高額購入ユーザーの属性・来訪経路・購入商品の特徴をアクセス解析データで分析するには?(第22回)
eコマースサイトで買い物総額の多いユーザーの属性や来訪経路、購入商品を知りたい
今回は、eコマースサイトで一定額以上の買い物をしているユーザーの属性、来訪経路、購入商品を分析する方法を説明する。使うのは次のセグメントだ。
- eコマースサイトで一定金額以上を購入しているユーザー
ビジネスで重要なのは、効率の良い運営ができているかどうかだ。eコマースなどの商品販売でも同じで、新規ユーザーを回転よく獲得するよりも、高頻度の購買ユーザーや一定額以上の購買ユーザーを増やすほうが、効率が良い。
扱っている商材によって、品揃え、価格帯、季節性などさまざまな要因が変わるので、「こうすればどのサイトでも成功する」なんてことは考えにくい。しかし、だからこそ自分のサイトをよく利用してくれるユーザーのことは自分で把握し、より深いユーザー理解を行うことで、良い点を伸ばすことを考えよう。
今回は、一定額以上の購買ユーザーに焦点を当てて、そこからさらに成果を上げるためのヒントを探る方法を考えてみたい。
Googleアナリティクスでeコマースサイトのデータを分析にするには、あらかじめ「eコマースのトラッキングコード」を設定しておく必要がある。詳しくは、以下の記事を参照してほしい。
一定額以上の購買ユーザーを分析できるようにする方法
標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。
まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。
「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。
新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図3赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「eコマース」(図3青枠部分)を選択しよう。図3はその「eコマース」を選択した画面だ。
今回のセグメント「eコマースサイトで一定金額以上を購入しているユーザー」の条件設定は、図3緑枠部分で行う。「収益」とは、eコマースのトラッキングコードで収集した販売額のデータを意味する指標だ。
たとえば集計期間中に「3万円以上購入した人」を指定したい場合は、図4の赤枠部分のような設定内容になる。
これは「1回の訪問で3万円」ということではなく、ユーザー単位で1人が累計で3万円以上購入すれば対象としたいセグメントなので、「ユーザーごと」「以上(≧)」「30000」と指定(図4赤枠部分)する。このように指定した上で、「3万円以上購入した人」というようなわかりやすいセグメント名を付け、セグメントの設定を「保存」(図3黒枠部分)しよう。
「重要ユーザー」の線引きをどこにするか?
2割のユーザーが売上や利益の8割を占める「にっぱちの法則」などでも知られる「パレートの法則」というものがある。ユーザーをこの2割の重要ユーザーと残り8割の2分割にするのが典型的だが、上中下のような3分割もありだろう。
サイトによっては、「上」のユーザーではなく、「中」のユーザーが重要かもしれない。そのような場合にセグメントの設定は、図5のように「条件」分類(図5赤枠部分)のセグメントで、条件を組み合わせて(図5黒枠部分)指定していくとよいだろう。図5の例は、「1万円以上3万円未満購入した人」のセグメント設定内容だ。
ユーザー単位で絞り込みたいので、フィルタの指定は「ユーザー」「含める」と指定(図5青枠部分)し、購入金額の条件は図5緑枠部分のように、
- 「収益」「ユーザーごと」「以上」「10000」
- 「収益」「ユーザーごと」「未満」「30000」
と指定する。
どのくらいの金額でこの上中下の区分けをしたらいいかは、
- 平均注文額
- リピート購入頻度
- 季節変動の有無
などにもよるが、複数の金額範囲を指定したセグメントをいくつか作成しておくとよいだろう。
高額購入ユーザーの属性を確認するには?
次にこのセグメントをどう活用していくのかを見ていこう。まずはユーザー属性の確認からだ。自分たちがコアターゲットだと思っているユーザー像と高額購入ユーザー層が違っていたりすることはないだろうか。
売上管理システムは別途見ていると思うので、わざわざGoogle アナリティクスのレポートでユーザー属性を確認する必要はあまりないかもしれない。またユーザーの分布のレポートを有効にするためには、トラッキングコードのカスタマイズも必要で、かつ、実際の性別や年齢は推測値なので、正確性に乏しいデータだ。もしこれらの準備をしてあるのであれば、参考になるかもしれないくらいの気持ちで見てほしい。
なお、トラッキングコードのカスタマイズについては、以下の記事を参照していただきたい。
[ユーザー]>[ユーザーの分布]>[年齢]レポートに「3万円以上購入した人」のセグメント(図6赤枠部分)を追加で掛けたのが図6だ。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
- メニューが開くので、[ユーザーの分布][年齢]を順にクリックする
- 「3万円以上購入した人」セグメント(図6赤枠部分)を「適用」する
図6の画面で、「eコマース」指標グループ(図6青枠部分)を選択したときのレポート一覧表示部が図7だ。
セッション数(図7赤枠部分)や平均注文額(図7青枠部分)について、全体と「3万円以上購入した人」セグメント(図7緑枠部分)を比較する、あるいは購入者全体と「3万円以上購入した人」セグメントを比較することで、高額購入ユーザー層にどのような特徴があるのかを見てみよう。
購入者全体と高額購入者の属性を比較するには?
購入者全体セグメントを比較するしたい場合は、「コンバージョンに至ったユーザー」を利用しよう。「コンバージョンに至ったユーザー」は標準に用意されている「システム」分類(図8赤枠部分)のところの2つ目(図8青枠部分)にあるので、これを選択すればよい。
購入者全体と高額購入者の集客チャネルを比較するには?
次は集客チャネルに大きな違いがあるのかどうかを見ておくべきだろう。
[集客]>[すべてのトラフィック]レポートにセグメントを掛けたのが図9だ。ここでは購入者全体と比較するため、「コンバージョンに至ったユーザー」と「3万円以上購入した人」セグメントを掛けた(図9赤枠部分)。
- 画面左側にあるメニューで、[集客]をクリックする
- メニューが開くので、[すべてのトラフィック]をクリックする
- 「コンバージョンに至ったユーザー」セグメントと「3万円以上購入した人」セグメントを「適用」する
購入全体と高額購入ユーザー層の集客チャネルの違いがあるのかという点を確認するためには、
- 自社から送っているメルマガなどが相対的に高い貢献を示しているのか
- 意外なチャネルがないか
を、収益(売上高のこと)(図9青枠部分)と平均注文額(図9緑枠部分)などの指標を中心に見ていくのがよいだろう。
購入者全体と高額購入者の購買商品に違いがないかを調べるには?
最後は購入者全体と高額購入ユーザー層の間に売れた商品に違いがあるのかどうかだ。
まずは大雑把に捉えるために、商品カテゴリのレベルでどのような違いがあるのかを見るとよい。[コンバージョン]>[e コマース]>[商品の販売状況]レポートで、プライマリ ディメンションで「商品カテゴリ」を選択(図10赤枠部分)する。そして「コンバージョンに至ったユーザー」と「3万円以上購入した人」セグメントを掛けた(図10青枠部分)のが図10だ。
- 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
- メニューが開くので、[e コマース][商品の販売状況]を順にクリックする
- プライマリ ディメンションで「商品カテゴリ」(図10赤枠部分)を選択する
- 「コンバージョンに至ったユーザー」セグメントと「3万円以上購入した人」セグメントを「適用」する
キャンペーン商品などが高額購入ユーザー層にも受け入れられているのかなど、その時々の問題意識に応じて見方を変えてみよう。
気になった「商品カテゴリ」があったら、該当のカテゴリ(図10黒枠部分)をクリックして「商品」「商品のSKU」レベルにドリルダウンして確認してもいいし、直接「商品」「商品のSKU」のプライマリ ディメンションを選択(図10緑枠部分)してレポートを見てもよいだろう。
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