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LINEでここまでできる! 最新APIで実現できる16の活用事例 【電通デジタルコラム】

BOT BOOSTaRの事例を中心に、電通デジタル コマースデザイン事業部の星野大吾氏がLINE公式アカウントの使い方を紹介。

圧倒的な普及率・利用率を誇り、メッセンジャーアプリから「ライフプラットフォーム」[1]へと進化を続けているLINE。2019年の「リデザイン」以降、単なる情報配信媒体ではなく、ブランドの顧客体験をつなぐ存在として活用されはじめています。

LINE社から「ユーザーと企業との関係性を高めるようなサービスを提供することに優れている」と評価されたBOT BOOSTaR®の事例を中心に、電通デジタル コマースデザイン事業部 ソフトウェアエンジニア & ITストラテジストの星野大吾がLINE公式アカウントの使い方を紹介します。

(この記事は、10月25日〜10月29日に開催した「Commerce Week 2021」のセッションの採録です。)

※脚注(出典) 1.  "特集:LINE事業 - ビジョンと戦略". Zホールディングス.(2021年12月6日)2022年2月17日閲覧。


ライフプラットフォームとなったLINE

セミナー冒頭、「日本において、生活のあらゆる場面で幅広く使われているLINEは、メッセンジャーアプリからスタートし、24時間365日生活のすべてを支える『ライフプラットフォーム』へと進化してきました」と星野は切り出しました。LINEは全世代で幅広く使われており、企業から見れば顧客接点を創出する上で非常に魅力的な媒体ということができます。

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(2021年10月29日ウェビナー資料より)

その特徴をいくつか数字で見ると、国内MAUは9000万人以上(2021年12月末時点)。これは日本の人口の70%以上をカバーする数値です。世代別で見ても、デジタルに疎いと思われがちの60代後半でも6~7割以上が毎日LINEを利用するなど、まさに日本全体を最も広くカバーする媒体のひとつであることが分かります。さらにほかのSNSと比べると「LINEのみ利用」というユーザーが多く、他のメディアではリーチできない層が存在しているのもLINEの特徴です。
※LINEの国内⽉間アクティブユーザー 9,000万⼈÷⽇本の総⼈⼝1億2541万⼈(令和3年4⽉1⽇現在(確定値) 総務省統計局)

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(2021年10月29日ウェビナー資料より)

では、そんなLINEをマーケティングツールとして見るとどうでしょうか。顧客体験を、認知から購入、ロイヤルカスタマー化するまでのデュアルファネルとして見たとき、通常は広告、LP、ECサイト、メルマガ、会員限定サイトなど複数の施策・媒体を組み合わせてようやく顧客体験全体をカバーできていました。ところがLINEであれば、そのすべてのステップに対して一元的にアプローチすることが可能になります。「これがLINEの新しい使い方」だと星野は強調します。

LINEのMessaging APIを活用した16の事例を紹介

次に、物販業界で電通デジタルのBOT BOOSTaR®を活用して何ができるのか、16の事例を紹介しました。

事例1:LINEのトーク上で決済まで完結
まず星野が取り上げたのは、販促で利用するケース。例えば、LINEのトーク内ではカルーセルメニューで商品を表示できますが、ユーザーが商品をタップした後はWebサイトに飛ばすのが一般的です。

しかしBOT BOOSTaR®を使えば、欲しい商品をタップしたらLINE Payを使ってその場で決済することが可能になります。またECサイトとLINEのID連携をすることで、買い物カゴに入れたまま購入を忘れている商品(カゴ落ち)のリマインドや、リピート購入のレコメンドなど、ユーザーに応じてカスタマイズした通知を送ることもできます。「従来はECサイトとメールで分断されていたものが、LINEならユーザーへの通知から購入まで1つのプラットフォームで完結するのが大きなメリットです」(星野)。

事例2:対話型アンケート

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(2021年10月29日ウェビナー資料より)

次に紹介したのは、対話型アンケート。レシート応募キャンペーンをLINE公式アカウント内で実施し、同時に顧客データを収集した事例です。キャンペーンの具体的な内容は、対象商品を購入した人に限定してアンケートを実施し、抽選でプレゼントを贈るというものでした。

従来は、LINEでできるのはキャンペーンの告知までで、別途用意したWebサイトの中でレシート写真をアップロードし、アンケートに答えてもらう必要がありました。最新のAPIを利用すると、トーク内でアップロードされたレシート画像をOCR(光学文字認識)で対象商品の購入を確認、自動的にアンケートを送付するような運用が可能となります。アンケート自体もトーク内で実施することができるため、煩雑な画面遷移なしにシームレスに実施することが可能です。

事例3:独自クーポン配布
続いて、独自クーポン配布の事例を紹介しました。LINE公式アカウントにもクーポン機能はありますが、「弱点はIDに紐付けて誰が使ったのかを確認できないこと」と星野は指摘。一方でLINEのMessaging APIを使うことで「クーポンを使った人」「表示はしたけれど使っていない人」「いつ使ったか」「何回使ったか」といった詳細な情報をすべて把握できるようになります。前述した事例2のアンケート事例と組み合わせれば、対象商品を購入した人にアンケートを送付し、回答者にクーポンを提供するといった一連の流れをLINE上で完結できます。

事例4:アカウント統合(友だち誘導施策)
LINEアカウントの統合も、APIを使えばスムーズです。例えば、複数店舗を運営するチェーンが、店舗別に運用していたアカウントを統合アカウントに移行するケース。店舗別アカウントに統合アカウントの案内を表示し、移行した既存顧客にだけプレゼントを配布する施策を行いました。「全員一律にインセンティブを配るではなく、必要な人に必要なインセンティブを渡せるのがAPIを使うメリット」と星野は説明しました。

事例5:Webサイトと連携した情報配信
さらに、APIを利用してメッセージ配信運用の省力化も可能です。例えばWebサイトに掲載した情報をLINEでも配信するケース。通常はWebサイト向けに編集した情報を集め、改めてLINE向けに配信する作業が必要になり、WebサイトとLINEの両方を手動で常に最新状態に保つのは、結構な労力がかかる上、ミスも発生しやすくなります。そこでAPIを利用すれば、Webページの情報を自動的にスクレイピングで取得し、LINE向けに成形して配信することが可能です。

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(2021年10月29日ウェビナー資料より)

事例6:MAツールとの連携

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(2021年10月29日ウェビナー資料より)

MAツールを導入しているものの、LINEだけは連携できず別施策になっているというケースでは、BOT BOOSTaR®を通すことでMAツールと連携可能に。LINEも含めて顧客データをMAツール上で一元管理できるようになります。またお客さまが実店舗に来店された際に、お客さまからLINEでいただいていた質問を手元の接客システム上で参照することも可能です。

事例7:位置情報を利用した店舗検索
LINEのMessaging APIは店舗検索への活用も可能です。LINE上で位置情報を送信すると、近くにある店舗を表示し、Googleマップなどへ遷移してナビゲーションを開始することもできるようになります。

事例8:対話型の商品検索
トーク内のメッセージのやり取りによる商品検索を実現できます。メッセージで送られた検索条件に応じて結果を表示することで、お客さまがより簡単に最適な商品にたどり着けるようになります。

事例9:お気に入り店舗登録
4つ目の事例でLINE公式アカウントの統合をご紹介しましたが、アカウントを統合してもお客さまごとに店舗の案内を出したいケースがあると思います。お客さまに「よく利用する店舗」を登録していただき、その店舗をよく利用するお客さまだけに情報を配信したりクーポン発行をしたりすることが可能です。メッセージの無駄打ち削減によるコスト圧縮に加えて、「お客さまにとっても自分に関係があるメッセージだけが受信されるので、ブロック率の低減や開封率向上、ブランド好意度向上につながる」と星野はメリットを説明しました。

事例10:セグメント配信
「お気に入り店舗」のようなLINE内で取得した行動データや、性別・年代・地域といったLINEが持つデモグラデータ、ホームページの閲覧データなどを掛け合わせることで、ユーザーニーズやターゲットに応じたメッセージを高い精度で配信できます。

事例11:AIチャットボット
CLOVA ChatbotやKiku-Hanaなどの自然言語処理が可能なAIチャットボットと連携することで、フリートークでユーザーへの接客が可能になります。よくある質問(FAQ)への回答などと相性がよく、BOT BOOSTaR®であればチャネル・エミュレート機能を用いて従来のリッチメニューからの応答機能とAIチャットボットを併用させることが可能です。また、実装する人工知能はLINE上のみならずホームページ上にも流用可能です。

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(2021年10月29日ウェビナー資料より)

事例12:LINE通知メッセージ(電話番号配信)
LINEのユーザーIDではなく携帯電話番号を使い、LINE公式アカウントをフォローしていないユーザーにもメッセージを配信できる機能で、ヤマト運輸が導入していることで知られています。「企業は電話番号一つで、そのユーザーの使っているLINEへメッセージ送信でき、LINEのユーザーIDの取得から電話番号をキーにID連携までを可能にする非常に強力な機能です。正しく使えばユーザーにより便利なサービスを提供できる機能ですが、昨今のプライバシー保護機運の高まりも考慮し、ユーザーへ心地よい体験を提供するコミュニケーション設計が重要となります」(星野)。
※「LINE通知メッセージ」はLINE株式会社が提供する、企業からの利便性の高い通知を企業のLINE公式アカウントから受け取ることができる機能です。本機能の利用に同意することで、個別のアカウントを友だち追加することなく、簡単に通知メッセージを受け取ることが可能になります。対象はLINE株式会社がユーザーにとって有用かつ適切であると判断したものに限定され、広告目的のものは配信されません。

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(2021年10月29日ウェビナー資料より)

事例13:会員ID連携

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(2021年10月29日ウェビナー資料より)

企業側会員IDとLINEのID連携の施策において、多くのベンダーが未だにLINEログインを使っているかと思いますが、会員ログインのWebページ側でLINEのユーザーIDを取得するにあたり権限取得画面を表示する必要があり、多くの離脱が発生します。Link-Token方式では暗号化されたLINEのユーザーIDをWeb側との接続に利用するため、よりセキュアにかつ(LINEのユーザーIDを不必要にWeb側へ提供もしなくなるので)権限取得画面も省略しスムーズな会員ID連携を実現します。LINEのID連携により、会員限定コンテンツの配信や、お客さま一人ひとりにパーソナライズしたメッセージの配信が可能になります。

事例14:リッチメニュー切り替え

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(2021年10月29日ウェビナー資料より)

タブ型のリッチメニューとすることで、情報をわかりやすく整理できます。例えば1つのLINE公式アカウントで複数店舗の情報を表示する際、店舗ごとにメニューを切り替えて表示することが可能です。表示している飲食店事例では、店舗ごとのタブに加え、モーニング/ランチ/ディナーなど時間帯に応じても切り替わる仕組みを導入しています。

事例15:リマーケティング施策
WebサイトにLINE Tagを設置することで、Webサイト上の閲覧行動によってユーザーをセグメント化し、異なるメッセージを配信できる機能です。例えばAとBという2つのWebページがあったとき、「両方のページを見た人にLINE上でメッセージを送る」「Bだけを見た人にはAの情報を送る」といった施策を打つことができます。

事例16:トーク内行動計測
Google Analytics(GA)と連携して、LINEトーク上の行動も分析・集計が可能になります。GA上で作成したセグメントも反映されるため、セグメント配信やA/Bテストの活用も可能です。

LINE社と密接な関係を構築

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(2021年10月29日ウェビナー資料より)

電通デジタルはLINE株式会社が提供する各種法人向けサービスの販売・開発を行う広告代理店やサービスデベロッパーを認定・表彰するパートナープログラム「LINE Biz Partner Program」の「Sales Partner」において、認定されており、LINE社とも緊密な協力関係を築いています。さらに星野は、電通デジタル社内の部署横断組織「LINE Experience Center」で横の連携も推進していることを説明。電通デジタルの先進的なLINEへの取り組みを紹介し、セミナーを締めくくりました。

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星野 大吾 Daigo A. Hoshino

コマース部門 LINEルーム ソリューショングループ  ソフトウェアエンジニア & ITストラテジスト
麻布中学校・高等学校を卒業後渡米し、Northeastern University 経営学部を卒業。2012年、MITの研究から民生転用された産業用ロボット制御装置開発にC#/C++エンジニアとして携わる。2014年、南米チリにてEduTechスタートアップの事業開発マネージャーを担当し、インテル社の起業コンペでチリ国内1位に導く。2015年より、電通で戦略立案や実施運用に携わる傍ら、Web/ECサイトの深堀分析と高速PDCAを実現させる「Web分析ダッシュボード」や、LINE株式会社が提供するMessaging APIを活用したボット開発/配信ツール「BOT BOOSTaR®」を開発。2017年より、複業として家業の自動車学校の社長に就任し、組織改革に奮闘中。

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