CMS導入でWebサイトを守りから攻めに。「CMS Conference 2008」日本ウェブ協会が開催

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CMSはWebサイトの戦略的運営になくてはならないツール

日本ウェブ協会 理事長
森川 眞行氏

11月26日、特定非営利活動法人 日本ウェブ協会主催によるカンファレンス「CMS Conference 2008」が東京両国で開催された。

日本ウェブ協会は、日本語のWebサイトの質を向上させるために設立された団体。Webサイトの制作者、製品ベンダー、所有者など、さまざまな業種の人々が集まり議論や研究を行っている。今回のCMS Conferenceは、協会のCMSワーキンググループが主体となって行った研究発表の場として開催された。

「CMS導入によって数々のメリットが出てきます。今回はコストダウンといった効率化とは別に『経営戦略実現に向けてCMS導入成功例から学ぶ戦略デザイン』というタイトルを付けました。Webを使いやすくし、間違いなく、すばやく大量に情報発信するにはCMSという仕組みが後ろになくてはいけない。CMSは守りから攻めに出られる大きなツールになります」(森川氏)

戦略的にWebサイトを活用するために、今では欠かせない存在となりつつあるCMS。そうしたなか、企業や官公庁はどのようにCMSを選定して導入し、運用していけば成功を収められるのか。日本ウェブ協会 理事長の森川氏の挨拶とともに、カンファレンスがスタートした。

急速に変化するビジネスとWebを支える情報基盤

キノトロープ代表取締役
キノトロープスリーイント代表取締役
門別 諭氏

基調講演では、キノトロープ代表取締役/キノトロープスリーイント代表取締役の門別氏が「急速に変化するビジネスとWebを支える情報基盤」をテーマに講演。

急速に変化を続けるWebサイトでは、5年前のロジックはすでに概念であり今では通用しない状況という門別氏は、CMS導入以前の問題として「Webサイトをどうやって使いたいのかがわからなければ、どんなCMSを導入すればいいのかもわからない。それにはまずWebサイトを理解すること」と、まずWebサイトがどういったもので、それをどうやって使いたいのか、現状把握と目的を明確にすることの重要性を指摘。一方で、急速に変化しながらも、Webサイトの本質はインターネット上の巨大なデータベースという点は同じであることを語り、巨大なデータベースからユーザーがほしい情報を検索して探すようになったこと、利用するユーザーが変化したことを解説した。

また、昔は何でもできると特別視されていたWebサイトも、今は単なるチャンネルの1つ。昔のWeb戦略は、カタログサイトやプロモーションのためにWebを作ろうといったものだったが、今では企業戦略として必要不可欠であり、Webの変化に対応できるCMSを入れる必要があることも語った。

「今まではHTMLが書けなくても、誰でも管理できるようにといったコンテンツ登録に主眼が置かれてきた。しかし、Webサイトがビジネス戦略の一部となった今、ユーザーニーズに合ったコンテンツ提供を実現するために、コンテンツをどのように細分化するか考えないといけない。そうしないと機能するコンテンツ管理を実現できない」加えて、Webのプロジェクトが大きくなり、複数部署や担当者が関わるようになった昨今では、権限も重要になっていることを話した。

コンテンツ=ページではなくなってきている

ユーザーニーズに合わせたコンテンツを提供するためには、まず誰がコンテンツを持っているかを明確にすること、そしてコンテンツ=ページではなくなってきていることを認識することだと、門別氏はメーカーのサイトを例に解説。

「あるメーカーのCMSでは、商品ページにFAQやCM、店舗情報、価格といった情報が入っている。さまざまな情報が組み合わさって1つのページになるので、1つの商品を登録する際に、商品情報は誰が、CMは、価格情報は誰が持っているかということになる。昔は、ページ=コンテンツと捉えられていたが、今はページに関連付いたさまざまな情報ができているので、コンテンツ設計をしっかりしなくては有効な管理はできない」

たとえば、商品情報を1つ作るのに、CM、店舗、FAQ、お問い合わせ、価格情報の5つを、1つのページですべて入力するようになっていた場合にどうなるか。一度に編集ができなくなり、これでは効率的な管理ができているとは言えない。ある商品をキーにするなら、それにひもづく情報を別の画面で入力できるようにしなくてはいけない、これが門別氏の言うコンテンツ設計だ。

さらに、コンテンツを入力するのは誰か、コンテンツの編集権限は誰が持っているのか、どうやってページを作っていくのかという、制作に対する制御をしていかなくてはいけないと語る門別氏。コンテンツ管理をスムーズに行うための、流れを作ってあげること、入力しやすくしたり、把握しやすくしたりするためにCMSが制御をかけてあげることで効率的な管理が可能になる。

「今まではどうやってページを簡単に作るか、管理するかを考えていたが、今は入力の仕方にどういった権限があるか、どういったコンテンツを作っていくか、それがどういった流れで承認されてWebサイトに反映されるかまで考えないとCMSは機能しない」(門別氏)

マルチエントランスを実現するCMSの全体像。コンテンツ管理をしやすいように、ワークフローを制御するのもCMSの重要な役割になる。

運用フローはCMS導入前に決める

CMS導入には、RFPの策定、社内調整、コンテンツ設計、コンテンツ移行作業といったさまざまな課題があるが、CMSは導入して終わりではない。Webサイトを立ち上げてからが本番なのと同じように、導入後にどうやって運用するかも重要な要素である。

講演では、CMS導入によるサイト構築の流れと成功ポイントについて、「RFPの策定」「ソフトウェアの決定」「画面設計」「運用フロー」「開発設計」という5つのポイントが解説された。

なかでも、開発する前が最も重要なフェーズであるという門別氏は「誰が更新管理するのかという前提で、画面設計などを考える必要がある。加えて、どういった運用フローを取ればWebサイトを利用する顧客に良いコンテンツを提供できるかも考えることが大切」と、CMS導入前に導入後の運用フローを決めておくことが重要とした。

CMS構築の流れとポイント(開発前)。開発の設計前に、運用フローまで決めておくのがポイントになる。

また、コンテンツ管理には、Webサイトを利用する表のユーザーと運用する裏側のユーザーが存在するので、表と裏どちらのユーザーも快適に利用できるようにするという観点からCMS導入を検討する必要がある。

CMS Conference 2008
http://www.w2c.jp/cms/

日本ウェブ協会
http://www.w2c.jp/

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