を繰り返そう。
- セグメント名(図8赤枠部分)を入力する
- 「条件」(図8青枠部分)をクリックする
- 条件選択のプルダウンで「目標」と検索(図8緑枠部分)する
- 「目標 4(目標 4の完了数)」[セッションごと][>][0]を選択する(図8黒枠部分)
- [保存]ボタンをクリックする
eコマースで購入時のセッションに絞り込んで分析したいときには?
eコマースサイトで、目標設定(コンバージョン)ではなく、実際の購入行為をトラッキングコードのカスタマイズで計測している場合に、購入行為(トランザクション)が発生したセッションに絞り込んで分析したいときには、もう1つのセグメントである「トランザクションの発生したセッション」セグメントを使おう。
図2(下に再掲)では一番左の列の上から3つ目にあるセグメント(図2緑枠部分)だ。リスト表示では、図3(下に再掲)茶枠の位置だ。
「トランザクションの発生したセッション」セグメントは、eコマースサイトにおいて、eコマースのトラッキングコードでユーザーの購入行為を取得している場合にのみ使えるセグメントだ。繰り返しになるが、下記の記事を参照して、あらかじめカスタマイズしておこう。
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