20代女性マーケターのキャリアとプライベートの在り方を考える『#20代マーケピザ ~女性の活躍編~「こうありたい」を叶える、私の選択と未来の創り方』と題したイベントが6月27日、東京・新宿のLINE株式会社で開催されました。当日は女性を中心に100人の参加者が詰めかけるイベントになりました。
イベントは1部と2部で分かれており、1部ではイベント主催者である株式会社ムーンショット代表取締役CEO・菅原健一さんと、株式会社ウツワ代表取締役・ハヤカワ五味さんの講演、2部では現在活躍している女性経営者、学生団体代表の3人と菅原さんによるトークディスカッションが行われました。
Marketing Nativeでは、今回のイベント概要をまとめた速報版と、トークおよび会場での質疑応答を網羅した完全版の2回に分けてレポートします。
(取材・文・撮影:Marketing Native編集部・岩崎 多)
「#20代マーケピザ」とは?
菅原健一さんが、注目のビジネスパーソンら多彩なゲストを迎えて、20代の若手マーケターにとっての学びの場を提供するイベントです。2018年から不定期に開催されています。
参加条件はいくつかありますが、20代であることと、リアルタイムで学びをハッシュタグ「#20代マーケピザ」をつけてツイートすることがメインです。そのため、参加できなかった人もハッシュタグをたどってイベントの様子を知ることができます。
イベントタイトルになっているピザが毎回振る舞われるのも特徴で、各種ケータリングが用意されました。「HIGH FIVE SALAD」のパワーサラダも来場者に用意され、休憩時間には行列ができるほどでした。
菅原健一さんのオープニングトーク
まずは菅原さんによる「はじめてのマーケティング」と題した講演が行われました。
菅原健一(すがわら・けんいち)
アドテクノロジー企業のスケールアウト、KDDI子会社のmediba、SupershipのCMOを歴任し、2016年にスマートニュースのブランド広告責任者とBtoBマーケティング責任者を務める。18年に独立し、企業の10倍成長を支援するアドバイザー会社・ムーンショットを創業し代表取締役CEOとなる。
Twitter:@xxkenai https://moonsh.jp/
★講演のポイント★
・マーケティングとは商売そのもの
Product(商品・サービス)、Price(価格・支払い)、Place(売り場・提供方法)、Promotion(広告・PR)の4Pすべてが扱う範囲であり、その意識が経営者にないと「広告宣伝」だけになってしまう。
・正しいマーケティングとはPMF(Product Market Fit)することである
購買までのファネルには種類があるが、すべて①「知って」②「欲しくなって調べたりしながら」③「買う」という構造になっている。1万人が知って3人が買うという商品の場合、日本人全員が知っている状態でも3万人しか買わないことになり、大きなビジネスになりにくい。PMFを意識して最適なプロダクトを投入していけば、3/10000という数値を限りなく1に近づけていくことができる。
・ブランディングの重要性
マーケティングを行っても弱いブランドは選ばれないため、利益を出せる強いブランドを構築していかなければならない。商品の価格が原価と利益から構成されているように、商品は製品にブランドを加えたものと捉えることができるので、ブランドは利益に直結する。
ハヤカワ五味さんの講演
続いて、ハヤカワ五味さんの講演に移りました。直近では生理用品のセレクトショップのプロジェクト「illuminate」(https://illuminate-pjt.com/)が話題となっており、7/29まで東京・渋谷の青山ブックセンター本店でポップアップストア(期間限定ショップ)が開催されています。
ハヤカワ五味(はやかわ・ごみ)
1995年生まれ、東京都出身。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。課題解決型アパレルブランドを運営する株式会社ウツワ代表取締役。 高校1年生の頃からアクセサリー類の製作を始め、プリントタイツ類のデザイン、販売を開始。《GOMI HAYAKAWA》《feast》《ダブルチャカ》と複数のブランドを立ち上げている。2018年にはラフォーレ原宿に常設直営店舗《LAVISHOP》を出店。
Twitter:@hayakawagomi https://utw.co.jp/ https://illuminate-pjt.com/
ハヤカワさんは、若者視点から見た現代の消費動向について20分ほどの講演を行いました。
その中でポイントのひとつとして、新たな造語「傷つきたくない文化圏」を提示して説明しています。
★講演のポイント★
人は誰しも傷つきたくないものですが、インターネットや各種アプリの登場で傷つかなくて済む状況が実現しており、これからは「傷つかない消費」が増えるだろうと予測しています。傷つかない消費の例として、主に以下の例を挙げました。
・ZENLY
現在位置の情報を共有するアプリ。現在位置を知ることで相手の行動を予測し、自分が傷つかないようにしている。
例)彼氏からLINEの返信がないが、東京ドームにいることがわかると、野球を見てるからと理由がわかり、安心できる。
・裏垢
アカウントを複数持ち、話題ごとにクラスタを切り替えることで傷つかずに済む。
例)日常に使用するアカウントで旅行の話をつぶやくと「いろんな所に行けていいですね」など嫌味のコメントが来ることがあるが、旅行用に別のアカウントを持てば、フォロワーも同じクラスタなので批判コメントが来ることは少ない。
また、若者に緩やかな貧困が進んでいることで、余裕がなくなってきているということも併せて指摘し、これからのブランドには「余裕がないことを理解し寄り添う」「その上で多くの人にとって良き世界を描く」ことが大切になるとまとめました。
ゲスト3名を迎えたトークディスカッション
休憩を挟んだ第2部では、菅原さんと新たに3人のゲストが登壇し、今回のメインテーマである、女性のキャリアと幸せについて考えるトークディスカッションが行われました。
岩瀬昌美(いわせ・まさみ)
MIW Marketing & Consulting Group, Inc. 代表取締役社長CEO。加州立SDSU校にてMAを取得後、三洋電機本社の女性初の総合職として入社し、海外広報を担当。 その後再渡米し、加州立LB校にてMBAを取得。 マルチカルチュラル最大手の 広告代理店 やAT&T、米国初のオンラインデリバリーサイトのKozmo.comを経て、2002年に「MIW Marketing & Consulting Group, Inc」 を設立。2012年より米国において「食育(Shoku-iku)」プロジェクトを推進するため、子ども向けの食育教室を開催。著書に『できるアメリカ人11の「仕事の習慣」』(日本経済新聞出版社)。
中村朝紗子(なかむら・あさこ)
株式会社 Morning Labo代表、撮影女子会ファウンダー。在学中、プロのヘアメイク・カメラマンとともに1日ヒロイン体験を楽しめる「撮影女子会」を立ち上げる。撮って語りたくなる体験から、熱量あるシェアを生み出す「フォトジェニック・マーケティング」を提唱。消費者(主にF1層女子)のリアルな共感からSNS上の高いエンゲージメントにつなげることをゴールに、商業施設の空間やPRイベント企画、広告ビジュアルのプロデュースを手がけている。
Twitter: @monichild
大山友理(おおやま・ゆり)
2000年生まれ。学生団体Women’s Innovation代表。Business Insider JapanとNEXTWEEKENDにてインターン。2017年4月、異なる女子校に通う友人3人とともに、学生団体を設立。「強くしなやかに生きる多様な女性のロールモデルに私たち自身が出会い、発信し、その機会を提供する」ことが活動テーマ。
Twitter:@Yuri20009
3人はこれまでの自分の人生を振り返りつつ、女性のキャリア形成について語りました。来場者のしおリスクル(@shioliskul)さんから、女性の理想の幸せの形について質問を受け、3人は以下のように回答しました。
岩瀬さん
「女性だからこうしなければならない」という前提条件は疑ったほうが良いです。自分は子どもを産んで育てたことで、仕事だけの人生ではなく母親の役割も担うことができました。1回きりの人生だから、多様な役割を持つことのできるほうが良いと思います。結婚と仕事の両立はできるし、他人にできることが自分にはできないと考えないようにしましょう。
中村さん
「女性は結婚したら幸せ」とか、「こうすればかわいい」などの周囲の声は「呪い」です。呪いに負けず、自分がどうしたいかを基準に貫き通すべきだと思います。ディズニー映画のプリンセスの在り方も、自立した女性へと変わってきています。これからは女性も精神的・経済的に自立していくことが求められるのではないでしょうか。
大山さん
家事代行サービス「タスカジ」CEOの和田幸子さんに取材した際、結婚してよかったことを聞きました。そのとき和田さんが話していたのは、自分自身が起業というハイリスクを負うにあたり、旦那さんは会社員を続けるというローリスクな道を選択してくれたので、そのようなパートナーに巡り合えてよかったということです。
こうして19時半から始まったイベントは22時過ぎに終了。最後に登壇者とイベント参加者による写真撮影が行われました。次回の「#20代マーケピザ」イベントは7月に開催予定ですが、すでに満席とのことです。
講演やトークディスカッションの内容を詳しくまとめた記事は7月上旬掲載予定です。お楽しみに!
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