eコマースサイトで購入額の低いユーザーを分析して、1人あたり購入額を増やすには?(第36回)
購入単価の低いユーザーを分析して、1人あたり購入額を増やしたい!
今回は、一定額以下の購買ユーザーに焦点を当てて、そこから購入額を増やすため、あるいはそういうユーザーを避けるための方策がないかのヒントを探ってみたい。
今回紹介するセグメントは次のものだ。
- eコマースサイトで一定金額以下を購入しているユーザー
ビジネスで重要なのは、効率の良い運営ができているかどうかということだ。eコマースなどの商品販売でもそれは言えることで、新規ユーザーをコンスタントに獲得するよりも、高頻度の購買ユーザーや一定額以上の購買ユーザーを増やすほうが、一般的には効率が良い。
しかし商売は思ったとおりにはいかないもので、運営者の意図とは違う商品が大ヒットしたけれども在庫がなかったり、原価率の高い商品ばかりが売れたりするものだ。購入単価の低いユーザーも、効率が悪い代表格だ。
第22回で紹介した「高額購入ユーザーの属性・来訪経路・購入商品の特徴をアクセス解析データで分析するには?」は、逆に一定金額以上を購入しているユーザーのセグメントを扱っているので、そちらとセットで読んでいただいてもよいだろう。
また、Googleアナリティクスでeコマースサイトのデータを分析にするには、あらかじめ「eコマースのトラッキングコード」を設定しておく必要がある。詳しくは、以下の記事を参照してほしい。
購入単価の低い顧客を分析できるようにする方法
標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。
まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。
「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。
新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図3赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「条件」(図3青枠部分)を選択しよう。図3はその「条件」を選択した画面だ。今回設定するセグメントの条件は、図3緑枠部分で行う。
今回設定するセグメントは「eコマースサイトで一定金額以下を購入しているユーザー」だ。「一定金額」はいくらでもいいのだが、今回は1万円としよう。たとえば集計期間中に「1万円未満の購入ユーザー」を指定したい場合は、図4のような設定内容になる。
1回の訪問で1万円ということではなく、ユーザー単位で1人の購入額が累計で1万円未満である場合に対象としたいので、「フィルタ」の横は「ユーザー」「含める」を選択する(図4赤枠部分)。
次に、収益が0を超え、かつ1万円未満と指定する。その指定方法は、次のとおりだ。
- まず「収益」「ユーザーごと」「未満」「10000」と指定する(図4青枠部分)。
- 次に、「AND」をクリックする(図4緑枠部分)。
- さらに「収益」「ユーザーごと」「超える」「0」と指定する(図4黒枠部分)。
- セグメントの設定を「保存」する(図3黒枠部分)。
比較対象として「購入したユーザーセグメント」を使うには?
あとは、購入したユーザー全体と比較するのがよいので、そのセグメントも紹介しておこう。こちらは標準で用意されている「購入したユーザー」セグメントを利用すればよい。「システム」分類(図5赤枠部分)をクリックして表示される一覧の中に見つけられるはずだ(図5青枠部分)。
1万円未満の購入ユーザーの割合を調べるには?
次に、このセグメントをどう活用していくのかを見ていこう。
まず[ユーザー]>[サマリー]レポートに「購入したユーザー」と「1万円未満の購入ユーザー」のセグメントを掛けた(図6赤枠部分)レポートを見てみる。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
- メニューが開くので、[サマリー]をクリックする
- 「購入したユーザー」「1万円未満の購入ユーザー」セグメント(図6赤枠部分)を「適用」する
図6青枠部分を確認しよう。例ではマスクしてあるが、「1万円未満の購入ユーザー」の比率は「購入したユーザー」の3割弱程度だった。
その他の指標を見ると、「1万円未満の購入ユーザー」で直帰率が相対的に高いという当たり前の結果となっていた。
「1万円未満の購入ユーザー」の集客チャネルに特徴があるか分析するには?
次は、集客チャネルに大きな違いがあるのかどうかを見ておくべきだろう。
[集客]>[すべてのトラフィック]レポートに「購入したユーザー」と「1万円未満の購入ユーザー」の2つのセグメントを掛けた(図8赤枠部分)のが図8だ。指標グループは「eコマース」を選択(図7赤枠部分)するのがよいだろう。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[集客]をクリックする
- メニューが開くので、[すべてのトラフィック]をクリックする
- 「購入したユーザー」「1万円未満の購入ユーザー」セグメント(図8赤枠部分)を「適用」する
- 指標グループで「eコマース」を選択する(図7赤枠部分)
[集客]>[すべてのトラフィック]レポート(図8)では、購入ユーザー全体と低額購入ユーザー層の集客チャネルの違いがあるのかどうかという点を確認しよう。
注目すべき指標は、平均注文額(図8青枠部分)とeコマースのコンバージョン率(図8緑枠部分)の2つ。各セグメントの全体と各チャネル同士での差異が大きいチャネルがないか探してみよう。
もしそのようなチャネルがあれば、自社から送っているメルマガなどで安売りに誘導していないか、安売りで思い当たるキャンペーンや商材を扱っていなかったかなど、理由を考えてみよう。
低額購入ユーザーが購入している商品に特徴がないか分析するには?
最後は、購入したユーザー全体と低額購入ユーザー層の間に売れた商品に違いがあるのかどうかを調べよう。まずは大雑把に捉えるために、商品カテゴリのレベルでどのような違いがあるのかを見るとよい。
[コンバージョン]>[e コマース]>[商品の販売状況]レポートで、プライマリ ディメンションで「商品カテゴリ」を選択(図9赤枠部分)する。そして「購入したユーザー」と「1万円未満の購入ユーザー」の2つのセグメントを掛けた(図9青枠部分)のが図9だ。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
- メニューが開くので、[e コマース][商品の販売状況]を順にクリックする
- プライマリ ディメンションで「商品カテゴリ」を選択する(図9赤枠部分)
- 「購入したユーザー」「1万円未満の購入ユーザー」セグメントを「適用」する(図9青枠部分)
特売品のカテゴリは平均価格が普段より安くなっているのかなど、その時々の問題意識に応じて見方を変えてみよう。
たとえば図9では平均価格が2つのセグメントで大きく差異の出た商品カテゴリ(図9緑枠部分)は納得のいくものだろうか。気になった「商品カテゴリ」があったら、該当のカテゴリ(図10黒枠部分)をクリックして「商品」「商品のSKU」レベルにドリルダウンするとよいだろう。
あまり買っていただけないお客様の購入商品と、普通の、あるいは多く買っていただけるお客様の購入商品にはどういう違いがあるのだろうかを分析し、購入額を増やすにはどうすれば良いかを考える際のヒントを得よう。
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